6194 アトラエの業績について考察してみた

6194 アトラエの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2003年10月東京都にてHR(Human Resources)領域でITを駆使した労働力の最適配置を実現するために株式会社ユビキタスコミュニケーションズを設立。2005年4月株式会社I&Gパートナーズに商号変更。2006年7月成功報酬型求人メディア「green」のサービス提供を開始。2012年12月 ソーシャルリクルーティングサービス「JobShare」のサービス提供を開始。2014年7月株式会社アトラエに商号変更。2016年1月ビジネス版マッチングアプリ「yenta」のサービス提供を開始。2016年6月東証マザーズへ上場。2018年6月東証一部へ市場変更。2020年7月株式会社アルティーリを設立。IT・Web業界に強い求人 メディア「Green」の運営を中心に、組織内の人材活用のエンゲージメントを高める解析ツール「wevox」や、機械学習のAI(人口知能)を活用した採用、営業、出資などの出会いを創造するマッチングツール「yenta」などを提供する。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、代表取締役CEOである新居佳英氏の資産管理会社「株式会社ラウレア」が25.61%の保有。また、同氏が10.65%を保有しており、併せて36.26%を保有。次いで株式会社日本カストディ銀行(信託口)が8.7%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)が6.77%、株式会社日本カストディ銀行(信託口9)が5.83%と信託銀行が並ぶ。5%未満の保有においても、信託銀行や証券会社などの国内外の金融機関が並ぶ。

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、社外3名は全員が監査等委員。監査等委員会設置会社である。取締役CTOの岡利幸氏はプロパー社員、取締役CFOの鈴木秀和氏は大和証券株式会社の出身者で、現在は株式会社ツクルバの社外取締役や子会社化した株式会社アルティーリの取締役CFOも兼任している。

代表取締役の経歴

代表取締役CEOの新居佳英氏は1974年7月生まれ。上智大学を卒業後、株式会社インテリジェンスに入社。その後株式会社インサイトパートナーズの代表取締役を経験し、2003年10月に同社設立、代表取締役に就任。株式会社東京通信の社外取締役や子会社化した株式会社アルティーリの取締役CFOを兼任している。

報告セグメント

「People Tech事業」、「Sports Tech事業」の2報告セグメントに大別されるが、Sports Tech事業は株式会社アルティーリの連結子会社化に伴い、2021年9月期第1四半期より新たに追加されたセグメントで売上はまだ立っていない。2021年9月期第2四半期の売上高1,884百万円の構成比はPeople Tech事業が100%。セグメント利益又は損失は、People Tech事業614百万円、Sports Tech事業▲23百万円であり、調整額を差し引くと592百万円であった。

事業モデル

People Tech事業は、 IT・Web業界に強い成功報酬型求人 メディア「Green」の運営を中心に、組織内の人材活用のエンゲージメントを高める解析ツール「wevox」や、機械学習のAI(人口知能)を活用した採用、出資、営業、情報交換、転職などビジネスの出会いを創造するマッチングアプリ「yenta」などを提供する。
主力サービスである成功報酬型求人メディア「Green」は、ビッグデータ解析等のテクノロジーを駆使することにより、求職者と求人企業の最適なマッチングを実現するプラットフォームである。営業人員を介さずに高いマッチング精度を実現できるため、大規模な営業人員を抱えずに済む。エンゲージメント解析ツール「wevox」は、今まで感覚的に推測するしかなかった組織に対するエンゲージメント(愛着心・信頼等)や組織の現状を、わずか数分で回答可能なアンケートを元に可視化し、組織改善のサイクルを生み出すサービス。結果を分析し、エンゲージメントにおける課題特定及び改善策を実施していく事で、より望ましい経営環境を構築することが可能となる。
Sports Tech事業は、B3リーグ2021-22シーズン参入を目指し、プロバスケットボールクラブ運営の準備等を進めている。

2021年9月期第1四半期 決算説明会資料

現代においては、PC、タブレット端末、スマートフォン等の普及、さらにはFacebookやTwitter等のソーシャルメディアやブログを中心に個人が積極的に情報を発信し、情報のオープン化が進んでいる。HR(Human Resources)領域においても、ビッグデータ解析等のテクノロジーを活用することにより、これまで以上に本質的な価値の提供が可能であると同社は考えている。欧米先進国では既にこれらを活用した採用活動が盛んに行われており、今後は日本においてもその流れが加速することが予想されている。企業には、広く公にしたくない求人情報が一定数存在すると見られるが、それ以外の求人情報については、求人広告の掲載料を掛け捨てにする必要がない、成果報酬型の完全公開のプラットフォームにおいて広く公にすることで優秀な人材の応募を募るという企業ニーズは今後も高まると予想される。

競合他社

競合としては、人材紹介会社やそれらによって運営されている求人メディアなどが挙げられる。既存の企業が多く、参入障壁が低いため新規参入企業も多いが、成功報酬型求人メディア「Green」の営業人員を介さないマッチング精度の向上が競争優位性を高めているとみられる。同様に営業人員を介さない求人メディアとしては、4480メドレーなどが挙げれられるが医療ヘルスケア領域を対象としており、同社のIT・Web業界では競合しないとみられる。

連結の範囲

同社及び連結子会社である株式会社アルティーリの2社で構成される

強み・弱み

HR領域におけるノウハウ、経験、求職者及び求人企業の採用プロセスに関するあらゆるデータを創業来15年分蓄積し各事業のマッチングに活かされていることが強み。なお、Greenでは2021年9月期第二四半期時点で累計登録企業数7,700社超、登録ユーザーID85万人超の実績を有し、IT業界にとどまらず幅広い業界のリーディングカンパニーを顧客に有す点は強み。一方で、同社が算出する同社の狙うIT業界の人材紹介市場540億円に対して同社の占有率は5.4%とまだ小さく、成長可能性であると同時に認知度・知名度を向上させていくことが課題とも考えられる。また、企業の求人動向が業績に与える影響が大きい点もリスクである。

KPI

主力サービスである「Green」の各指標が2021年9月期第2四半期の主なKPIとみられる。
①「Green」 アクティブユーザー数53,494人(前年同期比+22.5%)
②「Green」 入社人数798人(前年同期比▲5.8%)
③「Green」 累計登録企業数7,769社(前年同期比+663社)
④「Green」 期末掲載求人数18,807社(前年同期比+2,074社)

業績

2016年9月期から2020年9月期までの5期をみると、売上高は1,312百万円から3,430百万円、経常利益は376百万円から733百万円と増収増益。人材紹介サービス「Green」の好調に加え、「yenta」や「wevox」のマネタイズも進んだことが要因とみられる。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。2021年9月期第2四半期における自己資本比率は89.0%。