6315 TOWAの業績について考察してみた

6315 TOWAの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1979年4月創業者の坂東和彦氏が30名の社員とともに東和精密工業株式会社を設立。おもな事業目的は「超精密金型」および「半導体製造装置」の製造販売で、京都府に仮説工場を設け操業。1980年には半導体製造装置事業の主軸である全自動マルチプランジャ方式による半導体樹脂封止装置の試作に成功し、半導体樹脂封止の高品質かつ量産化の足がかりをつくる。1988年にはシンガポールに現地法人を設立し、その後も韓国や中国などアジアを中心に進出。同年12月、TOWA株式会社へ商号変更。2000年11月東証一部へ上場同社が開発したマルチプランジャシステムは業界標準の技術となっており、創業者の坂東氏は科学技術庁長官賞や黄綬褒章などを受賞。また2020年6月には米国テキサス・インスツルメンツ社(TI)より2019年度Supplier Excellence Awardを受賞。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末日時点の筆頭株主は日本カストディ銀行の信託口で12.6%を保有する。日本マスタートラスト信託銀行が8.4%、創業者坂東和彦氏一族の資産管理会社とみられる株式会社ケイビー恒産が8.0%、BPH(LUX) FOR FIDELITY FUNDS PACIFIC FUNDが5.8%と続く。その他に役員やその親族、持株会、京都銀行での保有も約10%程度。なお外国人保有比率は20%以上30%未満である。

取締役会

2020年6月末時点での取締役は8名(社内5名、社外3名)、社内1名と社外3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。取締役常務 管理本部長の田村氏は同社の2.80%保有大株主で親密行とみられる京都銀行からの入社(当時58歳)、入社約1年の2013年6月より取締役、2018年8月よりTOWAレーザーフロント株式会社の代表取締役社長を兼任する。他、代表取締役を除く3名の社内取締役はプロパー出身者とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の岡田博和氏は1951年8月生まれ。高校卒業後、1979年4月に同社へ入社。1985年より営業部長を務め、1988年には取締役に就任。常務取締役、専務取締役を歴任し、2012年4月現職へ就任。また2018年からは東和半導体設備(南通)有限公司董事長を兼任している。

報告セグメント

「半導体製造装置事業」、「ファインプラスチック成形品事業」、2019年度第2四半期に追加された「レーザ加工装置事業」の3報告セグメントに大別される。直近2021年3月期第3四半期では、売上高20,715百万円の88.3%が半導体製造装置事業で計上され、6.5%がファインプラスチック成形品事業、5.2%がレーザ加工装置事業にて計上されている。営業利益2,327百万円については半導体製造装置事業が90.8%を占め、レーザ加工装置事業は赤字となっている。

事業モデル

超精密金型技術をコア技術とし、モールディング装置、シンギュレーション装置、超精密金型などの製造、販売をおこなう。同社商品・技術は指紋認証センサー、ヘッドアップディスプレイなど光学部品、自動車用電子デバイス、浮遊映像ユニットなどに活用されている。
主力事業の半導体製造装置事業は、半導体製造用精密金型モールディング装置(半導体と外部を樹脂により絶縁・封止する装置)、シンギュレーション装置(モールディング装置で樹脂封止した基盤を個片化する装置)などの製造販売ならびに製品のアフターサービスなどをおこなう。モールディング技術の業界標準を確立したのは同社で、世界ではじめてシンギュレーション装置の開発をおこなったのは同社グループ会社である。
国内外、おもにアジア地域に生産・販売拠点を持ち、半導体後工程を請け負う企業などに製品を販売している。海外売上構成比率が高く、2021年3月期第2四半期では売上高の85%にのぼる。
半導体業界は5G関連やサーバー向け製品の需要にくわえて、電気自動車化を背景とした車載向け半導体の需要増、中国における半導体内製化の加速などにより好調な市場環境が続く。

競合他社

半導体モールディング装置では世界トップシェア(3~4割前後とみられる)を誇る。ほか6640I-PEX、2019年にヤマハ発動機のグループ企業となった、非上場のアピックヤマダ株式会社が半導体モールディング装置の製造をおこなうが、I-PEXは別事業を主軸としており、国内上場企業での競合は見当たらない

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社15社の計16社から構成される。連結子会社は国内3社、海外12社。北米1社、ヨーロッパに2社、中国に3社、台湾に1社、韓国に1社、東南アジアに4社である。製品の生産拠点は中国に2ヵ所、韓国、マレーシアに1ヵ所ずつ、国内に5ヵ所ある。

強み・弱み

いくつもの製造工程を必要とする半導体製造においてモールディング工程では世界トップシェアを誇り、シンギュレーション工程では業界内オンリーワンの技術を持つ点が強みである。一方で同社は海外売上比率が高く、なかでも台湾や中国の占める割合が大きい。よって為替の変動や米中貿易戦争など政治経済情勢が受注高・売上高に及ぼす影響も大きいものとみられる。

KPI

売上高の90%近くを主力の半導体製造装置事業が占めており、同事業の売上高、営業利益はKPIとなりうる。ならびに売上高構成比率の高い台湾、中国での売上高推移もKPIと考えられる。
①半導体製造装置事業 2021年3月期第3四半期 売上高:18,2811百万円(前年同期比+10.4%)
②半導体製造装置事業 2021年3月期第3四半期 営業利益:2,112百万円(前年同期比22倍)
③台湾での売上高 2020年3月期:6,640百万円(前年比+14%)
④中国での売上高 2020年3月期:6,718百万円(前年比-11.8%)

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は2018年3月期31,010百万円まで増加したが、以降は減少傾向である。経常利益についても2017年3月期に4,131百万円と増加したものの翌年度から3期連続で前期比マイナスでの推移、2020年3月期は647百万円となった。米中貿易戦争や新型コロナウイルス感染症の影響によると考えられる。生産設備を抱えており恒常的に投資CFはマイナス、営業CFは2019年3月期に-2,600百万円(前年比-188%)とマイナスに落ち込んだが、2020年3月期には6,532百万円と大きく持ち直した。中国向け売掛金の回転期間改善が寄与したとみられる。