3844 コムチュアの業績について考察してみた

3844 コムチュアの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1985年1月東京都で株式会社日本コンピューターテクノロジーとして設立、ソフトウェア開発を開始。システム運用サービス、グループウェアソリューション、ERPソリューション、JavaによるWebシステムの受託開発、サーバセンタ開設によるマネージドサービスなど業容を拡大。2002年1月、コムチュア株式会社に商号変更。2006年8月SAPサービス・パートナー契約を締結し、2007年12月「コムリュアCRMセレクト」の販売を開始。2012年11月東証二部へ上場、2013年11月東証一部へ変更。2016年4月、ビッグデータ・人工知能に関するコンサルティング、分析・開発することを目的とした子会社コムチュアデータサイエンス株式会社設立。ITシステムの提案、構築、保守、運用等を提供し、システム導入時のコンサルティングから構築、導入後の運用サポートまでを企業のDXパートナーとして、一気通貫で提供する。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、代表取締役会長向浩一氏の資産管理会社とみられる有限会社コムで20.52%を保有。続いて中国の投資ファンドである、SSBTC SACHS OMNIBUS ACCOUNTが9.87%。そのほかは5%以下で、国内の信託銀行の信託口やコムチュア社員持株会、国内外の銀行、証券会社が並ぶ。2020年7月提出のコーポレート・ガバナンス報告書によると外国人株式保有率は30%以上

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、監査役は3名(2名社外、2名は常勤)、監査役会設置会社である。取締役の出自は全員異なり、共通性は見られない。社内取締役では中谷隆太氏が唯一プロパー社員と見られる。なお、中谷氏と同じく1973年生まれのもう一名の社内取締役亀井貴裕氏は代表取締役会長向浩一氏の娘婿であり、現 三井住友海上火災保険株式会社で4年の勤務経験を有す。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の向浩一氏は1946年12月生まれ。日本大学理工学部を卒業後、独立系SIer準大手の9753アイエックス・ナレッへ入社。1985年1月に同社を設立。
代表取締役社長の澤田千尋氏は1961年10月生まれ。東京大学大学院工学系研究科終了後、日本IBMへ入社。2009年よりNECの中央研究所支配人や理事等を経て、2014年4月より同社常務へ就任し、要職や専務等を経て2019年4月より現職に当たる。

報告セグメント

2021年3月期より、ソリューションサービス事業の単一セグメントへ変更。従来の3報告セグメントは廃止。従来のセグメントでは、売上高と売上総利益の大まかな構成比率は、クラウドソリューション事業が約35%、プラットフォーム・運用サービス事業が約30%、エンタープライズソリューション事業25%、残り10%がデジタルソリューション事業であった。

事業モデル

事業領域は5つに分けられ、それら全てを組み合わせる形で顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。業種・業態に偏らない大手企業997社(2021年3月末)との取引実績を有す。
クラウドソリューション事業では、Microsoft・Salesforce・Servicenow等のグローバルプラットフオーマーとの連携による、システムソリューションの提供を幅広い企業に向けて行っている。主に、クラウド環境の設計構築や、顧客に適したクラウド上のアプリケーションの導入コンサルや開発などを行い、企業の業務改善や、生産性の向上を実現している。
デジタルソリューション事業では、大量のデータから需要を予測や、人材不足解消や働き方改革のための業務の自動化を、ビッグデータ・AI・RPAに関するシステムを用いて、業務プロセスの可視化、効率化や自動化支援を行い、企業の売上利益の最大化や、働き方改革を実現する。
ビジネスソリューション事業では、ヒト・モノ・カネを統合して管理するERP(Enterprise Resource Planning)などの基幹業務システムを扱う。これらにより、企業の経営の見える化や、業務効率化を実現している。
プラットフォーム運用サービス事業では、システム基盤(プラットフォーム)や、システムに接続するためのネットワークの構築などを行っている。これらを提供することで、システムの安定稼働による企業経営の安定化を支援する。
デジタルラーニング事業では、企業のシステム担当者やIT企業などの様々な顧客に教育サービスを提供している。

2021年3月期 会社説明資料

国内ITサービス市場は企業のDX化に関する投資が加速している。新型コロナウイルス感染拡大により、テレワーク等の働き方改革への意識が高まっており、さらにDX化が推進されるとみられる。

競合他社

SIerは競合多数だがが、同規模の競合他社として、SIer・システム開発業界での売上高の近さから、3784ヴィンクス、2349エヌアイデイなどが挙げられる。

連結の範囲

コムチュアマーケティング株式会社、コムチュアネットワーク株式会社、コムチュアデータサイエンス株式会社、ユーエックス・システム株式会社の4社が連結子会社に該当する。コムチュアマーケティング株式会社はプロフダクト販売関連、コムチュアネットワーク株式会社はネットワークサービス関連の事業を営む。

強み・弱み

5つの事業がそれぞれ独立して顧客にサービスを提供するだけでなく、その総合力を活かしたソリューションサービスを提供するのが強み。グローバルのプラットフォーマー・ツールベンダーとの連携戦略が功を奏し、パブリッククラウド・プライベートクラウドの双方と連携可能なコムチュア・コラボレーション・クラウドを構築している。創業期のメインフレーム時代から、クライアントサーバ、Webコンピューティングを経て今日のクラウドコンピューティング&DX時代まで、変遷する情報システムトレンドに対応し、創業以来年平均成長率15%で成長してきた高い成長率とOPM15.1%の高利益率が強み。対して、景気悪化によるコスト低減の圧力や、業界再編が懸念される。

KPI

具体的な数値の開示はないが、業績達成のための最重要KPIとして同社では案件総量(受注の3倍)を掲げ社内管理に取り組んでいると見られる。

業績

売上高・利益ともに安定的な成長を継続しており、売上高は2011年3月期からは毎年10%以上の推移で上昇してきた。2013年3月期や、2017年3月期には20%以上の売上高増加を記録したが、ここ3年では10%台の増加に落ち着いている。営業利益に関しても、概ね売上高に乗じて増加している。自己資本比率も2015年3月期から着実に上昇中で、2020年3月期は70%越えを達成した。営業CFは10年以上安定してプラス。現金・現金物等価物に至っては、2009年3月期から2020年3月期の間に約9倍に達した。