3558 ロコンドの業績について考察してみた

3558 ロコンドの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2010年10月「送料無料」「返品無料」などを取り入れた「顧客サービス至上主義のECサイト事業」の展開を目的に、東京都で株式会社ジェイドを設立。ドイツに拠点を置くVCのロケット・インターネットの100%子会社として生まれた。2011年5月より社長に就任した田中裕輔氏の下2011年9月にMBOし、リードキャピタルやアルペンの支援を得ながら事業を立て直し。2011年2月開始の無料で試着できる靴の通販サイト「LOCONDO.jp」サービスを軸に、バッグやアパレル(洋服)に取扱い品目を拡大。アパレルブランドへのEC支援やプラットフォームサービスを提供しながら事業を拡大。2012年8月株式会社ロコンドに商号変更。2017年3月東証マザーズへ上場。「試着できる」をウリにした靴に強いECアパレルサイトの運営を主体に、アパレルブランドへのEC・ブランド・プラットフォーム提供を行う。

株主構成

有価証券報告書によると2020年8月末時点の大株主は、代表取締役社長の田中裕輔氏が6.40%、THE BANK OF NEW YORK MELLON 140051が6.04%、株式会社SBI証券が5.16%。以下は5%未満で、国内外の信託銀行等の信託口や、取引先とみられる服飾副資材の企画製造販売を行う株式会社SHINDO、個人投資家などが並ぶ。

取締役会

取締役は5名(社内2名、社外3名)、社外3名は全員が監査等委員。監査等委員会設置会社である。社内取締役で営業本部ディレクターの藤樹賢司氏は、株式会社ワシントン靴店を経て同社へ入社し、2015年5月に現職へ就任。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の田中裕輔氏は1980年12月生まれ。一橋大学を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンに入社。カリフォルニア大学バークレー校経営大学院にてMBAを取得し、DeNA Global(アメリカ支社)にて約半年の短期勤務、再びマッキンゼーへ戻り、2011年2月よりインターンとして同社に携わる。その後2011年4月に同社へ入社し、2011年5月に現職へ就任し現在に至る。破産処理寸前だった同社をMBOして立て直し上場まで成し遂げた。

報告セグメント

「靴を中心としたファッション関連商品等の販売、企画、仕入事業」の単一セグメントだが、事業別に「ECモール事業」「プラットフォーム事業」「その他事業(店舗・卸等)」に分けている。2021年2月期第3四半期の売上高7,512百万円の構成比は、ECモール事業82.5%、プラットフォーム事業11.7%、その他事業(店舗・卸等)5.8%である。事業別に営業利益の開示はないが、同四半期における営業利益は1,135百万円であった。

事業モデル

顧客向けのEC事業 (B2C) 及びブランド向けのプラットフォーム事業 (B2B) を運営する。主力通販サイト「LOCONDO.jp」は、「ネットでは靴は買えない」という障害を無くすため、「自由に試着できる通販サイト」をコンセプトに展開。企業努力の積み重ねにより、低価格・豊富な品揃え・顧客本位のサービスを実現している。メインターゲット層は都心部の30代から40代の女性。自社公式通販サイトの運営以外にも、オンライン倉庫における完全物流事業(e-3PL)、店舗の欠品や品揃え補強「LOCOCHOC」の運営、クラウド型店舗POS「LOCOPOS」の運営なども行う。
EC事業の取扱商品は、各ブランドの出店後の運営管理を当社が行う受託型と同社が自社在庫を抱える買取型の2通り。期毎に変動はあるが、受託型の取扱高が7~8割を占める。受託型はユーザーから返品があった際も各ブランドへの返品となる。受託販売手数料が主たる収入源である。
同社によると、日本国内の衣料・服飾雑貨等のEC化率は諸外国と比較して低い水準にあり、同社グループの認知度向上を通してEC化率の拡大を目指すとしている。しかし、ファッションEC市場が拡大する一方、大手企業の市場参入及び事業強化により、競争の激しい状況が続くとみている。

2021年2月期第3四半期 決算説明会資料

競合他社

「ZOZOTOWN」を運営する3092ZOZO(直近決算期売上高1,255億円)や「SHOPLIST.com」を運営する2138クルーズ(直近決算期売上高339億円)など、ECで靴・ファッションを取り扱う企業は数多く存在する。

連結の範囲

婦人服の企画開発、販売を手掛けるMisuzu&Co.株式会社が連結子会社に該当する。

強み・弱み

試着しないと購入しにくいとされる靴を中心に販売しているが、「自宅で試着、気軽に返品」サービスの提供が可能な体制を構築していることが強み。「気軽に返品」を特徴としたサービスなため、返品率が高くなってしまうことが弱み。

KPI

2021年2月期第3四半期におけるKPI実績は下記。
①商品取扱高(GMV) 5,694百万円(前年同期比+18.7%
②プラットフォーム事業:e-3PL(物流受託)出荷個数59万個(前年同期比+13.4%
③ECモール事業 アクティブユーザー数1,027千人(前年同期比+20.1%
④ECモール事業 平均バスケット単価(受注ベース)
⑤ECモール事業 返品率 20%(前年同期比▲5%
⑥ECモール事業 取扱ブランド数2,972(前年同期比+514

業績

2019年2月期より連結化しており、2020年2月期までの2期をみると、売上高は6,711百万円から8,576百万円と増収しているが、経常損失は▲862百万円から▲77百万円と、事業拡大のための先行投資を積極的に行った結果、2期ともに経常損失となっている。単体で開示されている2016年2月期からを見ると売上高は右肩上がりで、利益面は2017年2月期と2018年2月期は黒字であった。2011年に破綻寸前だったが、2015年10月に黒字化しており、現在の赤字は積極投資の結果とみられる。営業CFは大幅な増収もあって、利益も安定していないことからプラスとマイナスの変動が激しい、直近決算期はプラス。投資CFは恒常的にマイナス。自己資本比率は連結化もあり継続性はないが、連結後の2期では改善しており2020年2月期は62.4%であった。