4293 セプテーニ・ホールディングスの業績について考察してみた

4293 セプテーニ・ホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

セプテーニ・ホールディングスの事業概要

同社は1990年10月、リクルートで北関東支社長を努めた七村守氏が独立し、人材採用コンサルティングサービスを提供することを目的に株式会社サブ・アンド・リミナルとして設立された。2000年3月、株式会社セプテーニに商号を変更し、2001年8月には株式を店頭市場(ジャスダック)に登録し株式上場を果たす。従業員数はグループ連結で1,224名である(2020年9月期現在)。
同社の報告セグメントはデジタルマーケティング事業、メディアプラットフォーム事業の2事業で構成される。このうちデジタルマーケティング事業の2020年9月期セグメント収益は15,807百万円であり、連結収益全体の88.1%を占める主要事業となっている。
同社は持株会社であり、連結子会社はデジタルマーケティング支援を行う「株式会社セプテーニ」やクラウド型CRMサービスを行う「トライコーン株式会社」、メディアプラットフォーム事業にてマンガコンテンツを運営する「コミックスマート株式会社」を筆頭に32社、持分法適用会社等7社を有している。2018年10月に電通グループとの間で資本業務提携契約を締結し、電通グループが同社株の21%を保有するその他関係会社として分類される。

株主構成

2020年9月末時点の大株主上位10名のうち、株式会社電通グループが20.98%を保有する筆頭株主だが、同社創業者である七村守氏の資産管理会社「株式会社ビレッジセブン」の11.48%と個人所有分10.88%を合わせると、計22.36%と同社の筆頭株主となっている。その他国内外の信託口で6名17.95%保有し、また創業副社長の清水洋の1.56%と名を連ねる。外国人保有比率は20%未満である。

取締役会構成

同社の取締役は8名(社内3名、独立役員の社外5名。)、社内3名は同社に入社後、各ボジションで重要なポジションを歴任したメンバーである。監査役4名 (常勤監査役2名、独立役員の社外2名)であり、監査役会設置会社である。

デジタルマーケティング事業

同部門の事業内容はデジタルマーケティングを中心として、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)における総合的な支援を行うものである。主にインターネットを中心としたデジタル広告の販売と運用の他、2018年に資本業務提携をした電通グループとの連携によるマーケティング支援を行っている。2020年9月期の有価証券報告書(IFRS準拠)のセグメント情報によると、セグメント収益が前年比4.8%増の15,807百万円、セグメント利益は同9.9%増の5,248百万円と増収増益だった。セグメント収益は業績予想の15,350百万円を3%上回り、セグメント利益も4,800百万円を9.3%上回る進捗率となった。
業績好調の要因は電通グループとの協業顧客数の増加であり、2019年9月期末の16社から、2020年9月期末時点で54社と急増したことが挙げられる。マスマーケティング事業では国内において圧倒的なシェアを有する電通グループと、デジタルマーケティング領域で一定の地位を築いていた同社の提携により、電通グループ顧客のオフライン・オンライン統合提案体制の構築ができるようになった。その結果、国内ブランド広告取扱高は提携前の2017年9月期の1,410百万円から、2020年9月期で6,350百万円まで増加させており、デジタルマーケティング事業における構成比は1.9%から8.5%に伸ばしている。その甲斐もあり、2020年9月期3Qから新型コロナウイルスの影響で一時的に広告取扱高が減少したものの、既存顧客を中心に収益を構築し、業績は順調に推移した。
尚、2021年9月期のセグメント収益予想は前年比9.4%増の17,300百万円、セグメント利益予想は同8.6%増の5,700百万円とした。EC広告領域の強化や、データ・ソリューション領域の強化を図ることで増収増益の達成を狙う。同社の同業では最大手のサイバーエージェント(4751)があり、ネット広告事業のみで269,300百万円(2020年9月期)の売上高を挙げるなど規模面では劣る。同社の今後は電通グループとの協業がどれほど上手くいくかが鍵だろう。

メディアプラットフォーム事業

同部門の事業内容は、様々なメディアプラットフォームの運営を行っており、マンガコンテンツ事業「GANMA!」や採用プラットフォーム事業「ViViViT」、社会貢献プラットフォーム事業「gooddo」、医療プラットフォーム事業「Pharmarket」、育児プラットフォーム事業「ベビフル」と扱う領域は幅広く、将来の収益獲得に向けた先行投資がなされているセグメントだ。2020年9月期の有価証券報告書(IFRS準拠)のセグメント情報によると、セグメント収益が前年比24.0%増の2,487百万円となった一方、セグメント利益は前年の901百万円の赤字を55百万円上回る956百万円の赤字で、引き続き投資フェーズにある状況だ。セグメント収益は業績予想の2,500百万円を0.5%下回り、セグメント利益も950百万円の赤字予想よりも6百万円の赤字を叩き出すこととなった。
同事業が芳しくなかった要因は単に新型コロナウイルスの影響による広告収益の減少が挙げられる。GANMA!では、オリジナル作品は追加課金等無く見ることができ、漫画ニーズのある顧客を中心に、事業拡大を図ってきた。しかし、コロナ禍によって収益柱であった広告収入が激減し、収益構造の脆弱性を晒した格好となった。
そのような背景から、広告収益から課金収益の割合増やすことで、安定した収益の獲得を目指した。
その結果、広告収入をはじめとしたアプリ収益は対前年比で18.7%減となったものの、課金収益であるサブスクリプション収益は対前年比で84.3%増と急拡大した。また、2017年に資本業務提携を行ったベンチャー企業「CAMPFIRE」と共同で取り組んでいる「クラウドファンディング事業」は、対前年比で135.8%増と成長を遂げている。
現状利益率の高い広告収益をベースに投資先行で赤字を計上してきたものの、コロナ禍で広告収益頼りでは収益構築は難しくなり、安定した収益を確保できる「課金収益」の伸びが今後の成長には不可欠である。また、これまで各プラットフォームを独立して運営してきていたが、単一メディアから連携させた「グロースプラットフォーム」にシフトし、よりユーザー課金に向けた事業モデルにしていく模様。

KPI

同社はデジタルマーケティング事業の売上高が全体の86%を占めるため、同事業の顧客数が重要なKPIであると予想できる。
また、現在は投資段階であるメディアプラットフォーム事業については、クラウドファンディングの支援総額、マンガアプリダウンロード数と課金率、ViViViT登録学生数などがKPIとして考えられる。