5195 バンドー化学の業績について考察してみた

5195 バンドー化学の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q2 2023.09 27,374 2,500 9.13%
FY2024.Q3 2023.12 26,773 2,400 8.96%
FY2024.Q4 2024.03 27,578 857 3.11%
FY2025.Q1 2024.06 29,344 2,292 7.81%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 22,615 1,696 7.5%
FY2018.Q1 2017.06 22,240 1,366 6.14%
FY2018.Q2 2017.09 23,552 1,719 7.3%
FY2018.Q3 2017.12 22,494 1,629 7.24%
FY2018.Q4 2018.03 22,977 1,622 7.06%
FY2019.Q1 2018.06 23,749 2,221 9.35%
FY2019.Q2 2018.09 24,550 2,196 8.95%
FY2019.Q3 2018.12 23,452 1,848 7.88%
FY2019.Q4 2019.03 22,567 550 2.44%
FY2020.Q1 2019.06 23,229 876 3.77%
FY2020.Q2 2019.09 23,005 1,894 8.23%
FY2020.Q3 2019.12 22,536 1,491 6.62%
FY2020.Q4 2020.03 21,477 -2,205 -10.27%
FY2021.Q1 2020.06 17,399 86 0.49%
FY2021.Q2 2020.09 19,717 1,350 6.85%
FY2021.Q3 2020.12 21,503 2,045 9.51%
FY2021.Q4 2021.03 22,752 1,896 8.33%
FY2022.Q1 2021.06 23,016 2,328 10.11%
FY2022.Q2 2021.09 23,128 2,519 10.89%
FY2022.Q3 2021.12 23,502 2,171 9.24%
FY2022.Q4 2022.03 24,098 -4,353 -18.06%
FY2023.Q1 2022.06 25,647 2,155 8.4%
FY2023.Q2 2022.09 26,553 2,216 8.35%
FY2023.Q3 2022.12 26,101 2,353 9.01%
FY2023.Q4 2023.03 25,307 1,535 6.07%
FY2024.Q1 2023.06 26,553 2,015 7.59%
FY2024.Q2 2023.09 27,374 2,500 9.13%
FY2024.Q3 2023.12 26,773 2,400 8.96%
FY2024.Q4 2024.03 27,578 857 3.11%
FY2025.Q1 2024.06 29,344 2,292 7.81%

沿革

1906年4月、阪東式木綿調帯の製造を目的として、阪東式調帯合資会社を神戸市兵庫区に設立した。ゴムベルト、コンベヤベルト、Vベルトなどを製造し、1937年1月阪東調帯株式会社に改組、1961年8月阪東調帯ゴム株式会社に商号変更。1962年1月大証2部に上場、1968年2月大証1部に変更。1970年6月バンドー化学株式会社に商号変更、1970年10月東証1部に上場、2010年4月本店所在地登記を神戸市中央区に変更した。現在は東証プライム市場。その後、子会社の再編や海外への展開を推進している。110年以上の歴史を誇る伝動ベルトの大手メーカーである。

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株主構成

有価証券報告書によると、2022年3月31日現在の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合10.49%。バンドー共栄会が9.56%、三井住友銀行が5.11%で続き、以降は保有割合5%未満で政策保有と見られるメガバンク2行や生損保などが並ぶ。外国人保有割合は10%以上20%未満

取締役会

取締役9名(社内6名、社外3名)、うち監査等委員が4名(社内1名、社外3名)。監査等委員会設置会社である。社内取締役は全員がプロパー出身者とみられる。監査等委員である社外取締役の重松崇氏は7203トヨタ自動車の常務役員などを歴任、清水春生氏は7278エクセディ代表取締役社長および会長を歴任、米田小百合氏は監査法人出身である。

代表取締役の経歴

取締役会長(代表取締役)の吉井満隆氏は1958年8月生まれ。関西大学を卒業後、1981年4月に同社入社。執行役員、取締役を経て、2013年4月取締役社長(代表取締役)兼社長執行役員に就任し、2022年4月をもって取締役会長となった。
取締役社長(代表取締役)の植野富夫氏は1968年9月生まれ。天理大外国語学部を卒業後、1992年4月に同社入社。営業や人事、タイ子会社の副社長を経験するなどして執行役員、常務取締役を経て、2022年4月取締役社長(代表取締役)兼社長執行役員に就任。

