4549 栄研化学の業績について考察してみた

4549 栄研化学の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.03 9,411 458 4.87%
FY2024.Q1 2023.06 9,864 1,052 10.67%
FY2024.Q2 2023.09 10,400 1,096 10.54%
FY2024.Q3 2023.12 10,229 1,269 12.41%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 8,022 594 7.4%
FY2018.Q1 2017.06 8,720 1,111 12.74%
FY2018.Q2 2017.09 8,742 1,104 12.63%
FY2018.Q3 2017.12 9,074 1,289 14.21%
FY2018.Q4 2018.03 8,455 -26 -0.31%
FY2019.Q1 2018.06 8,816 1,296 14.7%
FY2019.Q2 2018.09 8,826 1,248 14.14%
FY2019.Q3 2018.12 9,425 1,734 18.4%
FY2019.Q4 2019.03 8,694 333 3.83%
FY2020.Q1 2019.06 9,232 1,490 16.14%
FY2020.Q2 2019.09 9,685 1,553 16.04%
FY2020.Q3 2019.12 9,111 1,306 14.33%
FY2020.Q4 2020.03 8,557 273 3.19%
FY2021.Q1 2020.06 8,214 1,016 12.37%
FY2021.Q2 2020.09 9,513 1,708 17.95%
FY2021.Q3 2020.12 10,820 2,807 25.94%
FY2021.Q4 2021.03 10,120 1,081 10.68%
FY2022.Q1 2021.06 10,514 2,592 24.65%
FY2022.Q2 2021.09 10,827 2,239 20.68%
FY2022.Q3 2021.12 10,490 1,812 17.27%
FY2022.Q4 2022.03 11,165 1,744 15.62%
FY2023.Q1 2022.06 11,097 2,799 25.22%
FY2023.Q2 2022.09 11,768 2,857 24.28%
FY2023.Q3 2022.12 10,995 1,343 12.21%
FY2023.Q4 2023.03 9,411 458 4.87%
FY2024.Q1 2023.06 9,864 1,052 10.67%
FY2024.Q2 2023.09 10,400 1,096 10.54%
FY2024.Q3 2023.12 10,229 1,269 12.41%

沿革

1939年2月に黒住剛氏らが興亜化学工業株式会社を創立、家畜臓器を原料とした栄養食品ならびに医薬品の製造販売開始。1950年4月、細菌検査用培地「栄研」を製品化。1961年5月には臨床検査薬部門を開設し、臨床検査薬の研究開発を開始。1969年2月、栄研化学株式会社へ商号変更。1990年1月に東証二部上場、2002年3月には同一部へ市場変更。2006年9月、大塚製薬株式会社との間に、販売・市場育成、研究開発、技術の相互利用などを目的とする業務提携契約を締結。現在も臨床検査薬の製造・販売を主力事業とする。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年3月末時点での筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口で10.85%保有。続いて、業務提携契約を締結している大塚製薬株式会社が10.83%、株式会社日本カストディ銀行信託口が6.68%、SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNTが6.67%保有。以下は5%未満の保有率で、国内外の金融機関、機関投資家の他、元代表取締役社長の黒住忠夫氏が1.66%となっている。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は9名(社内3名、社外6名)、うち3名は監査委員(全員社外)、監査委員会設置会社である。社内取締役は全員プロパー。社外取締役には、弁護士、公認会計士、自衛隊病院OB、株式会社IHI顧問、エーザイ株式会社顧問が就任。

代表取締役の経歴

代表執行役は2名。代表執行役会長の和田守史氏は1954年10月生まれ。北海道大学卒業後、1978年3月に入社。営業統括部長、代表執行役社長などを経て2021年6月より現職
代表執行役社長の納富継宣氏は1958年5月生まれ。九州大学卒業後、1981年4月に入社。常務執行役、専務執行役などを経て2021年6月より現職

