3933 チエルの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1997年10月株式会社旺文社の100%子会社として、株式会社デジタルインスティテュート設立。1999年12月 アルプスシステムインテグレーション株式会社が資本参加。2002年4 月株式会社旺文社デジタルインスティテュートへ商号変更。2004年4月現在の教育事業の主軸である学校向けクラウド型教材配信サービス「CHIeru.net」を開発し、教育機関への提供を開始。その後、2006年にチエル株式会社となる。2016年3月東証JASDAQへ上場。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末日時点の大株主は、代表取締役社長の川居睦氏が26.18%、 株式会社旺文社が9.27%、アルプスシステムインテグレーション株式会社が9.27%。他は5%未満の保有で、映画作家の森達也が2.70%、株式会社旺文社キャピタル2.32%、関連会社の株式会社ダイヤ書房が1.57%、その他に国内外の信託銀行等の信託口などが並ぶ。

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。社長ともう1名の計2名が親会社の旺文社の出身者

代表取締役の経歴

代表取締役社長の川居睦氏は1962年11月20日生まれ。中央大学を卒業後、タカギエレクトロニクス株式会社に入社。その後1993年11月にアルプスシステムインテグレーション株式会社へ入社し、1999年10月より同社の取締役、2005年6月にアルプスシステムインテグレーションの取締役を経て2006年10月より現職に就いている。 なお、2021年6月29日の株主総会を経て同氏は代表取締役会長へ異動することが公表されている。
新たに代表取締役社長に就任予定なのは現在取締役の栗田輝氏で1982年4月生まれ、2008年4月に日本総合研究所へ入所し、2018年4月より同社への出向を経て2019年同社へ入社し取締役へ就任し、製品開発部長を現任。

報告セグメント

「学習部門」、「進路部門」、「情報基盤部門 」の3報告セグメントに大別され、2021年3月期第3四半期の売上高2,787百万円の構成比は学習部門25.1%、進路部門23.9%、情報基盤部門51.0%である。セグメント別利益は情報基盤部門が太宗を稼いでおり、全社費用等の調整前で学習部門が140百万円、進路部門が92百万円の赤字、情報基盤部門は495百万円であった。なお、連結営業利益は241百万円であった。なお、業績は学校の長期休み前と年度予算の関係から第2半期と第4四半期に偏重する傾向がある

事業モデル

学習部門は、主に文教市場(小学校、中学校、高校、大学及び専門学校)や企業向けに、授業・講義支援システム及びデジタル教材の企画・ 開発・製造・販売を行う。同社HPによると、2017年10月時点で教育委員会560以上、高校・大学1,800校以上と豊富な導入実績をし、文部科学省委託事業「社会教育活性化21世紀プラン」の 「水族館の仕事と人から学ぶ社会教育」事業への参画などの実績も持つ。販売は代理店制度を採用しており、大部分が販売代理店経由である。なお、販売時は入札・応募、落札を経て導入となる流れ。
高校・大学市場においては、主に学内のLL・PC教室や講義教室、アクティブ・ラーニング教室において活用される講義支援プラットフォームや、生徒・学生が講義室の外でも学習を行うための教材配信プラットフォーム及びデジタル教材の提供を行う。小学校・中学校市場においては、主に学内PC教室や普通教室において活用される授業支援プラットフォームや、教員用提示デジタル教材、児童生徒用デジタル教材を提供している。また、企業向け市場においては、主に高校・大学市場において実績のあるブレデッドLMS(ラーニング・マネジメント・システム)を提供している。
進路部門は、高等学校に対して、大学・短期大学・専門学校を集めた進学相談会の企画・実施や、進学情報誌の企画・制作・配布を行う。
情報基盤部門は、主に文教市場(小学校、中学校、高校、大学及び専門学校)や自治体向けに、情報セキュリティ対策のソフトウェア運用管理ソリューションの企画・開発・仕入・製造・販売を行う。
国家政策であるGIGAスクール構想に基づき、教育の 現場では、校内通信ネットワークの整備や児童生徒1人1台端末の整備が進む。OS別の選定状況ではChromebookのシェアが50%弱で、WindowsやiPadがそれらに続く。同社の提供する無線LAN最適化ソリューションや、Chromebook対応のクラウドサービスの販売が拡大する見込みである。

2021年3月期 第2四半期 決算説明資料
2021年3月期 第2四半期 決算説明資料

競合他社

ハードからソフトまで教育のデジタル化を推進するNECと部分的に競合するところはあるが、学校教育ICT市場では、同社同様に学校のICTを専門にする国内上場企業のサービスは見当たらない。

連結の範囲

連結子会社は5社 、関連会社は2社である。このうち主要な子会社は、沖縄部門の沖縄チエル株式会社、クラウドビューを提供する、株式会社コラボレーションシステムである。

強み・弱み

専門性が高い市場であるうえ、特に小学校では先生の平均年齢が40代半ばであるため、同社が提供するICTサービス全般が使いやすくて便利であることが強み。 しかしながら学校教育ICT市場が大きくなく、国や地方自治体の予算に業績が左右されることが弱みである。

KPI

Google Chromebookの活用拡大が見込まれ、Chromebook活用パックの売上高・販売数量の推移はKPIとなり得る。
①学習部門2020年3月期1,178百万円、前年同期比+13%
②Chromebook活用パック売上高・販売数量の推移

業績

連結財務諸表作成のある2017年3月期から2020年3月期までの4期間の業績をみると、売上高は1.6倍に成長しているが、営業利益は225百万円から234百万円と微増で、2019年3月期は61百万円と大幅に水準が低下。Chromebook等の製品開発やソフトウェアの減価償却負担の増加や小中学校向け製品の販売増強を元にソフトウェア資産の減損を計上したためである。営業CFは恒常的にプラス、投資 CFはマイナスを継続していたが2020年3月期は保険積立金の解約によりプラスとなった。財務活動によるCFは、借入金の調達と返済により期によって安定しない。2021年3月期第3四半期自己資本比率は39.9%であった。