2124 JAC Recruitmentの業績について考察してみた

2124 JAC Recruitmentの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2022.Q2 2022.06 7,354 1,600 21.76%
FY2022.Q3 2022.09 8,093 2,089 25.81%
FY2022.Q4 2022.12 7,517 1,044 13.89%
FY2023.Q1 2023.03 8,746 2,156 24.65%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.03 3,831 1,397 36.47%
FY2017.Q2 2017.06 3,947 1,247 31.59%
FY2017.Q3 2017.09 4,341 1,667 38.4%
FY2017.Q4 2017.12 3,925 998 25.43%
FY2018.Q1 2018.03 5,403 1,314 24.32%
FY2018.Q2 2018.06 5,640 1,341 23.78%
FY2018.Q3 2018.09 6,203 1,894 30.53%
FY2018.Q4 2018.12 5,818 982 16.88%
FY2019.Q1 2019.03 6,760 2,109 31.2%
FY2019.Q2 2019.06 5,954 1,257 21.11%
FY2019.Q3 2019.09 6,179 1,737 28.11%
FY2019.Q4 2019.12 5,277 984 18.65%
FY2020.Q1 2020.03 6,414 1,850 28.84%
FY2020.Q2 2020.06 5,625 1,494 26.56%
FY2020.Q3 2020.09 4,947 1,057 21.37%
FY2020.Q4 2020.12 4,628 737 15.92%
FY2021.Q1 2021.03 5,942 1,799 30.28%
FY2021.Q2 2021.06 6,009 1,499 24.95%
FY2021.Q3 2021.09 6,617 1,779 26.89%
FY2021.Q4 2021.12 6,284 745 11.86%
FY2022.Q1 2022.03 7,471 2,311 30.93%
FY2022.Q2 2022.06 7,354 1,600 21.76%
FY2022.Q3 2022.09 8,093 2,089 25.81%
FY2022.Q4 2022.12 7,517 1,044 13.89%
FY2023.Q1 2023.03 8,746 2,156 24.65%

沿革

1988年3月、株式会社ジェイエイシージャパンとして人材紹介事業を目的に、東京都千代田区に設立。2000年6月、人材派遣事業を開始し、同事業は2011年8月に終了。2001年6月、日本国内のJAC Recruitmentの商標権をEmmergarden Holdings Ltd(所在地:英国)より譲り受ける。2006年9月、ジャスダックに上場、2015年8月に東証一部へ変更。現在は東証プライム。2009年4月、株式会社ジェイエイシーリクルートメント(JAC Recruitment)に商号変更。海外各地のJAC Recruitment現地子会社との業務提携や、株式取得による子会社化を積極的に実施し、海外展開を図っている。外資系企業案件に強い人材紹介事業者である。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年12月末時点の筆頭株主は、創業者で取締役最高顧問の田崎忠良氏で20.7%を保有する。次いで忠良氏の配偶者で代表取締役社長兼会長の田崎ひろみ氏が17.5%実業家の金親晋午氏10.3%、日本マスタートラスト信託銀行の信託口8.6%、田崎忠良氏が設立した、東京都内の高校生の英国留学を支援する公益財団法人Tazaki財団5.3%、と続く。以降は信託銀行の信託口やかんぽ生命、取締役の松園健氏などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は12名(社内5名、社外7名)で、社外7名のうち3名は監査等委員。監査等委員会設置会社。社内取締役のうち、代表権を持たない取締役は3名。創業者の田崎忠良氏、キヤノンと楽天を経て2003年に同社に入社した山田広記氏、リクルート系企業を複数経て、2008年に同社取締役に就任した松園健氏である。なお松園氏は2011年1月から2021年12月まで11年にわたって代表取締役を務めていた。

代表取締役の経歴

代表取締役会長兼社長の田崎ひろみ氏は1950年12月生まれ。1974年に渡英し、住友信託銀行株式会社(現:三井住友信託銀行株式会社)ロンドン支店に入社。1981年5月、創業者の田崎忠良氏より声がかかり、同社の前身で人材紹介事業を手がけるT.TAZAKI&Co Ltdに入社。1988年の同社設立時より取締役を務め、2000年に代表取締役に就任
代表取締役副社長の服部啓男氏は1954年12月生まれ。1977年4月、株式会社日本リクルートセンター(現:リクルートホールディングス)に入社。1995年4月、株式会社ハーフ・センチュリー・モア株式会社へ入社し、取締役まで務める。2001年8月同社へ入社、取締役副社長へ就任。2008年4月より代表権を持つ。

