9740 セントラル警備保障の業績について考察してみた

9740 セントラル警備保障の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2022.05 16,254 1,106 6.8%
FY2023.Q2 2022.08 15,574 831 5.34%
FY2023.Q3 2022.11 16,002 987 6.17%
FY2023.Q4 2023.02 16,994 1,052 6.19%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.02 12,905 77 0.6%
FY2018.Q1 2017.05 13,338 647 4.85%
FY2018.Q2 2017.08 12,721 297 2.33%
FY2018.Q3 2017.11 12,960 229 1.77%
FY2018.Q4 2018.02 14,695 560 3.81%
FY2019.Q1 2018.05 15,449 1,040 6.73%
FY2019.Q2 2018.08 15,376 887 5.77%
FY2019.Q3 2018.11 15,891 944 5.94%
FY2019.Q4 2019.02 15,681 538 3.43%
FY2020.Q1 2019.05 16,300 1,156 7.09%
FY2020.Q2 2019.08 17,314 959 5.54%
FY2020.Q3 2019.11 17,083 1,116 6.53%
FY2020.Q4 2020.02 17,117 1,030 6.02%
FY2021.Q1 2020.05 17,441 1,487 8.53%
FY2021.Q2 2020.08 16,475 1,140 6.92%
FY2021.Q3 2020.11 16,433 1,140 6.94%
FY2021.Q4 2021.02 17,094 817 4.78%
FY2022.Q1 2021.05 17,075 1,476 8.64%
FY2022.Q2 2021.08 17,375 1,399 8.05%
FY2022.Q3 2021.11 16,525 1,138 6.89%
FY2022.Q4 2022.02 18,095 1,162 6.42%
FY2023.Q1 2022.05 16,254 1,106 6.8%
FY2023.Q2 2022.08 15,574 831 5.34%
FY2023.Q3 2022.11 16,002 987 6.17%
FY2023.Q4 2023.02 16,994 1,052 6.19%

沿革

1966年3月、東京都にて常駐警備をおもな事業目的としてセントラル警備保障株式会社が設立される。1988年2月、東証二部へと上場。1997年、9020JR東日本と業務提携をおこなう。2004年2月に東証一部へ変更した。駅やオフィスビル、ショッピングセンター、金融機関などさまざまな施設の常駐警備が事業の主軸である。

株主構成

有価証券報告書によると2021年2月末日時点の筆頭株主は業務提携先である9020JR東日本で保有割合は25.3%である。ほか信託銀行の信託口、国内外の銀行、社員持株会などが保有割合5%未満でならぶ。外国人保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役は4名(社外3名、社内監査役は常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役は国鉄・9020JR東日本、もしくは大手商社の出身。取締役会長の鎌田伸一郎氏は1953年4月生まれ。東京工業大学を卒業後、日本国有鉄道に入社。2009年6月、9020JR東日本の常務取締役に就任。2011年に同社へ入社し、翌2012年には同社代表取締役に就任。2018年5月より現職を務める。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の澤本尚志氏は1957年4月生まれ。神戸大学を卒業後、1979年に日本国有鉄道へ入社。1987年4月には東日本旅客鉄道株式会社(現:9020JR東日本)に入社し、2012年に常務取締役に就任。JR東日本ビルテック株式会社の代表取締役社長を経て2017年5月、同社取締役に就任。2018年より現職を務める。

報告セグメント

「セキュリティ事業」と「ビル管理・不動産事業」の2報告セグメントに大別される。2022年2月期第1四半期の売上高17,075百万円の構成比はセキュリティ事業97.6%、ビル管理・不動産事業が2.4%である。

事業モデル

同社資料よりPERAGARU_BLOG 作成

セキュリティ事業は大きく4分野に分かれる。常駐警備、機械警備、運輸警備、工事・機器販売である。常駐警備では商業ビルやJRの駅などさまざまな施設での立哨、監視、巡回など人的警備サービスを手がける。機械警備はオフィスビルや個人宅における防犯・防火の監視や施設の設備異常に対する一次対応など警備サービスをおこなう。運輸警備では現金・貴重品などを指定の場所に輸送し、現金管理にともなう付加サービスも提供。工事・機器販売は防犯カメラシステムや入退室管理システムなど警備関連機器の設置工事と販売をおこなう。ビル管理・不動産事業では清掃業務や電気設備保安業務など、建物の総合管理サービスと不動産賃貸事業を手がける。新型コロナウイルスの感染拡大によるイベントの中止や営業活動の鈍化は業界にとってマイナス要素。しかし家庭向け警備サービスの需要は堅調に増加している。顔認証システムやスマートフォンと連携したサービスなどAI技術の活用が顕著であり、従来の労働集約型サービスにくわえてテクノロジーを取り入れた高付加価値サービスのラインナップが拡大している。

競合他社

警備業界は9735セコムと2331綜合警備保障がツートップ。両社の2020年度セキュリティ事業売上高を見ると9735セコムが561,531百万円、2331綜合警備保障が355,559百万円である。同社は65,739百万円で業界3位。

連結の範囲

連結子会社は12社で、すべて国内企業である。このうち主要な子会社は同社が100%出資し、常駐警備・建物総合管理サービスを提供する関西シーエスピー株式会社。また収益性の高い機械警備事業を担うシーティーディーネットワークス株式会社も主要な子会社といえる。

強み・弱み

9020JR東日本と業務提携しており、鉄道向けに強みがある。2021年2月期のJR東日本への売上実績は全売上高の31.1%を占める。一方で利益率の高くない常駐警備が事業の主軸であり、すでに同社も注力しているとおり利益率の高い機械警備、機器工事・販売の割合を拡大していけるかが課題。

2021年2月期末決算 並びに 中期経営計画 説明資料

KPI

前項でも述べたように、中期経営計画において収益の主軸を常駐警備から機械警備へとシフトする方針を掲げており、常駐警備の売上高、機械警備の売上高はKPIとなりうる。ならびに9020JR東日本とは引き続き関係を強化し、売上比率を高めていくとみられるため、総売上に対する9020JR東日本への売上割合もKPIといえる。なお、以下すべて2022年2月期 第1四半期の数値である。
1. 常駐警備 売上高:8,201百万円(前年同期比 -6.2%)
2. 機械警備 売上高:5,372百万円(前年同期比 +6.7%)
3. 対9020JR東日本 売上割合:17.6%(前年同期比 +3.1%)

業績

売上高・利益とも継続的、安定的に成長している。2017年2月期から2021年2月期までの5年間で売上高は1.4倍、経常利益は2.4倍となった。自己資本比率も43.6%から47.7%へと4.1%の伸び。投資CFは恒常的にマイナス、営業CFは安定してプラス推移である。

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