8182 いなげやの業績について考察してみた

8182 いなげやの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1900年猿渡波蔵氏が鮮魚商「稲毛屋」を開業。1948年5月株式会社稲毛屋を東京都立川市に設立。1965年スーパーマーケットチェーンの展開体制を確立。1978年10月東証二部に上場。1984年9月東証一部に指定、商号を株式会社いなげやに変更。1988年いなげや100店舗達成。1990年POSシステムを全店導入、株式会社ウェルパーク(ドラッグストア事業)を設立。2001年ウェルパーク、イオンと業務提携。生鮮食品・一般食品・家庭用品・衣料品等の小売業を営む。東京都西部の三多摩地区を地盤に、都内23区、神奈川県、埼玉県、千葉県の一部にまで展開するスーパーを展開

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、イオン株式会社で17.01%を保有。次いで若木会持株会9.26%、株式会社日本カストディ銀行(信託口)6.25%、株式会社りそな銀行4.17%と並ぶ。そのほかに、信託銀行の信託口、三菱食品株式会社、保険会社、東京多摩青果株式会社、国分グループ本社株式会社などが並ぶ。

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、監査役は4名(社内1名、社外3名、2名は常勤)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役4名は、プロパー2名、株式会社クックサン(現同社)出身者1名、株式会社協和銀行(現株式会社りそな銀行)出身者1名。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の本杉吉員氏は1964年3月生まれ。明星大学を卒業後、1986年4月に同社へ入社。入社前の経歴は開示がない。グループ人事本部長、販売本部長、営業本部長などを経て、2020年4月より6代目社長として現職に就任。同社において長い営業経験を有する。

報告セグメント

「スーパーマーケット事業」、「ドラッグストア事業」、「小売支援事業」の3報告セグメントに大別され、2021年3月期の売上高255,637百万円の構成比は、スーパーマーケット事業82.9%、ドラッグストア事業16.9%、小売支援事業0.2%である。セグメント利益は、スーパーマーケット事業5,647百万円、ドラッグストア事業1,038百万円、小売支援事業340百万円であり、調整額を差し引くと6,982百万円であった。

2021年3月期 決算説明会資料

事業モデル

スーパーマーケット事業は、同社と株式会社三浦屋の2社から構成され、合わせて141店舗を展開している。いなげやにおいては、「新鮮さを お安く 心をこめて」を経営目標とし、「楽しい」「美味しい」「鮮度感溢れる」を顧客に感じてもらうことを目指し、「売場」「商品」「人」創りを推進している。また、値ごろ感のある価格設定を目指しているが、駅前の大型スーパーや地域のディスカウントストアに比べて、NB品の値段は定価に近い。チラシを用いた広告戦略を実施しており、各店舗のHPでも確認可能。三浦屋においては、「三浦屋らしい上質で健康的な食生活の提供」を経営目標に取り組む。大型スーパーで取り扱いの無い高級価格帯のこだわりの品目や輸入品などがラインナップされ、いなげやブランドとは一線を画した展開をする。中食への展開にも積極的で、店舗内にキッチンを持ち総菜エリアが充実している。接客サービスの独自化を推進してファンづくりを進めるとともに、健康や環境を切り口にした商品の拡大、時代に即したSNS等のコミュニケーションツールを活用したチラシに頼らない営業力の推進、店舗オペレーションの改善などに取り組んでいる。
新型コロナウィルスの感染拡大を受け、顧客の生活様式が変化したことで内食需要が高まり、青果、鮮魚、精肉などの生鮮食料品を中心に、買上点数が堅調に推移しているとのこと。また、EC事業としていなげやオンラインショップを運営し、ネットスーパー実験や、オンラインモールへの出店、ギフト受付をオンラインショップへ誘導するなど進めている。
ドラッグストア事業は、議決権保有比率84.2%の株式会社ウェルパークによって行われており、ドラッグストアと調剤薬局を合わせて136店舗を展開している。
小売支援事業は、店舗の警備・清掃、施設管理、食品の仕入販売、店舗支援業務の請負、農産物の栽培等を行う。

2021年3月期 決算説明会資料

競合他社

スーパーマーケットやドラッグストアを運営する企業は多く、競合は多数存在する。東京都豊島区の株式会社マルエツが関東地方の食品スーパーでとして店舗数で最大規模を展開する“マルエツ” は価格帯や戦略などの類似点も多く競合となり得る。また、東京都国分寺市に本社を置く8289Olympicグループは食品スーパーや大型ホームセンターを首都圏を地盤に展開しており競合となり得る。

連結の範囲

同社グループは、同社及び子会社6社で構成され、スーパーマーケット事業を行う2社(同社、株式会社三浦屋)、ドラッグストア事業を行う1社(株式会社ウェルパーク)、小売支援事業を行う4社(株式会社サンフードジャパン、株式会社サピアコーポレーション、株式会社いなげやウィング、株式会社いなげやドリームファーム)である。

強み・弱み

恵まれた立地条件と知名度を有し、東京都西部の三多摩地域においてドミナントエリアを形成していることが強み。地域密着で駅徒歩15分前後の立地で、日常生活を支える商店として価格競争を回避している側面も強い。景気や個人消費の動向などの影響を受けやすいことが弱み。

KPI

2021年3月期におけるKPIは下記。
①小売事業総店舗数277店舗(前期比▲4店舗)
②新店・改装・閉店状況
③事業別実績

業績

2017年3月期から2021年3月期までの5期をみると、売上高は249,132百万円から255,637百万円、経常利益は2,653百万円から7,290百万円となっている。2020年3月期までほぼ横ばいであったが、2021年3月期においては内食需要の高まりを受け大幅増益となっている。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。自己資本比率は50%台で安定推移。