報告セグメント

「国内人材紹介事業」「国内求人広告事業」「海外事業」の3報告セグメントに大別され、2022年12月期第1四半期の売上高7,471百万円の構成比は国内人材紹介事業89.7%、国内求人広告事業1.0%、海外事業9.2%である。国内人材紹介事業で利益を稼ぎ、国内求人広告事業は2期連続で赤字。海外事業は2019年12月期から3期連続で赤字が続いたが、2021年12月期は黒字に戻っている。

2022年12月期 第1四半期 決算説明資料

事業モデル

国内人材紹介事業は、求人企業に対して主に無期社員の候補者を紹介し、候補者が入社した時点で求人企業に成功報酬を請求する。日系企業だけでなく外資系企業や海外進出企業が求める国際人材の紹介に注力。同社と、英語での交渉を擁する国内外資系企業の中高額案件に特化した戦略子会社JAC International、金融・コンサル業界の高額案件に特化した戦略子会社バンテージポイントの3社が同事業を営む。
求人広告事業は、子会社のシー・シー・コンサルティングで求人広告サイト「キャリアクロス」を運営し、無期社員の求人案件を中心に掲載する。主に国内に進出する外資系企業を対象としている。広告掲載料を請求する前課金方式と、成功報酬方式を併用。2021年12月期においては前課金制から成功報酬型へ商品構成をシフトした。
海外事業は、日本企業の海外展開において、徐々に需要の高まる現地採用の案件に対応しながら、アジア各国を中心に日系企業や地元企業、多国籍企業などの紹介案件を取り扱う。
インターネットの普及が進む中、特定の人材紹介事業者のみが保有する求人情報・求職者情報が減少しつつある。転職希望者と求人数は中長期的には増加傾向にあるが、新たな人材サービスが複数登場。有効求人倍率の高い業界の採用市場には、エージェントの機能をインターネット上のプラットフォームでの求人企業と求職者の直接コミュニケーションに置き換えるサービスも出てきており、人材紹介業界では今後、生き残りをかけた厳しい競争が展開されるとみられる。

2021年12月期 決算説明資料

競合他社

人材紹介事業の競合企業は多い。大手では「リクルートエージェント」を運営する6098リクルートホールディングス、「doda(デューダ)」を運営する2181パーソルホールディングスなど。他にも多数の有名サービスが存在し、それらサービスの中で「外資系」や「ハイクラス人材」などの専属チームが組織されていることがほとんどである。外資系専属で一定の知名度を有する転職エージェントとしてはランスタッド株式会社やロバート・ウォルターズ等も挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は21社で、主要な子会社として、株式会社JACinternational、株式会社シーシー・コンサルティング、JACRecluitment International Ltd、株式会社バンテージポイントの4社が挙げられる。JACRecluitment International Ltdは海外事業(拠点シンガポール)を営み、アジア8ヵ国(シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、中国、韓国、ベトナム、インド)、ヨーロッパでは英国とドイツで事業を展開する。

強み・弱み

外資系企業へのハイクラスエージェントとして一定の知名度と実績を有する点は強み
一方でコンサルタントの採用・育成は事業の要となるため、今後の成長への課題である。コンサルタント1人あたりの月間生産性は2018年12月期より2期連続で低下しており、人材開発部門の増員やトレーニングプログラムの策定などで対策を取っている。

2021年12月期 決算説明資料

KPI

同社は求人成約率人材登録者成約率コンサルタント1人あたり月間成約額GP(売上総利益)営業利益率国際領域の事業比率をKPIとして掲げている。各項目の推移は下表のとおり。

2021年12月期 決算説明資料

業績

2017年12月期から2021年12月期まで過去5期の経営状況を見ると、安定的な成長を継続している。売上高は16,044百万円から24,852百万円へと約1.5倍、経常利益は約1.1倍となった。なお新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、2020年12月期のみ減収減益である。自己資本比率は70%以上を維持。営業CFは安定してプラス、投資CFは有価証券売却益を出した2020年12月期を除きマイナスである。

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