2438 アスカネットの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1982年創業の飛鳥写真工芸社を前身として、事業部より独立する形で1995年7月株式会社アスカネット設立。1999年4月メモリアルビデオの通信出力サービスを開始。2000年1月個人向け写真集作成サービスを開始。2011年3月特許出願権を取得し空中結像技術の研究を開始。2005年4月東証マザーズ上場。広島県に本社を構える、遺影写真加工の国内トップシェア企業

株主構成

有価証券報告書によると2020年10月末時点の大株主は、創業者の福田幸雄氏が33.12%を保有し、次いでアスカネット従業員持株会2.58%、広島銀行2.26%、その他は個人や役員を中心とした構成である。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は5名(社内4名、社外1名)、監査役3名 (全員社外)。監査役会設置会社である。社内取締役は全員中途入社。社外取締役は広島大学にて起業家育成教育に力を入れている川瀬真紀氏。なお、創業者の福田幸雄氏は2020年7月をもって取締役会長を退任済みである。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の松尾雄司氏は1961年10月生まれ。広島県出身である。出身大学は情報なし。1992年8月有限会社セイコー物産へ入社し、その後1998年4月同社へ入社。2005年5月より常務取締役などを経て、2018年7月に代表取締役社長兼COOに就任。2020年7月より現職。

報告セグメント

「メモリアルデザインサービス事業」、「パーソナルパブリッシング事業」、「エアリアルイメージ事業」の3報告セグメントに大別される。2021年4月期第3四半期時点の売上高構成比はメモリアルデザインサービス事業が1,825百万円で43.5%、パーソナルパブリッシングサービス事業が売上高2,274百万円で54.2%、 エアリアルイメージング事業は89百万円で2.1%。
セグメント利益は従来、両事業とも20%代前半の利益率があり、パーソナルパブリッシングサービス事業の利益規模がやや大きかった。同期は新型コロナの影響による減収から、固定費の負担が大きいメモリアルデザイン事業はセグメント利益が大幅に減少した。エアリアルイメージング事業は赤字。

事業モデル

写真加工技術をコアに、遺影写真の加工や葬儀全体の演出サービス、個人向けの小ロット写真集・プロの撮影した婚礼写真などの印刷製本を提供している。また空中に映像を投影する技術によって、新たな形での演出技術の取り組みにも力を入れている。
メモリアルデザインサービス事業は全国の葬儀社約2,600か所をネットワークで繋ぎ、故人の遺影を作成するに当たってのデジタル加⼯処理と通信による出力を行う。加工に当たっての技術料 、インク・用紙・額などのサプライ品の売り上げ、出力システム・デジタルサイネージ機器の販売が主な収益源である。
パーソナルパブリッシングサービス事業は 主にBtoCとBtoBの2つのビジネスからなる。BtoBの顧客は写真館やプロカメラマンなど約4,100社で、彼らにソフトウェアのAsukaBook Makerを提供し、そのソフトウェアを介して撮影したウェディング写真や建築写真のデータを受け取り、サイズが大きく重厚なアルバム“アスカブック”に印刷製本して提供する。BtoCはソフトウェアのMyBook Editorを介して、1冊からの少ロットに対応したオンデマンド印刷による写真集を個人向けに作成し販売する。
エアリアルイメージング事業は2011年より開始した事業で、空中結像技術により様々な映像画像の空中結像を実現するための研究や反射パネル等の製造などを行う。

2021年4月期第2四半期決算説明資料

競合他社

遺影写真等画像のデジタル加工、通信出力サービスは独自開発であり全国シェア約3割で、業界トップの実績を誇る。同業他社としては2305スタジオアリス(時価総額34,474百万円)、7502プラザクリエイト本社(時価総額5,355百万円)、2402アマナ(時価総額3,256百万円)が挙げられる。

連結の範囲

連結の対象となる子会社を持たない。

強み・弱み

不具合が生じた写真をデジタル画像処理により修正し、サイズ拡大や衣装の着せ替えなど広範囲にわたる特殊な画像加工を行うノウハウ、またそれをオンデマンドの無版印刷で写真プリント同等の高品質を担保する技術を有することが同社の強み。コロナ禍で結婚式、葬式の開催数減少など外部環境の変化に脆弱な点は弱みである。

KPI

メモリアルデザインサービス事業の新規加工枚数や電照写真加工枚数、設置件数の推移、パーソナルパブリッシング事業におけるBtoB契約件数と稼働件数やBtoC向けの「MyBook Editor」ダウンロード数の推移は重要なKPIである。2021年4月期第二四半期時点の実績は下記の通り、BtoB契約件数は増加しているが、契約後受注まで一定の時間を要するモデルで、コロナ禍の影響により稼働件数が減少している。
新規加工枚数 上期実績 168,778枚(前年上期比▲9.7%)
電照写真加工枚数 上期実績 58,706枚(同▲12.8%)
設置件数 2,619件(前期末比+2.2%)
BtoB契約件数 14,261件(同+2.6%)
BtoB稼働件数 4,092件(同▲10.9%)
MyBook Editorのダウンロード数 77,998回(同+1.5%) 

業績

2016年4月期から2020年4月期までの5期間で、売上高は1.2倍、営業利益は1割減。2019年4月期までは概ね増益基調にあったが、画像処理オペレータの稼働状況により、粗利率が変動することに加えて2020年4月は役員退職慰労引当金の繰り入れや送料値上げなどの影響で費用がかさんだ。足元は、新型コロナウイルスの影響が大きく、葬式や結婚式需要の大幅な減少から減収減益が見込まれる。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは機械設備や無形固定資産への投資、有価証券での現預金の運用などに積極的で恒常的にマイナス。2021年4月期第3四半期の自己資本比率は92.0%。