4599 ステムリムの業績について考察してみた

4599 ステムリムの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2006年10月大阪大学大学院医学系研究科の玉井教授らが同定した骨髄多能性細胞動員因子を医薬品として開発することを目的に株式会社ジェノミックス設立。2007年4月大阪大学と共同研究を開始。以後、研究成果の知財化を進め、2020年11月時点で89件の特許を取得。2018年7月株式会社ステムリムに商号変更。2019年8月東証マザーズに上場大阪大学発バイオベンチャーで自己組織再生を促進する「再生誘導医薬」の開発を行う

株主構成

有価証券報告書によると2021年1月末時点の筆頭株主は、同社医薬品開発の中心人物である大阪大学教授の玉井克人氏で16.44%を保有。次いで玉井教授の親族とみられる玉井佳子氏が9.25%、同社代表取締役の冨田憲介氏8.59%、同社元代表取締役の大久保俊幸氏6.21%。また4507塩野義製薬は信託口での保有分を含めると7.96%を保有する。以下5%未満の保有で、投資事業有限責任組合が2組合、同社執行役員2名が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は4名(社内2名、社外2名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。社内取締役2名はいずれも代表権を持つ。社外取締役は2432DeNAのヘルスケア部門出身者と、厚生労働省等経験者の2名。監査役は日本イーライリリー株式会社および4507塩野義製薬出身者、公認会計士、金融業界出身者の3名で構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役会長CEOの冨田憲介氏は1949年1月生まれ。東京大学薬学部卒業後、1974年4月三共株式会社(現4568第一三共)入社、その後日本イーライリリー株式会社、ローラー・ジャパン株式会社(現サノフィ株式会社)、サンド薬品株式会社(現ノバルティスファーマ株式会社)などで新薬開発・経営企画責任者を歴任、バイオベンチャーの4563アンジェスや4564オンコセラピー・サイエンスの代表取締役も務めた。2012年2月同社顧問として入社、2018年4月代表取締役社長となった後、2019年3月より現職を務める
代表取締役社長執行役員の岡島正恒氏は1968年1月生まれ。東京理科大学卒業後、1991年住友銀行(現三井住友銀行)に入行。証券会社勤務を経験後、2006年9月米国バイオベンチャーのメディシノバ入社。2007年1月4875メディシノバ設立、代表取締役社長を務めた。2019年3月同社に代表取締役茶長COOとして入社、2020年8月より現職を務める

報告セグメント

「再生誘導医薬事業」の単一セグメント。2021年7月期第3四半期の事業収益は210百万円、営業利益は▲1,294百万円だった。

事業モデル

同社が開発を目指す「再生誘導医薬」は、人が本来持つ組織修復能力を最大限に引き出すことにより、機能的な組織・臓器の再生を誘導する新しい医薬品である。

同社HP TOP>再生誘導医薬について>再生誘導医薬とは

同医薬品の研究開発を主たる業務とし、自社研究もしくは大学等研究機関との共同研究を通じて新規再生誘導医薬シーズの探索を行っている。候補物質については自社もしくは大学等研究機関、パートナー企業と共同で製造方法の開発から初期臨床試験等までを実施し、国内外製薬企業に対してライセンスアウトすることで、契約一時金、開発の進捗に応じて支払われるマイルストーン収入、製品上市後に売上高の一定割合が支払われるロイヤリティ収入、売上高目標値を達成するごとに支払われる販売マイルストーン収入を得る事業モデルを採用している。また、パートナー企業とはライセンス契約以前に共同開発契約を締結し、契約一時金、共同研究収入を得るケースもある
同社HP TOP>会社情報>事業内容

現在は再生誘導医薬開発品レダセムチドの研究開発が進捗しており、4507塩野義製薬との間で同臨床開発を加速度的に進めるための契約を2020年6月締結した。一時金210百万円を受領し、今後最大で1,190百万円受領する予定である。
再生医療の市場規模予測では、国内が2020年950億円だったものが2050年は2.5兆円に、世界では1兆円が38兆円と大幅な増加が見込まれている。

競合他社

再生医療分野を手掛けるバイオベンチャーとしては、7774ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(2021年3月期売上高2,257百万円)、7777 3Dマトリクス(2021年4月期売上高1,024百万円)、7776セルシード(2020年12月期売上高199百万円) 、ヘリオス(同27百万円)、サンバイオ(2021年1月期売上高0百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結対象となる子会社は持たない。

強み・弱み

同社の強みは従来の再生医療とは異なり、対外で人工的に培養した細胞の移植や投与を一切必要とせず、薬の投与のみにより患者体内の幹細胞を活用する方法で、損傷した組織の再生を促す全く新しい作用メカニズムに基づくユニークな医薬品の開発を行っていることである。一方でバイオベンチャー全般の課題だが、医薬品開発は長期化・大規模化の傾向にあり、延期や資金繰りによっては開発が中止となる可能性が常に考えられる。

KPI

パイプラインがKPIとなる。2021年7月期第2四半期時点の進捗は下図の通り。

2021年7月期第2四半期決算説明会資料

業績

事業収益は確認可能な2017年7月期から2019年7月期までは100百万円から300百万円だったが、2020年7月期は4507塩野義製薬と締結した契約の一時金収入1,700百万円の計上等により大幅増収、営業利益も黒転となった。フリーCFはほぼ当期利益に連動し、2019年7月期まではマイナス、2020年7月期はプラス。有利子負債はゼロで自己資本比率は90%台。