2120 LIFULLの業績について考察してみた

2120 LIFULLの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1997年3月神奈川県において株式会社ネクストとして、不動産物件情報を無料閲覧できるサービス業務を目的に設立。同年4月には現在不動産情報サービス事業の主軸である、不動産・住宅情報サイト「HOME’S」(現:「LIFULL HOME’S」)の不動産業界向けASPサービスの提供を開始。2002年1月に楽天株式会社と資本提携し持分法適用会社へ。2006年10月東証マザーズへ上場、2010年3月東証一部へ変更。2017年6月に株式会社LIFULLへ商号変更。国内におけるHOME’S関連事業を主力とし、多国的に展開する不動産アグリゲーションサービスでもグローバルNo.1

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末日時点の大株主は、代表取締役社長の井上高志氏が21.2%、楽天株式会社が18.1%を保有。その他は信託銀行の信託口が中心で併せて21.3%を保有する。なお外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は7名(社内3名、社外4名)、監査役は4名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。取締役AI戦略室長兼LIFULL HOME’S事業本部プロダクトプランニング2部長の山田氏はバブ日立東ソフトウェア株式会社、有限会社江藤ソフトオフィスとソフトウェア関連会社を経て同社へ入社。取締役LIFULL HOME’S事業本部長兼LIFULL HOME’S事業本部本部長室長の伊東氏はプロパー社員とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の井上高志氏は1968年11月生まれ。青山学院大学を卒業後、株式会社リクルートコスモス(現、株式会社コスモスイニシア)に入社。その後1992年4月に株式会社リクルート(現、リクルートホールディングス)へ転籍。「不動産業界の仕組みを変えたい」との強い想いを抱き1997年に独立。日本中の物件のデータベース化を目指し、同社の前身となる株式会社ネクストを設立。

報告セグメント

「HOME’S関連事業」、ならびに「海外事業」の2報告セグメントに大別される。報告セグメントに含まれないものを「その他事業」としている。直近2021年9月期第1四半期では、売上収益8,272百万円の76.7%がHOME’S関連事業、17.4%が海外事業にて計上されている。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の運営による売上収益は5,408百万円となっており、全体の売上収益の65.4%を占める。セグメント別利益はその他事業で190百万円の赤字だが、HOME’S関連事業は887百万円、海外事業は172百万円と、利益構成比は売上収益と概ね同様

2020年9月期 決算説明資料

事業モデル

HOME’S関連事業は、国内最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」では不動産事業者に物件情報掲載のためのプラットフォームを提供する。毎月定額料金を徴収するサブスクリプション型を基本に、ユーザーからの問い合わせ利用料を得るビジネスモデル。さらに不動産事業者向けに業務支援システムとしてインターネット・マーケティングサービスをおこなっており、広告販売料、コンサルティング料も収益源となる。
海外事業は、不動産・住宅、中古車、求人、ファッション等のアグリゲーションサイトを用いた広告収入によるビジネスモデルを展開。2006年に「Trovit」、2018年に「Mitula」を買収し、多国的に展開する不動産アグリケーションサイトとして世界で圧倒的なNo.1のポジションにある。
その他事業は、老人ホーム・介護施設の検索サイトや花の定期便サービスの運営、地方創生事業、地域創生ファンドなど新規事業に取り組む。
広告市場についてはインターネット広告市場、特にスマートフォン広告が市場を牽引しており、従来のマスメディア広告からインターネット広告への移行が加速していくものとみられる。

競合他社

不動産・住宅情報サイトは多数あるが、「LIFULL HOME’S」と同様に部屋探しのできる賃貸ポータルサイトとしては「SUUMO」、「at home」などが挙げられる。「SUUMO」は6098リクルートホールディングス系列の株式会社リクルート住まいカンパニーが運営している。「at home」は非上場のアットホーム株式会社が運営している。

2020年9月期 決算説明資料

連結の範囲

楽天株式会社が18.06%を出資しており、楽天の持分法適用関連会社に該当する。同社の連結子会社は36社(国内12社、海外24社)、持分法適用会社は6社と多い。このうち主要な子会社はアグリゲーションサイトを運営するLIFULL CONNECT S.L.Uと、インターネット広告の代理業務やコンサルティング、企画・運営をおこなう株式会社LIFULL Marketing Partnersである。

強み・弱み

LIFULLグループは不動産ポータルサイト「HOME’S]をはじめ、顧客のプロモーションのベースとなる自社サイト構築、広告運用、データ分析、ツール導入などさまざまなサービスを提供しており、これらのサービスを組み合わせてシームレスなプロモーション展開を顧客へ提供できることが大きな強みである。一方でインターネット業界は参入障壁が低く新規参入が容易であり差別化しにくいことや、広告主の広告戦略は景気変動により大きな影響を受けることから、今後競争の激化が懸念される。

KPI

主力のHOME’S関連事業における顧客数、ARPA(一顧客あたり平均売上)はKPIとなりうる。ARPAは新型コロナウイルス感染症の拡大による売上収益の減少と顧客数の拡大により減少している。また、不動産・住宅情報サイト「HOME’S」(現:「LIFULL HOME’S」)への物件掲載数も参考となる。
①顧客数:2021年9月期第1四半期27,837(前年同期比5.7%増、過去最高水準)
②ARPA:2021年9月期第1四半期75,730円(前年同期比11.5%減)
総掲載物件数 4,485,840件(20201年3月5日、トップページより引用)
本日の新着物件 142,297件(20201年3月5日、トップページより引用)

業績

2016年3月期からのIFRS適用、2017年6月開催の決算総会にて決算期を3月から9月に変更、と非連続だが均してみれば、2019年9月期まで売上収益及び税引前利益は堅調に拡大してきた。2019年9月期は減益であったがリフォーム事業からの撤退や海外アグリケーションサイトの買収による一時費用が要因。2020年9月期以降は、HOME’S関連事業と海外事業の両事業がコロナウイルス感染症拡大の影響を受けて減収のため、コストコントロールを行うも減益となり回復途上。関連会社の株式売買や設備投資に積極的で投資CFは恒常的にマイナス、営業CFは堅調に推移している。親会社所有者帰属持分比率は60%台での推移。