3660 アイスタイルの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1999年7月、東京都にて有限会社アイ・スタイルとして設立、同年12月にインターネットのコスメ情報ポータルサイト「@cosme」をオープンした。2000年4月には株式会社アイスタイルへ組織変更。創業後はサイバーエージェントやヤフー、講談社から出資を受け、2012年3月東証マザーズへ上場、2012年11月東証一部へ変更。化粧品・美容業界向けに、「@cosme」サイトでの広告機会の提供を中心に、同サイトをプラットフォームとしたデータ活用のマーケティング支援サービス を提供するほか、化粧品専門のEC・リアル店舗を展開。

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は代表取締役社長の吉松徹郎氏で10.01%を保有し、同氏の実質的な資産管理会社とみられる株式会社ワイ8.55%と併せて18.56%を保有。次いで東証マザーズに上場する株式会社ロコガイド8.53%、ニューヨークメロン銀行5.16%、信託口5.04%と続き、それ以外は保有割合5%未満。尚、2020年12月7日受付の大量保有報告書によると、英国の投資運営会社ベイリー・ギフォード・アンド・カンパニーとその共同保有者の持ち分が14.48%であることが報告されている。また、2020年3月10日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は30%以上である。

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役は3名(全員社外、1名常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役の山田メユミ氏は共同創業者で、香栄興業株式会社、伊勢半株式会社を経て1999年7月同社設立時に代表取締役となり、2009年12月から取締役。もう1名の社内取締役菅原敬氏は社長同様にアクセンチュア出身で設立2年後に入社。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の吉松徹郎氏は1972年8月生まれ。東京理科大学基礎工学部卒業後、1996年4月にアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。1999年7月に共同創業者で現取締役の山田メユミ氏と共に同社設立、代表取締役社長に就任した。

報告セグメント

「On Platform事業」、「Beauty Service事業」、「Global事業」、「その他事業」の4報告セグメントに大別される。2021年6月期第2四半期売上高15,783百万円の構成比はOn Platform事業21.9%、Beauty Service事業59.1%、Global事業15.4%、その他事業3.5%だった。Beauty Service事業が、コロナ禍でのEC需要増から前年同期比で67.9%と成長した。一方で、Beauty Service事業は化粧品メーカーの広告出稿数が低迷していること、Global事業は台湾の不採算店舗を閉鎖した影響から減収となった。尚、マレーシア事業、タイ事業も撤退が決定している。同四半期のセグメント利益は、On Platform事業が671百万円だったものの、他セグメントは全て損失計上で、同社全体でも544百万円の損失となった。

事業モデル

On Platform事 業は、美容系総合サイト「@cosme」の運営を行い、化粧品ブランド向けの広告サービスやSaaS型のマーケティング支援サービス、BtoCの課金サービスなどを展開。「@cosme」は美容系20~30代の多くの若い女性が毎月利用するクチコミサイトで、日本で展開する化粧品ブランドのほぼ全てを網羅する。ユーザーだけでなくブランドからも支持されており、ユーザー、商品、クチコミ、販売データを抱えるプラットフォームとして機能する。従来はサイト上での広告サービスが収益基盤であったが、プラットフォームに蓄積されたデータベースを元にブランドとユーザーとのつながりを数値やグラフで可視化した分析を提供することや、それらの分析をもとにサイト内での情報発信を実現するマーケティング支援サービスを月額50万円(年間契約)で新たな収益の柱に育成中
Beauty Service事業は、「@cosme」のデータを活用し、化粧品ECサイトの「@cosme SHOPPING」や、化粧品専門の「@cosme TOKYO」、「@cosme STORE」といったリアル店舗を国内24店舗、香港6店舗運営
Global事業は、国内で確立した上記の事業を中国をはじめとするアジア各国や米国にて展開。その他事業には、人材派遣事業や、投資育成事業が含まれる。

競合他社

コスメ・美容のクチコミアプリとして、2020年3月に500万DLを突破した「LIPS」を運営する株式会社AppBrewなどが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は17社で、国内8社、海外9社である。Beauty Service事業を担う株式会社コスメ・コムと株式会社コスメネクストが合併し、2021年4月1日より株式会社アイスタイルリテールとなることが発表されている。

強み・弱み

美容系総合サイト運営の先駆者として、創業時より構築した美容に関するデータベースは他社が追随出来ない強み。一方で、化粧品業界に傾注した事業構造のため、化粧品メーカーの業績、広告予算に業績が大きく左右される。

KPI

コネクト数(2020年12月 2,000万
※ユーザーが契約ブランドや商品に対して行ったアクション(Follow,Like,Have:同一ブランドに対して複数ある場合は1としてカウント)の総和
ブランドオフィシャル数(2020年12月 230社
※同社SaaS型マーケティング支援サービスの導入社数
@cosmeの月間ユニークユーザー数(2020年12月 1,450万人
@cosmeの会員数(2020年12月 650万人

2021年6月期第2四半期 決算説明資料

業績

売上高は2016年6月期から2019年6月期まで連続増収し、同期間で約2.3倍に成長したものの、直近2020年6月期はコロナ禍の影響で減収となった。経常利益は安定せず、2018年6月期をピークに2020年6月期は赤字となった。自己資本比率は2020年6月期の損失計上を受け純資産額が前期の約半分となったことから、21.5%に急落した。(前期は47.1%)。尚、資本増強策として同社は、2020年11月に株式会社ロコを割当先とした第三者割当増資を実施している。フリーCFは中期経営計画にて投資拡大期として位置付けていたこともあり、毎期営業CF以上の投資CFが発生し、恒常的にマイナスだった。