3676 デジタルハーツホールディングスの業績について考察してみた

3676 デジタルハーツホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 9,997 693 6.93%
FY2024.Q4 2024.03 10,124 617 6.09%
FY2025.Q1 2024.06 9,835 295 3%
FY2025.Q2 2024.09 10,071 530 5.26%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 3,828 506 13.22%
FY2018.Q1 2017.06 4,039 539 13.34%
FY2018.Q2 2017.09 4,224 464 10.98%
FY2018.Q3 2017.12 4,697 548 11.67%
FY2018.Q4 2018.03 4,393 184 4.19%
FY2019.Q1 2018.06 4,450 302 6.79%
FY2019.Q2 2018.09 4,883 475 9.73%
FY2019.Q3 2018.12 5,060 464 9.17%
FY2019.Q4 2019.03 4,861 364 7.49%
FY2020.Q1 2019.06 4,988 189 3.79%
FY2020.Q2 2019.09 5,234 329 6.29%
FY2020.Q3 2019.12 5,455 548 10.05%
FY2020.Q4 2020.03 5,461 328 6.01%
FY2021.Q1 2020.06 5,093 158 3.1%
FY2021.Q2 2020.09 5,438 369 6.79%
FY2021.Q3 2020.12 5,782 656 11.35%
FY2021.Q4 2021.03 6,356 725 11.41%
FY2022.Q1 2021.06 6,098 636 10.43%
FY2022.Q2 2021.09 7,400 734 9.92%
FY2022.Q3 2021.12 7,748 753 9.72%
FY2022.Q4 2022.03 7,932 578 7.29%
FY2023.Q1 2022.06 8,372 639 7.63%
FY2023.Q2 2022.09 9,190 743 8.08%
FY2023.Q3 2022.12 9,317 758 8.14%
FY2023.Q4 2023.03 9,638 860 8.92%
FY2024.Q1 2023.06 9,296 404 4.35%
FY2024.Q2 2023.09 9,373 325 3.47%
FY2024.Q3 2023.12 9,997 693 6.93%
FY2024.Q4 2024.03 10,124 617 6.09%
FY2025.Q1 2024.06 9,835 295 3%
FY2025.Q2 2024.09 10,071 530 5.26%

沿革

2001年4月有限会社デジタルハーツとして東京都杉並区で設立。家庭用ゲームやパチンコを対象としたコンピュータプログラム、電気機器内のバグ修正サービスの提供を開始した。2003年10月に株式会社デジタルハーツへ改組。2008年2月東証マザーズへ上場、2011年11月に東証一部へ変更。事業規模拡大に伴い持株会社体制へ移行し、単独株式移転により2013年10月株式会社ハーツユナイテッドグループ設立。株式会社デジタルハーツに代わり東証一部へ上場。2018年7月株式会社デジタルハーツホールディングスへ商号変更。発売前のソフトウェア及びコンテンツを対象に不具合を検出・報告するサービス、システムテストを提供することを主な事業とする

株主構成

有価証券報告書によると2021年9月末日時点の大株主は、取締役会長の宮澤栄一氏が42.46%、同氏の資産管理会社であるA-1合同会社の6.13%と併せて48.59%を保有する。そのほかは、日本カストディ信託銀行(信託口、第2位12.97%)など、資産管理銀行が合計30.17%保有する。第10位株主に個人投資家とみられる薮太一氏が0.60%保有する。なお、外国人株式保有比率は10%以上20%未満となっている。また、Fidelity Management and Research LLCから大量保有報告書が提出されている(5.89%)。

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。取締役会長の宮澤栄一氏(1972年生まれ)は創業者だが2017年より代表権のない会長へ就任2017年より代表取締役社長を務めていた玉塚元一氏は2021年に退任し、それまで玉塚体制のもとでエンタープライズ事業を担当していた二宮康真氏が2021年6月に代表取締役社長CEOに就任している

代表取締役の経歴

代表取締役社長CEOの二宮康真氏は1972年8月生まれ。専修大学文学部卒業後、1995年に株式会社大阪有線放送社(現 株式会社USEN NEXT Holdings)入社。株式会社U-NEXT取締役、Y. U- mobile株式会社代表取締役社長を担った後、2017年7月に執行役員営業統括として株式会社デジタルハーツに入社。2017年10月より取締役BS事業本部長として玉塚氏のもとでエンタープライズ事業の現場責任者を担当した後、2021年6月に玉塚氏の跡を継ぎ、代表取締役CEOに就任した。

