4641 アルプス技研の業績について考察してみた

4641 アルプス技研の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1968年7月、創業者(現:最高顧問)松井利夫氏が神奈川県にて松井設計事務所を開業する。「機電一体」をコンセプトとして、メカトロニクスの開発・設計サービスの提供を開始。顧客ニーズに応える形で技術アウトソーシングを始動した。1981年3月、株式会社アルプス技研に組織変更。現在アウトソーシング事業の主軸である技術者派遣を本格化した。1998年には台湾に現地法人を設立。2000年9月、東証二部へ上場し、2004年12月に東証一部へ変更。2015年にはミャンマーに支店を開設。2018年、農業関連分野および介護関連分野での人材派遣業に進出している。

株主構成

有価証券報告書によると、2020年12月末時点の大株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口が筆頭株主で7.40%を保有し、次に従業員持株会が7.15%である。以下は保有率5%未満で国内外の金融機関がならび、最高顧問 松井利夫氏も名を連ねる。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、監査役は3名(社内1名、社外2名、社内監査役は常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役のうち2名は大手銀行の出身。2020年に子会社化した株式会社デジタル・スパイスの元代表取締役社長 須藤泰志氏を2021年3月より同社取締役に迎えている。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の今村篤氏は1969年1月生まれ。日本工学院専門学校を卒業後、1990年4月に同社へ入社。派遣技術者として半導体製造装置メーカーに14年勤める。2004年、本社技術部へ異動。技術者教育の企画・立案、技術者の交流を担う。その後東海事業部長、営業推進部長と歴任し、2014年3月に取締役に就任。翌2015年3月より代表取締役を務める。

報告セグメント

技術者派遣・請負をおこなう「アウトソーシングサービス事業」、海外における日系企業に対して人材サービスを提供する「グローバル事業」の2報告セグメントに大別される。直近2021年12月期第1四半期では、売上高9,346百万円の97.7%がアウトソーシングサービス事業、2.3%がグローバル事業にて計上されている。セグメント利益率は期にもよるが、両事業とも概ね10%程度

事業モデル

同社主力のアウトソーシング事業は機械、電気・電子、ソフト、化学など各技術分野に精通したエンジニアを正社員として雇用し、大手メーカーに派遣している。またプロジェクトの一括受託も手掛ける。取引先企業数は700社以上。取引先の業種は自動車、半導体、精密機器、電機、医療、ソフト開発、工作機械、航空宇宙防衛など多岐にわたる。2020年度のおもな得意先は東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ株式会社、6503三菱電機、キオクシア株式会社(旧:東芝メモリ株式会社) など。売上上位10社に対する依存度は18.2%と、特定顧客への依存を避けている
人材派遣業を取りまく環境は法改正や働き方改革、外国人労働者の受け入れ緩和などから大きな転換点を迎えている。労働人口の減少によって企業では人手不足が深刻化しており、人材派遣市場には追い風が吹く。しかし法改正への対応や優秀な人材の獲得の観点から、業界内の競争はより激しくなると考えられる。

2020年12月期 会社説明資料

競合他社

2020年度の売上高で比較すると、技術者派遣業のシェアは6028テクノプロ・ホールディングスが158,407百万円でトップ。次いで2429ワールドホールディングスが143,571百万円、2154夢真ビーネックスグループが81,755百万円と続く。同社は35,753百万円で4位

連結の範囲

連結子会社が6社あり、国内に4社、海外に2社である。2018年に設立した株式会社アグリ&ケアは成長産業へと向かう農業関連分野、人手不足が顕著な介護関連分野においてアウトソーシング事業を営む。事業分野の新規開拓を担う子会社である。また2020年に子会社化した株式会社デジタル・スパイスは、農業ロボットや航空宇宙・医療機器など成長分野における技術者派遣を手掛け、高い技術力を持つプロ集団として、同社とのシナジー効果が見込める。

2020年12月期 会社説明資料

強み・弱み

取引先の業種が幅広く、売上の割合もバランスがとれているため、景気変動によるリスクを分散できる点が強み。また同社ではすべての技術者を正社員として雇用している。充実した教育・研修体系により開発・設計に特化した「高度技術者集団」としてのブランドを確立している。リーマンショックの不況時もひとりもリストラをせず事業展開、V字回復を遂げた。2015年の法改正により、無期雇用派遣の期間制限が撤廃されたことも同社にとってはプラスにはたらく。一方で少子高齢化、労働人口の減少から今後は人材の確保が課題となる。

KPI

人材確保の面から、技術社員数、入社人数の推移はKPIとなりうる。ならびに積極的に新規事業を展開する、主力のアウトソーシングサービス事業の売上高もKPIといえる。
1. 技術社員数:2020年12月末時点 3,897人(前年同期比+114人)
2. 入社人数:2020年度 233名(前年比-81名)
3. アウトソーシング事業売上高:2021年12月期第1四半期 9,131百万円(前年同期比+4.6%)

業績

2020年12月期はコロナ禍の影響で1.7%の減収となったものの、2016年12月期から2019年12月期の4期間で売上高は1.36倍となっている。経常利益については5期間で1.56倍の伸び。営業CFは安定的にプラスで推移。ROEも上昇しつづけており、2017年12月期より20%以上で推移している。

2020年12月期 会社説明資料