5632 三菱製鋼の業績について考察してみた

5632 三菱製鋼の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 39,341 -89 -0.23%
FY2024.Q4 2024.03 43,982 2,025 4.6%
FY2025.Q1 2024.06 40,569 1,344 3.31%
FY2025.Q2 2024.09 39,947 1,819 4.55%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 28,585 1,448 5.07%
FY2018.Q1 2017.06 28,630 1,226 4.28%
FY2018.Q2 2017.09 29,288 470 1.6%
FY2018.Q3 2017.12 29,863 729 2.44%
FY2018.Q4 2018.03 30,961 794 2.56%
FY2019.Q1 2018.06 30,595 259 0.85%
FY2019.Q2 2018.09 32,510 572 1.76%
FY2019.Q3 2018.12 31,799 -68 -0.21%
FY2019.Q4 2019.03 34,466 292 0.85%
FY2020.Q1 2019.06 30,124 46 0.15%
FY2020.Q2 2019.09 30,045 28 0.09%
FY2020.Q3 2019.12 29,105 331 1.14%
FY2020.Q4 2020.03 27,864 31 0.11%
FY2021.Q1 2020.06 21,378 -1,346 -6.3%
FY2021.Q2 2020.09 20,841 -1,047 -5.02%
FY2021.Q3 2020.12 22,938 -1,890 -8.24%
FY2021.Q4 2021.03 32,647 -660 -2.02%
FY2022.Q1 2021.06 31,786 1,596 5.02%
FY2022.Q2 2021.09 34,136 1,140 3.34%
FY2022.Q3 2021.12 38,410 1,915 4.99%
FY2022.Q4 2022.03 41,960 1,619 3.86%
FY2023.Q1 2022.06 39,889 832 2.09%
FY2023.Q2 2022.09 42,444 868 2.05%
FY2023.Q3 2022.12 44,114 1,173 2.66%
FY2023.Q4 2023.03 44,090 2,674 6.06%
FY2024.Q1 2023.06 41,288 806 1.95%
FY2024.Q2 2023.09 45,332 2,066 4.56%
FY2024.Q3 2023.12 39,341 -89 -0.23%
FY2024.Q4 2024.03 43,982 2,025 4.6%
FY2025.Q1 2024.06 40,569 1,344 3.31%
FY2025.Q2 2024.09 39,947 1,819 4.55%

沿革

1904年設立の東京スプリング製作所(日本最古のばねメーカー、後に東京鋼材株式会社として法人化)ならびに1919年設立の三菱造船株式会社(現三菱重工業株式会社)長崎製鋼所が前身。1942年に合併し三菱製鋼株式会社となるも、1949年企業再建整備法により東京鋼材株式会社と長崎製鋼株式会社として分割。東京鋼材株式会社は1950年1月東証に上場、1952年12月に商号を三菱鋼材株式会社に変更。長崎製鋼株式会社は1951年4月に東証上場、1953年6月に商号を三菱製鋼株式会社とした。1964年2月に両社は再合併し、現在の三菱製鋼株式会社となる。東証一部を経て2022年4月より同プライム。特殊鋼やばね等の製造・販売を事業とする

株主構成

有価証券報告書によると、2022年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口で10.95%保有。続いて、三菱重工業株式会社が6.48%、GOLDMAN SACHS INTERNATIONALが5.40%保有。以下は5%未満の保有率で、国内の保険会社、国内外の金融機関、同社共栄会、大手鉄鋼メーカーが連なる。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役は4名(社内1名、社外3名、うち常勤2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役2名はいずれもプロパーで、うち取締役会長の佐藤基行氏は2021年までの代表取締役社長経験者。社外取締役は三菱重工業株式会社特別顧問らで構成。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役社長の山口淳氏は1965年6月生まれ。明治学院大学卒業後、1989年4月に入社。取締役、常務執行役員などを経て2022年6月より現職
代表取締役専務執行役員の永田裕之氏は1963年11月生まれ。一橋大学卒業後、1987年4月に株式会社三菱銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行。2017年6月、同社代表取締役常務に就任。2021年6月より現職