報告セグメント

「検査薬事業」の単一セグメントであるが、製品分野別に「微生物検査用試薬」、「尿検査用試薬」、「便潜血検査用試薬」、「免疫血清検査用試薬」、「生化学検査用試薬」、「器具・食品環境関連培地」、「遺伝子関連等」、「医療機器」に分類される。2021年3月期の売上高38,667百万円の構成比は、微生物検査用試薬10.3%、尿検査用試薬8.7%、便潜血検査用試薬24.9%、免疫血清検査用試薬23.6%、生化学検査用試薬1.5%、器具・食品環境関連培地5.5%、遺伝子関連等16.5%、医療機器8.9%であった。便潜血検査用試薬ならびに免疫血清検査用試薬で売上高の50%近くを占め、これらが二本柱となろう。
地域別売上高構成比は、日本82.2%、海外17.8%と、日本国内が主力市場である。
主要顧客の占有率は、株式会社スズケン13.1%、アルフレッサ株式会社12.7%、東邦薬品株式会社11.1%と医薬品卸大手であった。

公式ウェブサイト内「IR情報」>「財務ハイライト(連結)」

事業モデル

便潜血検査用試薬は、大腸がん検診のスクリーニング(一次検査)に用いられる。同社では装置を使用した定量的な検査を行う便潜血測定装置「OCセンサーシリーズ」とOCセンサー用試薬、定性的に検査を行うPOCT関連試薬「OCヘモキャッチS」を製造・販売する。
免疫血清検査用試薬に関しては、Helicobacter pylori (いわゆるピロリ菌)抗体の検査などに利用される、ELISA法やイムノクロマト法による検査薬などの開発・製造・販売を行っている。さらに、超高感度免疫法として生物発光を応用したBLEIAシステムの実用化を世界に先駆けて実現。また、東ソー株式会社がグローバルに事業展開している試薬の日本国内における販売を担う。
上記二本柱に次ぐ売上高の遺伝子関連等では、遺伝子解析に必要なサンプル量を得るための遺伝子増幅技術を扱う。主要製品は「LAMP」(Loop-Mediated Isothermal Amplification)であり、同社が独自に開発した、迅速、簡易、精確な遺伝子増幅法である。増幅効率が高くDNAを15分~1時間で10億倍~100億倍にまで増幅し、検出までの工程も1ステップで行うことが可能。加えて、極めて高い特異性から、増幅産物の有無によって標的遺伝子配列の有無を判定可能である。

競合他社

6869 シスメックス(株)(売上高305,073百万円)、4544 H.U.グループホールディングス(株)(売上高223,016百万円)などが、検査薬の製造・販売を主力事業とする点で競合する。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社1社で構成される。連結子会社の栄研生物科技有限公司(中国)は、同社検査薬の受託生産及び検査薬の仕入製造販売を主要事業とする。

強み・弱み

主力製品の便潜血検査用試薬及び機器が、国内はもとより世界的にも広く採用されている点は強み。臨床検査の重要度が増している点も追い風。一方、臨床検査薬業界は強力な同業他社が存在し開発競争も激しいため、常にシェア喪失のリスクにさらされる。薬事規制等の医療政策の変更もリスクとなり得る。

KPI

研究開発費、設備投資、減価償却費などはKPIとみなせる。
・研究開発費(2021年3月期):3,086百万円(前期比▲7.4%)
・設備投資(同上):2,876百万円(前期比▲3.6%)
・減価償却費(同上):1,711百万円(前期比+5.2%)

2021年3月期決算説明会資料 p.13

業績

売上高、経常利益とも順調に拡大。新型コロナウイルス感染症の影響も限定的と見られ、2021年3月期は、売上高38,667百万円(前期比+5.7%)、営業利益6,612百万円(前期比+43.0%)、経常利益6,808百万円(前期比+44.1%)と、上場来最高を記録。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。直近決算期の自己資本比率は74.3%。

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