6440 JUKIの業績について考察してみた

6440 JUKIの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q3 2023.09 22,776 -1,181 -5.19%
FY2023.Q4 2023.12 27,204 171 0.63%
FY2024.Q1 2024.03 23,237 -145 -0.62%
FY2024.Q2 2024.06 22,645 -1,283 -5.67%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.03 23,717 2,138 9.01%
FY2017.Q2 2017.06 24,672 1,480 6%
FY2017.Q3 2017.09 25,839 1,953 7.56%
FY2017.Q4 2017.12 29,431 2,585 8.78%
FY2018.Q1 2018.03 25,650 1,242 4.84%
FY2018.Q2 2018.06 27,585 2,408 8.73%
FY2018.Q3 2018.09 28,468 2,571 9.03%
FY2018.Q4 2018.12 30,361 2,927 9.64%
FY2019.Q1 2019.03 25,753 1,349 5.24%
FY2019.Q2 2019.06 26,132 1,246 4.77%
FY2019.Q3 2019.09 22,539 643 2.85%
FY2019.Q4 2019.12 24,745 600 2.42%
FY2020.Q1 2020.03 16,860 -1,472 -8.73%
FY2020.Q2 2020.06 13,636 -1,996 -14.64%
FY2020.Q3 2020.09 16,281 -1,179 -7.24%
FY2020.Q4 2020.12 23,624 178 0.75%
FY2021.Q1 2021.03 21,883 326 1.49%
FY2021.Q2 2021.06 25,215 1,582 6.27%
FY2021.Q3 2021.09 26,024 1,096 4.21%
FY2021.Q4 2021.12 28,170 864 3.07%
FY2022.Q1 2022.03 27,218 764 2.81%
FY2022.Q2 2022.06 31,359 794 2.53%
FY2022.Q3 2022.09 28,510 929 3.26%
FY2022.Q4 2022.12 30,367 371 1.22%
FY2023.Q1 2023.03 21,959 -1,190 -5.42%
FY2023.Q2 2023.06 22,811 -499 -2.19%
FY2023.Q3 2023.09 22,776 -1,181 -5.19%
FY2023.Q4 2023.12 27,204 171 0.63%
FY2024.Q1 2024.03 23,237 -145 -0.62%
FY2024.Q2 2024.06 22,645 -1,283 -5.67%

沿革

1938年12月に設立された東京重機製造工業組合が同社の前身で、旧日本陸軍の小銃を製造していた。1943年9月、株式会社に改組され東京重機工業株式会社となり、戦中の設備や技術を活かして1947年4月より家庭用ミシンの製造販売を開始1953年3月には工業用ミシンの製造販売にも拡大。1961年10月東証二部に上場、1964年8月東証一部へ変更、現在は東証プライム。1971年4月には栃木県大田原市に、工業用ミシンの主力工場である大田原工場を竣工。ミシン製造大手として揺るぎない地位を築き、特にアパレル向け工業用ミシンの製造は世界首位。1998年4月、登記商号をジューキ株式会社へ変更。2005年7月には従前より定着していたJUKIの名を登記商号とし、現在の社名であるJUKI株式会社になった。現在は、工業用ミシン、家庭用ミシンなどの製造販売を主な事業とする。

株主構成

有価証券報告書によると2022年6月末時点の大株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)が12.77%、株式会社日本カストディ銀行(信託口)が3.47%、株式会社みずほ銀行が3.19%、日本生命保険相互会社が2.49%となっており、以下保険会社や信託銀行の信託口などの金融機関系大株主が並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役は3名(1名常勤、社外2名)、監査役会設置会社である。代表取締役2名はみずほ銀行の執行役員経験者で、社外監査役の1名もみずほ銀行出身者である。社内取締役の1名はプロパーとみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役会長CEOの清原晃氏は1951年11月生まれ。慶應義塾大学を卒業後、1974年4月に株式会社富士銀行入行。株式会社みずほ銀行で常務執行役員を歴任後、2007年3月にはみずほキャピタル株式会社代表取締役社長に就任。2009年5月に顧問として同社入社。2009年6月の専務取締役を経て、2010年6月に同社代表取締役社長に就任。2013年8月にはJUKIオートメーションシステムズ株式会社の代表取締役社長を兼任。2021年1月より同社代表取締役会長CEOとなった他、2021年3月にはJUKIオートメーションシステムズ株式会社においても代表取締役会長となっており、現職名は同社代表取締役会長CEO兼JUKIオートメーションシステムズ株式会社代表取締役会長CEO
代表取締役社長COOの内梨晋介氏は1957年3月生まれ。京都大学経済学部を卒業後、1979年4月に株式会社富士銀行入行。株式会社みずほ銀行で支店長・執行役員歴任後、2011年5月に上席執行役員として同社入社。2013年からは常務執行役員として財務経理部を中心に複数の部門を担当。2017年3月に取締役常務執行役員、2018年3月に取締役専務執行役員を経て、2020年3月には代表取締役専務執行役員、2021年1月に代表取締役社長COOに就任した

