1447 Itbookホールディングスの業績について考察してみた

1447 Itbookホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2022.06 6,703 -214 -3.19%
FY2023.Q2 2022.09 7,619 -117 -1.54%
FY2023.Q3 2022.12 7,487 188 2.51%
FY2023.Q4 2023.03 8,703 824 9.47%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2019.Q4 2019.03 4,757 174 3.66%
FY2020.Q1 2019.06 4,614 -220 -4.77%
FY2020.Q2 2019.09 5,436 -20 -0.37%
FY2020.Q3 2019.12 5,162 99 1.92%
FY2020.Q4 2020.03 6,012 296 4.92%
FY2021.Q1 2020.06 4,702 -482 -10.25%
FY2021.Q2 2020.09 5,617 -271 -4.82%
FY2021.Q3 2020.12 5,853 145 2.48%
FY2021.Q4 2021.03 6,658 760 11.41%
FY2022.Q1 2021.06 5,701 -305 -5.35%
FY2022.Q2 2021.09 6,111 -169 -2.77%
FY2022.Q3 2021.12 6,685 110 1.65%
FY2022.Q4 2022.03 7,789 461 5.92%
FY2023.Q1 2022.06 6,703 -214 -3.19%
FY2023.Q2 2022.09 7,619 -117 -1.54%
FY2023.Q3 2022.12 7,487 188 2.51%
FY2023.Q4 2023.03 8,703 824 9.47%

沿革

2018年10月ITbook株式会社およびサムシングホールディングス株式会社が共同株式移転の方法により同社を設立。東証マザーズに上場地盤調査改良事業を主軸に、ITコンサルや人材派遣などを幅広く展開する

株主構成

有価証券報告書によると2021年9月末時点の大株主は、代表取締役社長の前俊守氏が4.25%、楽天証券株式会社が1.94%、株式会社UNSが1.85%と並ぶ。そのほか、名誉会長である恩田饒氏や証券会社などが並ぶ。

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役2名は、小田原信用金庫や大和証券株式会社などの出身者。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の前俊守氏は1967年1月生まれ。天理大学を卒業後、株式会社ワキタに入社。1997年6月には株式会社サムシング代表取締役社長へ就任。2018年10月に現職へ就任。ジオサイン株式会社の取締役や株式会社アースプライムの取締役会長なども兼任する。

報告セグメント

「コンサルティング事業」、「システム開発事業」、「人材事業」、「アパレル事業」、「地盤調査改良事業」、「保証検査事業」、「建設テック事業」、「海外事業」の8報告セグメントに大別される。2022年3月期第3四半期の売上高18,497百万円の構成比は、コンサルティング事業1.4%、システム開発事業12.7%、人材事業22.8%、アパレル事業1.1%、地盤調査改良事業56.1%、保証検査事業1.2%、建設テック事業1.8%、海外事業2.0%、その他0.9%である。セグメント利益(又は損失)は、コンサルティング事業▲315百万円、システム開発事業▲12百万円、人材事業77百万円、アパレル事業▲111百万円、地盤調査改良事業494百万円、保証検査事業61百万円、建設テック事業8百万円、海外事業14百万円であり、営業損失は▲364百万円であった。

事業モデル

コンサルティング事業は、官公庁や民間企業等に対して、業務および情報システムの総合的な整理・再構築を提案し、組織的な戦略目標の達成を支援する。クラウドコンピューティングの急速な普及やマイナンバーカードの普及、DX推進などを背景に、受注機会が更に増加すると見込んでいる。
システム開発事業は、新規システム開発、ニアショア開発、保守業務、ハードウェアの販売、Webシステム開発、マーケットデータシステム開発、外国為替関連システム開発、生命保険関連システム開発や保守・運用および組込開発を行う。IoT、AI、FinTechなど、新たな技術革新が進展しており、これらの動向とIT関連のコンサルティングおよびシステム開発事業とのシナジー効果は大きいと考えられる。
人材事業は、人材紹介、技術者の派遣および製造業・流通業等の分野への人材派遣を行う。新型コロナウイルス感染症拡大による影響もあり、有効求人倍率は前年同期比で減少したものの(2022年3月期第3四半期)、同社グループの技術者派遣業、製造業および流通業向け人材派遣業の専門性に特化した派遣業は、ニーズの高いものであると考えられる。
アパレル事業は、レディスウェアを中心に「Rewde」、「DADA」、「ZOYA」の3つのブランドを展開し、店舗およびECサイトで販売を行う。新型コロナウイルス感染症拡大により、店舗封鎖や時短営業等の営業規制を大きく受け、業界全体で落ち込んでいる。
地盤調査改良事業は、ハウスメーカーなどのビルダーに対して、地盤調査、測量、地盤改良、沈下修正工事および擁壁工事等を行う。地盤調査改良市場について、2021年3月期の年間の新設住宅着工戸数は、新型コロナウイルス感染症による消費マインドが冷え込み、金融機関による融資条件の厳格化もあり、民間資金による持ち家およびアパート等の新設住宅着工戸数が減少している。
保証検査事業は、ハウスメーカーなどのビルダーに対して、地盤保証、住宅完成保証および、住宅検査関連業務を行う。地盤調査改良市場と同様の経営環境にある。
建設テック事業は、GPS付き地盤調査機器「GeoWebシステム」等のレンタル・販売等および電子認証サービスを行う。昨今市場が拡大している中古住宅市場の品質検査分野におけるシステムの開発・販売を行うなどにより、更なる受注獲得を目指している。
海外事業は、東南アジアにおける地盤調査、地盤改良、土木工事、並びに住宅建設請負および関連事業を行う。
その他事業は、金融事業、教育事業およびM&Aアドバイザリー事業を行う。

2022年3月期第2四半期 決算説明資料

競合他社

住宅地盤改良工事などを営む1758太洋基礎工業(直近決算期売上高133億円)や1914日本基礎技術(直近決算期売上高228億円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社28社、非連結子会社8社、関連会社3社で構成され、コンサルティング事業、システム開発事業、人材事業、地盤調査改良事業、保証検査事業、建設テック事業、海外事業を営む。

強み・弱み

地盤調査から改良に向けたコンサルを一気通貫して自社で行える体制と、その費用対効果の高さを強みとしている。同社グループの製品やサービスにおいて、予見できない瑕疵又は重大な過失による施工不良、並びに調査ミス等での多額の損害賠償請求等を受けた場合に業績へ与える影響が懸念される。

KPI

KPIとみられる具体的な開示はないが、住宅着工戸数や施工実績などがKPIと想定される。

業績

2019年3月期から2021年3月期までの3期をみると、売上高は11,272百万円から22,830百万円、経常利益は60百万円から196百万円と増収増益。企業のDX化への動きが加速したことや、慢性的な人材不足を背景に、コンサルティング事業や人材事業などが伸びている。営業CFは直近期にマイナスに転じ、投資CFは恒常的にマイナス。2022年3月期第3四半期の自己資本比率は12.1%。

関連ありそうな記事