報告セグメント

「特殊鋼鋼材」、「ばね」、「素形材」、「機器装置」の4セグメントで構成される。2022年3月期の外部顧客への売上高146,292百万円の構成比は、特殊鋼鋼材52.6%、ばね33.2%、素形材7.0%、機器装置6.3%、その他0.9%であった。その他は流通及びサービス事業等、報告セグメントに含まれない事業セグメント。また、同期のセグメント利益6,307百万円の内訳は、特殊鋼鋼材6,615百万円、ばね▲1,827百万円、素形材857百万円、機器装置560百万円、その他102百万円となった。売上高、セグメント利益の両面で特殊鋼鋼材が主力。地域別売上高は、日本国内69.7%、北米14.0%、アジア13.8%、欧州2.3%、その他0.1%と、国内市場が主力

事業モデル

特殊鋼鋼材事業、ばね事業、素形材事業、機器装置事業の4事業に分類される。主力の特殊鋼鋼材事業及びこれに次ぐばね事業で、売上の8割以上を占める。
特殊鋼鋼材事業では、高強度や高耐久性などの特性を付与した鉄鋼材料の製造・販売を事業とし、棒材等の素材として機械メーカーや部品メーカーなどへ供給する。最終的な用途は、建設機械、産業機械、自動車などを構成する歯車やシャフト等の各種部品である。
ばね事業は、コイルばね、板ばね等、用途に応じた形状に加工し、部品として供給する点が特徴である。素材からばね製品までの一貫製造では国内唯一であり、1世紀以上の経験を持つ。用途は自動車用、建設機械用から電子機器向け精密部品まで幅広い。
素形材事業は粉末冶金用を主とした各種素材、タービン類をはじめとする鋳造品などを扱う。機器装置事業では、連結子会社の三菱長崎機工株式会社が中心となって、プレス機等の完成された設備・システムを提供する。

公式ウェブサイトトップページ>「5分でわかる三菱製鋼」
公式ウェブサイトトップページ>「5分でわかる三菱製鋼」

競合他社

5486日立金属 (株)(売上収益942,701百万円)、5471大同特殊鋼(株)(売上高529,667百万円)、5481山陽特殊製鋼(株)(売上高363,278百万円)、5482愛知製鋼(株)(売上高260,117百万円)などが、特殊鋼メーカーとして競合する。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社18社、関連会社5社(うち持分法適用関連会社3社)で構成される。連結子会社のうち、特殊鋼鋼材の製造を担当する三菱製鋼室蘭特殊鋼株式会社、同社材料でばねを製造するMSSC CANADA INC.は、売上高の連結売上高に占める割合が10%を超える。両社の割合はそれぞれ43.3%、10.8%。

強み・弱み

高強度・高耐久性が求められる建設機械分野では、同社の特殊鋼鋼材は約3割のシェアを誇る。素材開発から生産加工まで一貫して対応できる国内唯一のばねメーカーであり、顧客要求へ迅速に対応できる点も強み。一方、ばね事業は自動車産業に依存するところが大きいため、例えば半導体不足による自動車生産の停滞などの外的リスクを被りやすい。

KPI

鉄鉱石・石炭市況、特殊鋼鋼材事業売価などは主要KPIとみなせる。

2022年3月期 決算説明会資料 p.26

業績

2011年3月期以来、売上高は概ね100十億円~130十億円で推移してきたが、2021年3月期は新型コロナウイルス感染症による経済活動低迷などの影響で97十億円まで減少し、経常損失も5十億円まで拡大。2022年3月期は回復し、売上高146,292百万円(前期比+49.6%)、営業利益6,270百万円(同+11,213百万円)、経常利益5,780百万円(同+11,289百万円)であった。営業CFは概ねプラス、投資CFは概ねにマイナスで推移。直近決算期の自己資本比率は29.8%。

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