報告セグメント

「縫製機器&システム事業」、「産業機器&システム事業」の2報告セグメントに大別され、2022年6月期の売上高58,577百万円の内訳は縫製機器&システム事業39,788百万円、産業機器&システム事業19,184百万円、その他363百万円である。全社共通費用等を含める前のセグメント利益は、縫製機器&システム事業が25百万円、産業機器&システム事業が1,246百万円となり、連結の経常利益は1,581百万円であった。通常、両事業の利益率は同程度だが、下記理由により縫製機器&システム事業が大幅な減益であった。

2022年12月期第2四半期 決算説明資料

事業モデル

縫製機器&システム事業では、工業用ミシン・家庭用ミシンを製造・販売する世界トップシェアの工業用ミシン生産では、栃木県大田原工場を含む国内2工場、中国2工場、ベトナム1工場の計5工場を有しており、布帛用・ニット用・ノンアパレル用など製造可能な機種数は2,000を超える。アパレルメーカー・裁縫工業など国内外に多数の顧客を持つ
家庭用ミシンは、主に連結子会社である上海重機ミシンやパートナー企業での生産が中心。家庭用高性能モデル「HZL」シリーズの他、職業用ミシン、小型ロックミシンなども製造販売している。
産業機器&システム事業は、電子基板製造工場向けのマウンタや検査機、印刷機を製造販売する産業装置事業を担う。他にも、各種製品の受託開発・製造を手掛けるグループ事業、工業用ミシンや産業装置事業のアフターサービスやパーツ・消耗品を手掛けるカスタマービジネスを展開する。

競合他社

同社と並んでミシン製造販売の3強である、6448ブラザー工業株式会社(2022年3月期売上高710,938百万円) 、6445蛇の目ミシン工業株式会社(2022年3月期売上高42,916百万円) が直接の競合先として挙げられる。

連結の範囲

グループは、同社のほか、連結子会社は25社、持分法適用会社は1社から構成されており、そのうち、国内で10社、海外で16社である。このうち主要な子会社は産業機器&システム事業において同社製品の販売や保守を手掛けるJUKIオートメーションシステムズ株式会社である。中国・アメリカに複数の連結子会社を持つ他、シンガポール・インドなどにも拠点を有する。

強み・弱み

工業用ミシンの製造販売で、世界トップのシェア約3割を誇る点が最大の強みで、輸出先は世界180か国にも上るなどアパレル業界から高い信頼を得ている。一方、約8割が海外という同社の売上構成や海外生産拠点の存在は、現地国の政治・経済情勢、為替変動といったリスクに加え、適切な需給の見極めなどの課題を伴う。

KPI

売上高などの財務数値のほかに、同社が2022年度を最終年度とする中期経営計画で定める事業別の重点目標の下記項目が当面のKPIと見なすことができるだろう。
①    工業用ミシン 2022年度売上高目標 646億円 (前期比+95億円)
②    家庭用ミシン 2022年度売上高目標 86億円 (前期比+0億円)
③    産業装置 2022年度売上高目標 254億円 (前期比+32億円)
④    グループ事業 2022年度売上高目標 114億円 (前期比+12億円)
⑤    カスタマービジネス 2022年度売上高目標 90億円 (前期比+10億円)

2021年12月期決算説明資料

業績

2017年12月期から2021年12月期まで過去5期分の経営状況を確認すると、2021年12月期は、売上高などが大きく落ち込んだ2020年12月期から持ち直し、売上高はコロナ禍前の水準 (2021年12月期売上高101,292百万円)まで回復した。営業CFは前年の売上高急減などが影響し大きくマイナス、投資CFは小幅なマイナス。財務CFは、2020年12月期は借入金の増加を背景にプラスとなったが、2021年12月期は小幅なマイナスとなった。2022年6月期の自己資本比率は25.7%であった。

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