6440 JUKIの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1938年12月に設立された東京重機製造工業組合が同社の前身で、旧日本陸軍の小銃を製造していた。1943年9月、株式会社に改組され東京重機工業株式会社となり、戦中の設備や技術を活かして1947年4月より家庭用ミシンの製造販売を開始1953年3月には工業用ミシンの製造販売にも拡大。1961年10月東証二部に上場、1964年8月東証一部へ変更。1971年4月には栃木県大田原市に、工業用ミシンの主力工場である大田原工場を竣工。ミシン製造大手として揺るぎない地位を築き、特にアパレル向け工業用ミシンの製造は世界首位。1998年4月、登記商号をジューキ株式会社へ変更。2005年7月には従前より定着していたJUKIの名を登記商号とし、現在の社名であるJUKI株式会社になった。

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の大株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)が6.27%、株式会社日本カストディ銀行(信託口)が3.63%、株式会社みずほ銀行が3.20%、日本生命保険相互会社が2.49%となっており、以下保険会社や信託銀行の信託口などの大株主が並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役は3名(1名常勤、社外2名)、監査役会設置会社である。代表取締役2名はみずほ銀行の執行役員経験者でもう1名の社内取締役はプロパーとみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役会長CEOの清原晃氏は1951年11月生まれ。慶應義塾大学を卒業後、1974年4月に株式会社富士銀行入行。株式会社みずほ銀行で執行役員歴任後、2007年3月にはみずほキャピタル株式会社代表取締役社長に就任。2009年5月に顧問として同社入社。2009年6月の専務取締役を経て、2010年6月に同社代表取締役社長に就任。2013年8月にはJUKIオートメーションシステムズ株式会社の代表取締役社長を兼任。2021年1月より同社代表取締役会長CEOとなった他、2021年3月にはJUKIオートメーションシステムズ株式会社においても代表取締役会長となっており、現職名は同社代表取締役会長CEO兼JUKIオートメーションシステムズ株式会社代表取締役会長CEO
代表取締役社長COOの内梨晋介氏は1957年3月生まれ。京都大学経済学部を卒業後、1979年4月に株式会社富士銀行入行。株式会社みずほ銀行で支店長・執行役員歴任後、2011年5月に上席執行役員として同社入社。2013年からは常務執行役員として財務経理部を中心に複数の部門を担当。2017年3月に取締役常務執行役員、2018年3月に取締役専務執行役員を経て、2020年3月には代表取締役専務執行役員「グローバル コ・オペレートセンター(財務経理部)担当」兼「事業センター(産業機器&システムユニット産業装置カンパニー、グループ事業カンパニー)担当」兼「生産センター担当」に就任。2021年1月に代表取締役COOとなり、2021年3月には現職である同社代表取締役社長COO兼JUKIオートメーションシステムズ株式会社取締役に就任した。

報告セグメント

「縫製機器&システム事業」、「産業機器&システム事業」の2報告セグメントに大別され、2020年12月期の売上高70,401百万円の構成比は縫製機器&システム事業60.7%産業機器&システム事業39.0%、その他0.3%である。全社共通費用等を含める前のセグメント損失は、縫製機器&システム事業が△2,201百万円、産業機器&システム事業が△42百万円となり、連結の営業損失は△3,957百万円であった。なお、2020年12月期下期から需要は回復基調にあり、2021年12月期第1四半期は売上高21,883百万円、営業利益326百万円と黒字回復している。
下図の通り、海外売上高比率は79.1%と高い。

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事業モデル

縫製機器&システム事業では、工業用ミシン・家庭用ミシンを製造・販売する世界トップシェアの工業用ミシン生産では、栃木県大田原工場を含む国内2工場、中国2工場、ベトナム1工場の計5工場を有しており、布帛用・ニット用・ノンアパレル用など製造可能な機種数は2000を超える。アパレルメーカー・裁縫工業など国内外に多数の顧客を持つ
家庭用ミシンは、主に連結子会社である上海重機ミシンやパートナー企業での生産が中心。家庭用高性能モデル「HZL」シリーズの他、職業用ミシン、小型ロックミシンなども製造販売している。
産業機器&システム事業は、電子基板製造工場向けのマウンタや検査機、印刷機を製造販売する産業装置事業を担う。他にも、各種製品の受託開発・製造を手掛けるグループ事業、工業用ミシンや産業装置事業のアフターサービスやパーツ・消耗品を手掛けるカスタマービジネスを展開する。

競合他社

同社と並んでミシン製造販売の3強である、6448ブラザー工業株式会社(2021年3月期売上高631,812百万円) 6445蛇の目ミシン工業株式会社(2021年3月期売上高43,839百万円) が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は25社、持分法適用会社は1社と多く、国内で10社、海外で16社である。このうち主要な子会社は産業機器&システム事業において同社製品の販売や保守を手掛けるJUKIオートメーションシステムズ株式会社である。中国・アメリカに複数の連結子会社を持つ他、シンガポール・インドなどにも拠点を有する。

強み・弱み

工業用ミシンの製造販売で、世界トップのシェア約3割を誇る点が最大の強みで、輸出先は世界180か国にも上るなどアパレル業界から高い信頼を得ている。一方、約8割が海外という同社の売上構成や海外生産拠点の存在は、現地国の政治・経済情勢、為替変動といったリスクに加え、適切な需給の見極めなどの課題を伴う。

KPI

2020年12月期の主要KPIは以下のとおり
①縫製機器&システム事業売上高42,732百万円(前年同期比△33.5%)
②産業機器&システム事業売上高27,447百万円(前年同期比△20.8%)

2020年12月期決算説明会資料

業績

2016年12月期から2020年12月期まで過去5期分の経営状況をみると、売上高はおおむね100,000百万円前後で推移していたが、2020年12月期は70,401百万円(前年同期比△29.0%)と大幅な減少となった。プラスで推移していた経常利益も同様の傾向で、2020年12月期は3,957百万円のマイナスに転じた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、特に2020年12月期上半期において各国の設備需要が落ち込んだことが主な要因とみられるが、下半期においてはコロナ禍の巣ごもり需要や5G需要を背景に回復基調となった。営業CFはプラス、投資CFはマイナスで推移。財務CFは変動がみられるが、2020年12月期は借入金の増加を背景にプラスとなった。2020年12月期の自己資本比率は28.15%であった。