8848 レオパレス21の業績について考察してみた

8848 レオパレス21の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1973年8月、レオパレス21の前身となる株式会社ミヤマを東京で創業。不動産仲介業をメインに成長を続ける。1985年4月、都市型アパート「レオパレス21」の本格的販売をスタート。1989年2月に株式店頭公開、同年10月株式会社エムディアイへ商号変更。2000年7月、株式会社レオパレス21へ再度商号変更。2004年3月東証一部へ上場。2010年以降は太陽光発電設置アパートや、ホームセキュリティ完備のアパートを建築。また海外展開を進める。2018年3月からアパートの施工不備問題が表面化し、2019年2月の報告で1,895棟の建築基準法違反が確認された。2期連続の当期純損失及び営業CFマイナスを計上し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が続いていた。2022年3月期末時点において債務超過を解消している。

株主構成

2021年9月末時点での保有比率に変更報告書の内容を加味すると、筆頭株主は「その他の関係会社」に該当する千鳥合同会社で、25.6%を保有する。次いで株式会社UH Partners 2が15.3%を保有。どちらも機関投資家とみられる。ほか信託銀行の信託口や取引先持株会などが中心。外国人株式保有比率は20%以上30%未満。

取締役会

取締役は8名(社内3名、社外5名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役の蘆田茂氏と早島真由美氏は両名ともレオパレス21の生え抜き社員で、2019年6月、2名同時に取締役へ就任。施工不備問題発生後の2019年6月以降に就任した3名の社外取締役は、共同通信社の社長、東洋シャッターの代表取締役社長、現パナソニックホームズの品質・CS担当上席主幹の経験者や弁護士といった経歴で、経営管理体制が強化されたことがうかがえる

代表取締役の経歴

代表取締役社長の宮尾文也氏は1960年4月生まれ。1983年3月、早稲田大学第一文学部を卒業後、中道リース株式会社に入社。1990年6月にレオパレス21に中途入社した。リゾート事業本部部長、経営企画部長などを経て、2016年6月に取締役へ就任。2019年5月より現職を務める。

報告セグメント

会社資料よりPERAGARU_BLOG作成

賃貸事業」、「シルバー事業」、「その他事業」の3報告セグメントに大別される。2022年3月期の売上高398,366百万円の構成比は賃貸事業96.2%、シルバー事業3.6%、その他事業0.2%である。営業利益(損失)については、賃貸事業が2期ぶりに黒字、シルバー事業・その他事業で損失が生じている。

事業モデル

主軸の賃貸事業では、自社物件の賃貸及び管理、建築請負したアパート等の一括借上による運営、関連サービスなどをおこなう。具体的には、単身者向けを中心としたアパート建築を地主に提案し、建築したアパートを一括借り上げして管理・運営する。土地オーナーは一括借り上げ(サブリース契約)を使った家賃保証期間により、遊休不動産を有効活用できる。また、取り扱う物件には家具や家電を設置しており、アパートの借り手は初期費用を抑えられる。
同社が扱う物件は単身者向けがメイン。半数以上が法人契約、社宅として利用され、入退去による空室リスクを低減できる
2021年3月時点で全国574,846戸を管理し、民間では日本最大規模。また上場企業の80%以上からの利用実績を持つ。

2020年3月期 決算概要

また、シルバー事業を戦略的事業と位置づけ、介護施設「あずみ苑」を運営する。
不採算事業であるホテルリゾート事業、国際事業については譲渡・撤退を推進。
日本の人口は減少傾向にあるものの、核家族化の影響で総世帯数は増加が続く。同社がターゲットとする単身世帯は、今後20年近く1,000万~1,200万世帯で推移する見通しだ。

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競合他社

1878大東建託(2022年3月期売上高1,583,003百万円)や、1766東建コーポレーション(2020年4月期323,386百万円)が挙げられる。1878大東建託の売上高は同社売上高の約4.0倍である。
単身世帯層マーケットでのシェアに視点を移すと、同社は2020年時点で3.0%ほどを獲得している。

連結の範囲

同社グループは連結子会社20社、持分法適用会社4社、持分法適用非連結子会社1社、その他の関係会社1社により構成される。
海外は中国、タイ、カンボジア、フィリピン、インドネシア、シンガポールなどアジア諸国に賃貸事業を営む子会社を抱える。

強み・弱み

賃貸住宅市場において、他社とは異なったポジショニングを確立している点が強み。
同社はおもに家具家電つきの単身者向けワンルームを扱う。物件を大都市圏に集中させ、短期利用でも可能な形で供給。仲介手数料なしで入居者に紹介できるシステムも構築し、他社との差別化を実現。
一方、課題は業績・社会的信頼の回復といえるだろう。2022年3月に債務超過を解消したものの、2018年に端を発した施工不備問題の影響は尾を引いている。アパート等の新規受注件数、入居率ともに問題発生前の水準には戻っていない。
不採算事業からの撤退や希望退職の実施など構造改革に取り組み、持ち直しの動きが見られるが、中期戦略に掲げた目標と比較して遅れが生じている。

2022年3月期 決算説明資料

KPI

入居率、管理戸数、法人契約戸数はKPIとなりうる。(数値は2022年3月期末のもの)
①入居率:85.1%(前年同期比+3.4)
②管理戸数:567,000戸(前年同期比▲6,300戸)
③法人契約戸数:280,810戸(前年同期比+5.2%)

業績

過去5期分の業績を見ると、売上高・経常利益ともに右肩下がり。売上高は5期で▲25.0%。経常利益は2022年3月期に赤字幅を縮小したものの、22,354百万円から▲2,151百万円となっている。営業CFは2019年3月期以降マイナス。
2020年11月に第三者割当増資連結子会社における優先株式の発行による資金調達、ならびに不採算事業の譲渡・撤退など業績・財務状況の改善に努めてきた。その結果、2022年3月期には営業利益・当期純利益が黒字転換。「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況」を解消した。

2022年3月期 決算説明資料
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