9037 ハマキョウレックスの業績について考察してみた

9037 ハマキョウレックスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1971年2月に株式会社遠織運送センターを設立し、貨物運送事業を開始。同年3月静都運輸株式会社、同年12月浜松協同運送株式会社に商号変更。1990年6月に倉庫業を開始。1992年8月に株式会社ハマキョウレックスに商号変更。2001年2月に東証二部に上場。2003年3月に東証一部に変更、現在は東証プライム。本社は静岡県浜松市に置く。同社は、国内大手の物流一括受託企業(3PL事業)のパイオニアである

株主構成

2022年3月期有価証券報告書によると、2022年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行で14.49%、次いで代表取締役会長の大須賀正孝氏と代表取締役社長の大須賀秀徳氏の資産管理会社であるエムエフカンパニー株式会社が12.29%、日本カストディ銀行が信託口で8.35%、BBHフィデリティロープライスドストックファンドが6.47%と続く。以降は、保有割合5%未満で代表取締役会長の大須賀正孝氏、代表取締役社長の大須賀秀徳氏、海外金融機関、9090丸和運輸機関の代表取締役が並ぶ。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は10名(社内6名、社外4名)、監査役3名 (社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。取締役勢の入社前の経歴は不明も、営業部門や管理部門、開発部門等を経験した幅広い人材が揃う。社外取締役は、スズキ株式会社出身のほか、静岡銀行及び浜松信用金庫といった取引金融機関出身者である。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の大須賀正孝氏は1941年3月生まれ。中学卒業後、7272ヤマハ発動機入社。トラック運転手を経て、1971年2月に同社を設立。代表取締役社長を経て、2007年6月に現職に就任した。静岡県トラック協会会長や全日本トラック協会副会長を歴任する。
代表取締役社長の大須賀秀徳氏は1967年7月生まれ会長正孝氏の長男。東京経済大学経営学部を卒業後、IT関連企業を経て1992年4月に同社に入社。2003年6月に取締役、2008年6月に取締役副社長を経て、2010年1月に現職に就任した。静岡県トラック協会理事も兼任する。

報告セグメント

「物流センター事業」と「貨物自動車運送事業」の2セグメントに大別される。2022年3月期は営業収益125,094百万円の内、物流センター事業が76,963百万円で61.5%、貨物自動車運送事業が48,131百万円で38.5%を占める。
営業利益の構成割合は物流センターが8割弱、貨物自動車運送事業が1割強で、利益率にすると、前者は10%台前半、後者は1桁前半の水準。

事業モデル

主力の物流センター事業では、センター運営及びセンター配送を行う。物流センターは自社センター(44ヶ所)と借用センター(86ヶ所)を合わせて、計130か所を全国に整備。またコンサルティングを通して顧客の物流分野を包括的に代行する3PLを、1990年台初頭からいち早く導入して3PL業界のパイオニアとして存在感を示す。3PL事業では、商品の調達・管理から配送業務までを一括して代行し、効率的な物流サービスを提供する。主な取扱品目は、食品、繊維・アパレル、医薬・医療、雑貨、その他の5つで、食品がセグメント売上の約3割、繊維・アパレル、医薬・医療が各2割強を占める。
物流センター拡充に向けて、同社では全国規模で運送会社のM&Aを積極的に実施。2021年10月には香川県の運送会社、2022年2月には愛知県の運送会社をそれぞれ買収した。
貨物自動車運送事業では一般貨物運送と、全国規模で不特定多数の荷主の貨物をまとめて輸送する特別積み合わせ貨物運送を行う。
また、海外拠点は中国、香港、バングラディシュに物流センター(日本向け製品の検品)事業を展開する拠点、インドに合弁会社を設立している、いずれも非連結子会社。日本国内の顧客への満足度向上のため、顧客ニーズに応じた海外展開を図る
国内運送業界では、1989年の「貨物自動車運送事業法」と「貨物運送取扱事業法」の改正により規制緩和され、当時に新規参入した層の経営交代期に差し掛かっているため、中小規模の事業者のM&Aは活発である。

競合他社

小売りや量販店向けの物流に強い9069センコーグループホールディングス株式会社(2022年3月期売上高623,139百万円)、物流センターにおける一括受託業務を行う9058トランコム株式会社(同162,984百万円)、3PL事業で国内首位の9086株式会社日立物流(同743,612百万円)が競合先として挙げられる。

連結の範囲

当社グループは、当社のほか、連結子会社25社と非連結子会社5社から構成される。主要連結子会社には、貨物自動車運送事業の一翼を担い、総売上高の10%以上を占める近物レックス株式会社がある。

強み・弱み

強みとして、3PL事業における現場力が挙げられる。同社は国内の3PL事業のパイオニアとして20年以上に渡る、同事業における経験の蓄積を持つ。生産性や積載率等の重要指標を社員全員に共有し、日々取り組むべきことを柔軟に変更現場起点で顧客の物流最適化に取り組むことで、効果的・効率的であるとともに、コスト競争力の高い物流サービスを提供する。また大口顧客は存在せず、取引業界も分散されているため、特定顧客、業界の業績変動リスクを過度に負っていない。近年は積極的なM&Aを行い、国内の物流センターの数は10年間で約1.6倍に拡大し、現在では130施設を数え、今後もさらなる新規開拓に注力する
懸念点としては、軽油価格の変動による運送コストの増加(1リットル当たり単価1円の増加で年間35百万円コスト増)が挙げられる。

KPI

KPIには物流センター数と、取扱品目別売上高が挙げられる。
①    物流センター数 130 (前期比+2)
②    (物流センター事業)取扱品目別売上高 (下図(2022年3月期決算説明資料より抜粋)を参照)

2022年3月期決算説明資料

業績

連結ベースの営業収益は、2021年3月期は新型コロナ流行によるアパレルや自動車業界の需要減退を受け、前期比▲3,595百万円の減収となったが、2022年3月期は前期比+6,218百万円と復調し、営業収益は、2018年3月比で約1.2倍となった。経常利益は2022年3月期で11,957百万円となり、緩やかながらも増益基調を維持している。営業キャッシュフローは各期とも安定的にプラスを維持している。自己資本比率は2022年3月期で52.7%と50%を超えてきている