報告セグメント

「自動車部品事業」、「産業資材事業」、「高機能エラストマー製品事業」の3セグメントである。2022年3月期の売上収益93,744百万円の構成比(その他を含む、調整前)は、自動車部品事業44.1%、産業資材事業35.1%、高機能エラストマー製品事業14.8%、その他5.9%。コア営業利益5,880百万円の構成比(同上)は自動車部品事業45.6%、産業資材事業44.7%、高機能エラストマー製品事業4.7%、その他5.0%だった。なおコア営業利益(売上収益から売上原価、販売費および一般管理費を控除した数値)は同社が経営管理上の指標としている数値である。自動車部品事業と産業資材事業が2本柱である。

事業モデル

伝動ベルトはVベルトとも呼ばれ、自動車エンジン、産業機械、工作機械、農業機械、OA機器などにおいて、動力や回転を伝達する部品として使用される。同社は自動車用・二輪車用、射出成型機・工作機械用などで高シェアを誇る
自動車部品事業は、自動車用伝動ベルト製品(補機駆動用伝動ベルト、補機駆動用伝動システム製品)、二輪車用伝動ベルト製品(スクーター用変速ベルト)などの製造販売を展開している。
産業資材事業は、一般産業用伝動ベルト製品(産業機械用Vベルト、歯付ベルト、プーリーなど)、運搬ベルト(コンベヤベルト、同期搬送用ベルトなど)、運搬システム製品などの製造販売を展開している。
高機能エラストマー製品事業は、クリーニングブレード、高機能ローラ、精密ベルト、ポリウレタン機能部品、精密研磨材、建築資材用フイルム、医療用フイルムなどの製造販売を展開している。主力の自動車用部品事業は自動車の電動化(EV)で、エンジン用伝動ベルトの需要減少が予想されている。エラストマーで新事業領域を育成し、事業ポートフォリオの転換を図る会社方針である。
その他は、医療機器事業やロボット関連デバイス事業などを展開している。
生産拠点は、国内外の複数展開しており、国内の南海工場、加古川工場、足利工場、和歌山工場、海外(製造子会社)の米国、韓国、中国、ベトナム、タイ、インドに有す。
地域別の売上高構成は、日本が5割強、5割弱は海外売上。下図の通り、中国を除くアジア、中国、欧米の順に比率が高い。

2022年3月期決算説明会

競合他社

伝動ベルトでは、同社同様に自動車用と産業機械用で大手の5192三ツ星ベルト(2021年3月期売上高64,862百万円)、自動車用に展開する他、ホース・チューブなども扱う5186ニッタ(同78,697百万円、内ベルト・ゴム事業の売上高は25,329百万円)などがある。

連結の範囲

2021年3月期末時点でグループは同社、子会社24社、および持分法適用会社10社で構成されている。主要な連結子会社は、自動車部品事業・産業資材事業のバンドー・I・C・S株式会社(日本)、Bando USA,INC.(米国)、Bando Belt(Tianjin)Co.,Ltd(中国)などである。

強み・弱み

1906年の創業以来、時代のニーズにマッチした新技術・新製品の開発、高機能・高品質な製品の安定供給によって高い評価を得ている。110年以上の歴史の中で培った技術力・品質力が強みだ。リスク要因としては、景気変動や自然災害・感染症の影響などがあり、特に主力の自動車部品事業は自動車生産台数、産業資材事業は機械受注の影響を受けやすい。また製品不具合によるリコールなどもリスク要因となる。なお自動車の電動化(EV)で、エンジン用伝動ベルトの需要減少が予想される中、同社は競合の5186ニッタに比べて自動車用の比率が高いため影響が大きい

KPI

売上収益から売上原価、販売費および一般管理費を控除した数値をコア営業利益として経営上の重要指標としている。コロナ禍の影響を受け2021年3月期第1四半期に大きく落ち込んだが、その後回復基調にある。
その他、為替(米ドル、タイバーツ、人民元)や、自動車生産台数の推移などがKPIになると考えられる。

2022年3月期決算説明会

業績

IFRSへ移行のため非連続ではあるが、2018年3月期から2022年3月期までの5期間の連結業績推移をみると、売上高は90,000百万円台で推移。しかし2021年3月期にコロナ禍における自動車メーカーによる減産の影響受け前期比▲9.9%の減収となった。2022年3月期は半導体不足の影響が一部地域で出るものの概ね以前の売上高水準まで回復した。営業利益率は概ね6%台で推移するが、2022年3月期は子会社の減損損失の計上があり、2.8%だった。フリーCFは子会社の取得があった2020年3月期以外は安定してプラス。自己資本比率は概ね60%前後で推移している。

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