報告セグメント

ゲーム機器向けなどにサービスを提供する「エンターテインメント事業」と業務システム向けなどにサービスを提供する「エンタープライズ事業」の2報告セグメントからなる。ビジネスの大半は、コンソールゲーム、モバイルゲーム、アミューズメント機器などを対象にソフトウェアの不具合を検出する「デバッグ」サービス(50.9%、2021年3月期売上高構成比)が占める。エンタープライズ事業(31.0%、同)は、業務システム向けのシステムテストなどを行う「システムテスト」(15.8%、同)及び「IITサービス・セキュリティ」(15.2%、同)から構成される。

2022年3月期第3四半期決算説明資料

事業モデル

エンターテイメント事業では、デバッグサービス、クリエイティブサービス、メディアサービスを展開。主力のデバッグサービスは、ゲームを中心にスマートフォン、Webサイトなど様々なコンテンツの不具合を検出・報告するサービスを提供している。8,000人以上の人材と豊富な機材を有し、百万件以上のバグ検出実績を持つ。翻訳、カスタマーサポート、マーケティングレビュー等も行う。
クリエイティブサービスは、ゲーム企画・開発、ソーシャルゲーム運営・運用に特化したデジタルコンテンツ制作サポートを提供。
日本最大級の総合ゲーム情報サイト「4Gamer.net」を中心に、サイト運営やゲームイベントの企画・運営をメディアサービスで行っている。
エンタープライズ事業では、WEBシステムや業務システム等の企業向けITシステムを対象に、様々なシステムテストやITセキュリティ、システム開発等サービスを提供。同社は国内最大規模のソフトウェアテスト技術者を抱え、デバックサービスを中心に企画・設計・開発・分析に至るまでの開発サイクルをワンストップでサポートしている。あらゆる角度から調査を行い、問題点を検出し、対処方法までサポートを行っている。テストによるソフトウェア単体の品質向上だけでなく、顧客企業全体の安全性向上に向けて、企業セキュリティをトータルサポートできるサービスを提供。
近年、ソフトウェアは複雑化しており、製品の故障や不具合が発生するリスクが高まっていることから、製品の信頼性を確保する為のソフトウェアテストの重要性が増している。その一方で、エンジニアが慢性的に不足しており、専門会社へアウトソーシングする傾向が高まっている。ソフトウェアテストサービス市場は成長市場(2020-2024年CAGR12%)。同社は成長企業かつ単体利益黒字の企業に買収対象を絞り、M&Aにより成長していく方針。

競合他社

ソフトウェアテスト市場は、テストを専門とする競合他社が少ない。ゲームデバッグ市場においては、3657ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス株式会社(直近決算期売上高267億円)が競合先であり、同社とほぼ2社で市場を寡占している。ゲーム以外の分野については、3697SHIFT(同460億円)、4442バルテス(同53億円)などが存在する。

強み・弱み

国内ゲームテストサービス市場で圧倒的なシェアを有す(コンソールゲームのおける国内売上トップ100に占める関与率約70%)。登録テスター数約8,000名、その内技術者資格保有者368名が在籍(2021年3月末現在)し、一定の人的リソースを確保しつつ、未経験者をプロフェッショナルへと育てる独自の教育体制を確立している。
一方で、AI等の技術革新による既存サービスの陳腐化は大きなリスクと考えられる。また、9697カプコンへのサイバー攻撃に見られたような、情報漏洩もリスクの一つ。

KPI

当該業務を担う人材プールの構築・確保が成長の根幹。経営目標として、2024年3月期 売上高500億円(2021年3月期実績226億円)を掲げる。登録テスター数や技術者資格保有者数の推移がKPIとなる。

①    登録テスター数 約8,000名
②    技術者資格保有者数 368名(2021年3月末現在)

2022年3月期第3四半期決算説明資料

業績

売上高は安定的な成長を継続しており、2017年3月期から2021年3月期までの5年間で売上高は約72億円の増収、増加率は1.47倍となった。純資産額は内部留保の蓄積により約34億円増加したことなどに伴い、ROEは2018年3月期40.0%から2021年3月期18.4%と減少傾向だがここ数年は増配傾向にある。主力のゲーム分野からから幅広いシステム領域へ事業領域を拡大するステージにあり内部留保を確保したいとの会社意向。自己資本比率4割程度で安定推移。営業CFは安定してプラス、投資CFで毎期拠出。財務CFは恒常的にマイナスで推移してきたが、2021年3月期は大幅にプラスとなり、手元流動性が厚い。

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