3680 ホットリンクの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2000年6月に代表取締役会長の内山幸樹氏が株式会社ホットリンク設立。2005年11月株式会社オプトと業務資本提携。2008年3月に株式会社ガーラバズから電通バズリサーチ事業(ソーシャル・ビッグデータの分析)を譲受、同年7月にはソーシャル・ビッグデータ分析ツール『クチコミ@係長』正式版をリリース。2009年7月に『クチコミ@係長』へTV露出データ、ネットニュース記事データ、口コミデータを統合。2012年5月に、ソーシャルリスク・モニタリングサービス『e-mining』を提供する前述の株式会社ガーラバズを子会社化(後に吸収合併)。2012年10月には、掲示板サイト「2ちゃんねる」(現「5ちゃんねる」)の運営会社との間で、同サイトの掲載情報に関して独占商用利用承諾契約を締結。2012年11月に米国Gnipとの間で、日本におけるTwitterデータの独占販売代理権契約を締結。2013年12に東証マザーズ上場。2014年6月には、米国Effyis(後に子会社化)との間に、アジア・パシフィック地域における中国ソーシャル・ビッグデータの独占販売代理権契約を締結。世界中のソーシャル・ビッグデータを解析する技術でSNSマーケティング支援サービスを提供する。

株主構成

有価証券報告書によると、2020年12月末時点での筆頭株主は代表取締役会長の内山幸樹氏で16.57%保有。次いで英国NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-MARGIN (CASHPB) が6.48%保有。以下は5%未満の保有率で、国内外の銀行・信託銀行信託口、証券会社などが連なる。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は4名(社内1名、社外3名)、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。代表取締役会長の内山幸樹氏以外の取締役は全員社外で、大手金融機関出身者、大学教授、経営コンサルタントが就任。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の内山幸樹氏は1971年2月生まれ。東京大学卒業、同学大学院中退後の1997年4月に、在学中から係わった検索エンジン開発ベンチャーの株式会社マジックハウス入社。2000年6月に同社を設立し代表取締役社長に就任、2019年3月より現職

報告セグメント

「ソーシャルメディアマーケティング支援事業」の単一セグメントであるが、商材別に「SNSマーケティング支援事業」、「クロスバウンド事業」、「DaaS事業」に大別される。有価証券報告書によると、2020年12月期における売上高4,385百万円の構成比は、SNSマーケティング事業が32.7%、クロスバウンド事業が25.4%、DaaS事業が41.9%。なお最新の決算短信では、2021年12月期第1四半期の売上高1,256百万円の構成比は、SNSマーケティング支援事業が36.7%、クロスバウンド事業が26.5%、DaaS事業が36.8%。

事業モデル

SNS、ブログ、電子掲示板などにおけるユーザー目線の投稿が商品・サービスの売上に大きく影響することに着目し、販売戦略上有用なこれらの媒体でのマーケティング情報を提供する。顧客は商品・サービスを販売する事業主であり、広告やウェブ上のコンテンツなどが効果的に口コミ等へ反映されるよう、情報提供、助言、代行を行う。
SNSマーケティング支援事業は、国内の顧客向けに、主としてSNSで好評を博すよう対策を講ずる。SNS等から収集したデータを分析し、その結果を基に売上向上のための施策立案、事後サポートを行う。また、SNS分析ツール『クチコミ@係長』も販売する。
クロスバウンド事業は、SNSマーケティング支援事業同様のサービスの中国市場向けを担う。また、訪日中国人の日本における購買も対象とする。
DaaS事業は、上記2事業の運営に必須なデータ収集を担当する。収集データは同社で利用するとともに、同業他社などの外部顧客へも販売する。

3事業の役割分担(2021年12月期第1四半期決算短信補足資料)

競合他社

6081 アライドアーキテクツ(株)が事業内容、会社規模ともに競合する。年間売上高4,192百万円(2020年12月期)。また、3905 データセクション(株)もソーシャルメディア分析、ビッグデータ活用などで競合。年間売上高1,389百万円(2021年3月期)。

連結の範囲

同社グループは、同社、連結子会社5社、持分法適用関連会社1社から構成される。事業の分担は、SNSマーケティング支援事業については同社が、クロスバウンド事業に関しては子会社の株式会社トレンドExpressが、DaaS事業は子会社のEffyis, Inc. が担当する。また、連結売上高に占める各社の売上高の比率は株式会社トレンドExpressが17.6%、Effyis, Inc. が36.7%であった(2020年12月期)。

強み・弱み

インターネット広告の拡大ならびにSNS等の浸透の波に乗って、順調に売り上げを伸ばしている点が強み。また、国内市場、中国市場共に日系有名企業を顧客に抱え、豊富な支援実績を持つことも強み。DaaS事業における、外部顧客へのデータアクセス権販売が安定した収益源である点も強み。一方、コスト高 が深刻な課題。売上原価にはデータのアクセス権が原価として計上され、データごとに原価率が異なるため商品MIXもあるが、直近2期は粗利率が40%を下回りIFRSで開示のある2015年12月期の51%からは低下基調が続く。2019年12月期の米国データアクセス権販売事業ののれん減損などもあるが粗利に応じた販管費の適正化が必要とみられる。SaaS事業の縮小など合理化を推進している。

(2021年12月期第1四半期決算短信補足資料)

KPI

契約件数、契約単価などが基本的なKPIと見られる。SNSマーケティング支援事業では契約件数が順調に増加している。
・契約件数
・契約単価

SNSマーケティング支援事業の契約件数(2021年12月期第1四半期決算短信補足資料)

業績

売上高は順調に増加しているものの、収益面では赤字の期が多い。2020年12月期は、売上高4,385百万円(前期比+18.6%)、営業利益▲25百万円(前期は▲1,699百万円)、税引前利益▲84百万円(前期は▲1,707百万円)であった。なお、2021年12月期第1四半期は、売上高1,256百万円(前年同期比+33.0%)、営業利益63百万円(前年同期は▲112百万円)、税引前利益202百万円(前年同期は▲126百万円)と回復の兆し。営業CFはほぼプラス、投資CFは恒常的にマイナスで推移。直近決算期の自己資本比率は77.0%。