4013 日通システムの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1981年4月に愛知県で設立され、オフィスコンピューター・システム開発・通信機器販売の会社としてスタートした。1992年には就業管理や猶予計算パッケージシステムの開発を開始し、1998年には現在の主力商品の前身である「勤次郎M」の販売を開始。2019年4月に本店機能を東京都千代田区へ移転。2020年10月東証マザーズ上場

株主構成

上場前の有価証券届出書に上場時の新規発行や売出を考慮すると、代表取締役執行役員社長の加村稔氏の資産管理会社2社エヌイーシステムサービス株式会社35.6%、MKシステム5.4%に加え、同氏個人9.4%、同氏の親族2名2.0%と、併せて57.1%を実質的に加村氏が保有しているとみられる。そのほか、三菱UFJキャピタルで4.4%、従業員持ち株会で14.6%を保有しているとみられ、安定株主の比率が高い

取締役会構成

取締役は7名(社内5名、社外2名) 、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。プロパー社員から現職に至るのは56歳1名で、その他取締役は2010~15年にかけてマネジメント層が大手企業より転入。比較的高齢に偏っており、一番若い取締役は事業戦略を管掌する2015年入社の47歳、である。

代表取締役の経歴

代表取締役執行役員社長の加村稔氏は1947年6月生まれ。1981年4月に同社創業。2015年からは営業本部長や営業推進本部長も兼務し、自ら販売活動に邁進してきた。

報告セグメント

「HRM(Human Resource Management)事業」と「その他」の2報告セグメントに大別されるが、貸会議室事業を行う「その他」が売上高に占める比率は約1%のため割愛する。「勤次郎Enterprise」の開発と販売、保守サービスを行う「HRM事業」は、「クラウド事業」と「オンプレミス事業」の2つに区分される。オンプレミスからクラウドへの移行を図っており、収益構造の転換期である。

2020年12月期第3四半期 決算説明資料

事業モデル

「勤次郎Enterprise」というシリーズ商品を主力に、勤怠情報を管理する就業ソリューション、人材情報の一元管理が可能な人事ソリューション、給与・賞与・社会保険・年末調整までトータル管理可能な給与ソリューションなどのERP(Enterprise Resource Planning)システムを提供している。尚、就業ソリューションが売上の8割を占める。例えばスマホアプリからの勤怠打刻が可能など多様な働き方に対応し利便性が高いだけでなく、自治体や医療機関などと連携した電子カルテやストレスチェックなどヘルスケア領域のラインナップを広げプラットフォーム化を図っており、顧客の「働き方改革&健康経営」を幅広くサポートできる点が特徴である。
販売は、売上高の5割をパートナー販売が占め、その8割が大塚商会グループによるもの。2020年12月期第3四半期時点でグループ従業員数は263名、開発人員は日本102名とベトナム41名の143名。売上高の51%がリカーリング方式によるもので、定額ではないものの契約継続により安定した収益が見込める収益構造である。オンプレミスについても、ソフトウェア販売後の保守サポート提供により年額または月額料金のリカーリングレベニューを得ている。

競合他社

勤怠管理やERPシステムは会計システムと共に提供される場合が多く、手掛ける企業は無数に存在する。日系の上場企業では4684オービック、3994マネーフォワード、4478フリー、4397チームスピリット、9928ミロク情報などが挙げられる。顧客層の近さや、ERPシステムの単一事業との観点では導入社数約1,400社の4397チームスピリットが最も近い

連結の範囲

日通システムベトナム有限会社1社が連結子会社に該当する。

強みや弱み

クラウドで1200社、オンプレミスで3800社と導入実績が約5000社あり現在もクラウドの契約社数が2桁の伸び率で急拡大していること、人件費の安価なベトナムにシステム開発拠点を持つことは強み。サービスの変化の速度が速く競合も多いERPシステムやヘルスケア領域において、比較的高齢の経営陣で変化に対応していけるかは懸念点。

KPI

契約社数やリカーリングレベニュー比率の推移に加え、同社費用の55.9%を人件費が占めることから、中長期的な視点では採用動向や人員数の推移もKPIとなり得る。
① クラウド形態での契約社数 2020年12月期第3四半期末 1270社 前期末比+22.5%
② クラウド形態での契約ライセンス数 同303,716人 前期末比+23.2%
③ リカーリングレベニュー比率 同51.6% 前期末比4.3pt上昇
④ グループ社員数 同263名(内、開発人員 日本102、ベトナム41名) 前期末+28名(内、開発人員+15名)

業績

単体ベースでは、2015年3月期から2019年12月期まで売上高は毎期堅調に増加し、1,681百万円から3,188百万円へ倍増した。経常利益は安定していないが黒字は確保しており均してみれば増加基調。2期のみ開示の連結ベースでは、経常利益は2018年12月期323百万円から翌期459百万円と1.4倍に拡大、営業CFはプラス、投資CFは営業CFの範囲内でマイナス、自己資本比率は2019年12月期62.5%と健全な財務水準にある。