8909 シノケングループの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1990年6月に株式会社シノハラ建設システムを設立し、アパート販売事業と不動産賃貸管理事業を開始。2001年3月にLPガス小売販売事業を開始。2004年12月に東証ジャスダックに上場。2007年10月に株式会社シノケングループに商号変更し、持株会社制へ移行。2010年9月にマンション管理事業を開始。2018年3月に機関投資家向けの国内初の本格的なアパートファンドを組成。福岡県と東京都に本社を置く、2本社制企業。個人向けの投資用アパート販売に強みを持つ

株主構成

2020年12月期有価証券報告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は代表取締役社長の篠原英明氏で保有割合19.3%、次いでインタラクティブ・ブローカーズが6.2%、取引先の株式会社九州リースサービスが5.7%、UBSセキュリティーズの顧客分離口座が5.2%で続き、以降は保有割合5%未満で野村信託銀行株式会社投信口が2.8%、シノケングループ取引先持株会が2.4%のほか、国内外の金融機関が並ぶ。尚、変更報告書によるとDalal Street,LLC.の保有割合が8.76%であることが報告されている。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は9名(社内4名、社外5名)、うち監査等委員4名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。代表取締役以外の社内取締役は、ブックオフコーポレーション株式会社株式会社日商ハーモニー(現連結子会社の株式会社シノケンプロデュース)、ITベンチャー出身者で構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の篠原英明氏は1965年4月生まれ。1986年4月に新日本不動産株式会社に入社。1990年6月に独立して、同社を設立、以降代表取締役を務める

報告セグメント

「不動産セールス事業」、「不動産サービス事業」、「ゼネコン事業」、「エネルギー事業」、「ライフケア事業」の5セグメントに大別される。報告セグメントに含まれない事業として、海外事業等を行う「その他」がある。2021年12月期第1四半期は売上高20,223百万円の内、不動産セールス事業が8,812百万円で43.6%、不動産サービス事業が5,165百万円で25.5%、ゼネコン事業が4,908百万円で24.3%、エネルギー事業が893百万円で4.4%、ライフケア事業が418百万円で2.1%、その他が25百万円で0.1%を占める。
営業利益は不動産サービスで全体の4割弱を計上、不動産セールスで3割弱、ゼネコン事業で2割弱、エネルギー1割強という構成。利益率は不動産セールス事業とゼネコン事業が1桁台後半、不動産サービス事業が10%台後半~20%台、ライフケア事業が10%台、エネルギー事業が20%台後半を推移する。

事業モデル

不動産セールス事業では個人投資家やREIT向けに、アパートとマンションの企画から販売までを一貫して行う。駅徒歩10分圏内の好立地の土地を主たる対象とし、いったん自社で購入し、それをオーナーになりたい顧客へ提供する。販売実績は、5,000棟以上。土地は賃貸で、アパート経営の資金は借入可能な金融機関を顧客へ同社が紹介することで、「土地や多額の自己資金が無くても、個人が不動産経営をできる」点をウリにしており、顧客の99%をサラリーマンや公務員が占める
不動産サービス事業では賃貸仲介業務や賃貸住宅の運営業務、家賃の債務保証業務、不動産ファンドと私募REIT(2020年総額100億円規模で運用開始)での資産運用等を行う。グループ管理戸数39,000戸以上。
ゼネコン業務はマンションやオフィスビルから公共施設について、建設請負業務を全般的に実施。
エネルギー事業は不動産販売後の継続的な収入源として、賃貸物件の入居者に向けてLPガスや電気の小売販売を行う。
ライフケア事業は、高齢者向け住宅やデイサービス施設、グループホーム等を運営。
海外事業では上海やシンガポールでの不動産賃貸・売買仲介業務やインドネシアでの不動産投資事業や建設関連事業を行っており、報告セグメントに該当しないその他に属する。
不動産販売に依存しないビジネスモデルへの改革として、不動産ファンド事業を強化。2020年7月には総額100億円規模の私募REITを組成し、運用開始。これまでは個人向け投資用不動産の取り扱いが多かったが、機関投資家や企業をターゲットに事業拡大に注力する。

競合他社

賃貸物件の一括借り上げ事業を行う3276日本管理センター株式会社(2020年12月期売上高47,202百万円)、マンション管理大手の4781日本ハウズイング株式会社(2021年3月期売上高114,967百万円)、マンション一括借り上げのサブリースが主力の8909株式会社毎日コムネット(2020年5月期売上高17,966百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社30社と持分適用関連会社1社、持分法を適用しない関連会社1社を持つ 。総売上高の10%以上を占める主要連結子会社には、不動産セールス事業を担う株式会社シノケンプロデュースと不動産サービス事業を担う株式会社シノケンファシリティーズ、ゼネコン事業を担う株式会社小川建設が挙げられる。

強み・弱み

強みとして、不動産サービス事業における収益力が挙げられる。同事業では物件の管理戸数は39,000戸以上に渡り、創業当初から2021年3月末まで投資用不動産物件の入居率は99%を誇る。また入所者を対象とした家賃の債務保証サービスや少額短期保険を提供。債務保証サービスでは入居者が家賃滞納した際に保証会社がオーナーに立替払いを行う等、オーナーや入居者に向けた各種サービスを整備する。管理戸数と債務保証サービスの取扱件数は増加傾向であり、賃貸事業ならではの月額収入モデルの強みを発揮する。
懸念点としては、入退去件数の変動による収益機会の減少、建築コストの上昇、借入金の調達コスト上昇などが挙げられる。

KPI

KPIには不動産サービス事業における入居率と、ゼネコン事業における外部顧客案件率などが挙げられる
①入居率:99%以上(2021年12月第1四半期)
②管理戸数:76,332戸(2020年6月末)
③延滞率0.15%(2020年6月全国平均2.1%)
④外部顧客案件率:87.4%(2020年12月期第2四半期)

2020年12月期第2四半期決算説明資料
2020年12月期第2四半期決算説明資料

業績

売上高は2016年12月期から2018年12月期までの3期で1.37倍に緩やかに増加。2019年3月期は個人向け融資審査の厳正化の影響を受け、前期比▲14%の減収。また2020年12月期は新型コロナウイルス流行による不動産セールス事業における営業活動の一部縮小により、前期比▲0.5%の減収となった。経常利益も同様に、2016年12月期から2018年12月期の過去3期で1.08倍に増益。2020年12月期にかけて2期で、▲20%の減益となった。営業CFの売上債権やたな卸資産の変動幅が大きく、フリーCFは安定しないが直近2期はプラス。財務CFは2019年12月期以降有利子負債削減にのためマイナスを継続。自己資本比率は2020年12月期で47.0%。2016年12月期の25.6%から毎期改善している