6445 蛇の目ミシン工業の業績について考察してみた

6445 蛇の目ミシン工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.03 9,753 1,052 10.79%
FY2024.Q1 2023.06 7,653 -180 -2.35%
FY2024.Q2 2023.09 9,889 459 4.64%
FY2024.Q3 2023.12 9,334 598 6.41%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 9,907 663 6.69%
FY2018.Q1 2017.06 9,485 343 3.62%
FY2018.Q2 2017.09 10,773 591 5.49%
FY2018.Q3 2017.12 10,645 636 5.97%
FY2018.Q4 2018.03 9,875 505 5.11%
FY2019.Q1 2018.06 9,600 133 1.39%
FY2019.Q2 2018.09 9,589 325 3.39%
FY2019.Q3 2018.12 10,142 522 5.15%
FY2019.Q4 2019.03 8,822 170 1.93%
FY2020.Q1 2019.06 8,136 46 0.57%
FY2020.Q2 2019.09 9,165 271 2.96%
FY2020.Q3 2019.12 9,061 245 2.7%
FY2020.Q4 2020.03 9,159 596 6.51%
FY2021.Q1 2020.06 10,513 1,110 10.56%
FY2021.Q2 2020.09 10,735 1,256 11.7%
FY2021.Q3 2020.12 11,397 1,443 12.66%
FY2021.Q4 2021.03 11,194 1,122 10.02%
FY2022.Q1 2021.06 10,439 760 7.28%
FY2022.Q2 2021.09 10,785 1,049 9.73%
FY2022.Q3 2021.12 11,139 967 8.68%
FY2022.Q4 2022.03 10,553 883 8.37%
FY2023.Q1 2022.06 10,477 543 5.18%
FY2023.Q2 2022.09 9,198 118 1.28%
FY2023.Q3 2022.12 9,143 407 4.45%
FY2023.Q4 2023.03 9,753 1,052 10.79%
FY2024.Q1 2023.06 7,653 -180 -2.35%
FY2024.Q2 2023.09 9,889 459 4.64%
FY2024.Q3 2023.12 9,334 598 6.41%

沿革

1921年10月パイン縫製機械製作所創設。1935年11月に帝国ミシン株式会社、1949年1月に蛇の目ミシン株式会社に商号変更。1950年6月蛇の目ミシン株式会社を継承し、蛇の目産業株式会社設立、1954年4月蛇の目ミシン工業株式会社に商号変更。1962年9月東証二部上場、1963年11月東証一部に変更。2021年10月には株式会社ジャノメに商号変更予定。2019年12月にミシン生産累計7,000万台を達成した家庭用ミシンの国内最大手

株主構成

有価証券報告書によると2021年5月末時点の筆頭株主は、旧埼玉銀行(現埼玉りそな銀行)系列の大栄不動産で保有割合7.95%。日本マスタートラスト信託銀行の信託口が6.46%で続き、以降は保有割合5%未満だが、りそな銀行3.92%、埼玉りそな銀行が1.77%と筆頭株主含めりそなグループ系列の保有割合が高い。その他には国内信託銀行信託口、海外金融機関、蛇の目協力会持株会、蛇の目従業員持株会などが並ぶ。尚、大量保有報告書によるとTempered Investment Management LTDの持分が6.83%の模様。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外4名)、うち監査等委員は4名 (社内1名、社外3名)、監査等委員会設置会社である。社内取締役のうち2名は現りそな銀行出身者、残りはプロパー入社とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長CEOの齋藤真氏は1955年1月生まれ。上智大学卒業後、1978年4月に同社入社。2011年4月執行役員、2017年6月取締役、2019年6月代表取締役COOに就任。2021年6月より現職を務め、内部監査室担当および製品企画室担当を兼任する

報告セグメント

「家庭用機器」、「産業機器」および「IT関連」の3報告セグメントおよび報告セグメントに含まれない不動産賃貸等のその他に大別される。2022年3月期第1四半期売上高10,439百万円の構成は、家庭用機器80.4%、産業機器12.1%、IT関連6.0%、その他1.4%だった。全社費用等を除く営業利益は、9割以上を家庭用機器で計上する一方、産業機器とその他は赤字だった。

事業モデル

家庭用機器事業は用途やニーズに合わせた各種ミシンを取り扱う。国内販売はミシン専門店、量販店、ネット通販などの販売チャネルにて行われる。学校専用ミシンを開発し、全国の小・中・高校22,000校とミシン納入からアフターサービスまで含めた取引をしている。海外販売は販売子会社のほか、各国の販売代理店を通じて100以上の国・地域に展開する。北米が最大のミシン市場で普及モデル~最高級モデルまで販売しているほか、欧州市場では、欧州系家庭用ミシンメーカーへのOEM供給も行う。ミシンの地域別販売台数は下図の通り。

2021年3月期 決算説明資料

産業機器事業は家庭用ミシンで培った「高精度位置制御技術」をベースに卓上ロボットやサーボプレス等の各種産業機器製品および部品の開発・製造・販売を行う。国内外のIT・エレクトロニクス・自動車部品などの製造分野がターゲット。
IT関連事業はITソフトウェア開発・情報処理サービス、システム運営管理のアウトソーシングを提供する。

競合他社

同社を含めミシン製造販売の3強として、6448ブラザー工業(2021年3月期売上高631,812百万円)、6440JUKI(2020年12月期売上高70,401百万円)が挙げられる。

連結の範囲

連結子会社19社で構成される。うち12社は海外販売子会社で米国、カナダ、英国、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、スイス、オランダ、チリなどに拠点を持つ。また同社、国内子会社、台湾およびタイの子会社にて製造を行う。

JANOME REPORT2020

強み・弱み

国内トップシェアを持つ家庭用ミシンが強み。しかしながら国内ミシン需要は低下が見られるほか、低価格化への対応が課題となる。同社は米国、欧州において需要が伸びる高価格帯ミシンや新興国向けの成長が見込まれる低価格帯ミシンの販促に取り組む。そのため海外売上比率は70%前後で推移しており、為替リスクおよびカントリーリスクを持つ。

KPI

①家庭用ミシン販売台数(日本30万台、世界184万台:2021年3月期)
②産業機器販売台数(2,926台、前期比▲1,248台:2021年3月期)
③為替(米ドルなど)

業績

2017年3月期以降の業績をみると、売上高、営業利益ともに低下基調だったが、2021年3月期は巣ごもり消費をきっかけとした家庭用ミシン需要が高い水準を維持したことから、前期比増収増益となった。フリーCFは毎期プラス。自己資本比率は有利子負債の減少進み、長期的に上昇基調で2021年3月期は54.6%

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