9263 ビジョナリーホールディングスの業績について考察してみた

9263 ビジョナリーホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

1976年7月、有限会社メガネスーパーとして設立され、眼鏡用品の小売業を開始。全国主要都市にメガネ・コンタクトレンズを中心としたチェーン店を展開する。2004年3月、東証JASDAQに上場。2008年頃より価格競争の激化に伴って収益が悪化し、2011年4月期には債務超過に陥る。2012年、アドバンテッジパートナーズをはじめ投資ファンドが主導となり、経営再建を開始。2016年4月期に黒字化を果たす。2017年11月、株式移転により株式会社ビジョナリーホールディングスを設立し、株式会社メガネスーパーが完全子会社となる。2019年10月、株式会社大塚メガネを子会社化。現在は東証スタンダード。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年10月末時点の筆頭株主は2413エムスリーで32.4%を保有する。なおエムスリーとは2020年に資本業務提携している。ほか、保有割合5%未満で信託銀行の信託口、代表取締役社長の星﨑尚彦氏や取締役の三井規彰氏が名を連ねる。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は11名(社内6名、社外5名)、社内1名と社外2名の計3名が監査等委員。監査等委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役は40代~50代で、全員中途入社と見られる。出身は9983ファーストリテイリング、9997ベルーナ、4751サイバーエージェントなどさまざま。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の星﨑尚彦氏は1966年10月生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、8031三井物産に入社した。1999年、スイスのIMDビジネススクールに留学してMBAを取得。同年12月に三井物産を退社し、フラー・ジャコージャパンの代表取締役に就任した。以後、さまざまな企業の代表取締役を歴任。アパレルメーカー「クレッジ」の経営再建ではアドバンテッジパートナーズとタッグを組み、1年半でV字回復を成し遂げた。2013年、アドバンテッジパートナーズに招聘され、メガネスーパー代表取締役社長に就任。2017年11月、同社設立と同時に代表取締役に就いた。

報告セグメント

「小売事業」「卸売事業」「EC事業」の3つの報告セグメントに大別される。メガネスーパーを中核とした、店舗でのアイケア商品販売が主力事業。商品販売と付随するサービスを提供する。直近2022年4月期の売上高26,068百万円の92.8%が「小売事業」、3.9%が「卸売事業」、3.3%が「EC事業」で構成されている。

事業モデル

ミドル層、シニア層をターゲットに設定したアイケア商品を販売する。老眼や眼精疲労に対応する商品が多い。「アイケアカンパニー」として、ただメガネを売るのではなく総合的な眼のサポートも手がけ、顧客の支持を得る。
主力の小売事業はフロー収益サービス収益ストック収益と3種類の収益基盤を持つ。
フロー収益はメガネ、コンタクトレンズ、補聴器などの販売による収益。フランチャイズ展開はせず、すべて直営店で販売する。眼鏡レンズは59.7%を株式会社ニコン・エシロールから仕入れ、コンタクトレンズについては30.7%をジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社から仕入れている。
次に、サービス収益はトータルアイ検査をはじめとするサービス提供から得られる。トータルアイ検査とは、視力にくわえて生活環境や眼の調整力も考慮した、最大52項目におよぶ眼の検査である。ほかにも既存のメガネを再調整するサービスなどを提供する。
最後にストック収益はコンタクト定期便やHYPER保証システム、こども安心プランから得られるサブスクリプション型の収益である。

2022年4月期 3Q決算説明資料

卸売事業は子会社の株式会社VISIONIZEが中心となる。VISIONIZEはイタリアの大手アイウェアメーカーであるMARCOLIN社、LVMHグループのTHELIOS社の日本総代理店を務める。
EC事業では「メガネスーパー公式通販サイト」をはじめ、Amazon、楽天などのモールECにて商品提供をおこなう。また、過去に購入したコンタクトレンズ用品を1タップで注文できる自社アプリや、LINEを活用した来店予約など、オムニチャネル戦略を展開する。
2019年における眼鏡一式小売市場の規模は5,587億円程度。コンタクトレンズの市場規模は2020年で2,403億円である。高齢化の進展による老視マーケットの拡大、PCやスマホなどを高頻度に使用する若年層の視力低下、疲れ目、スマホ老眼などで両市場ともにゆるやかに拡大傾向にある。

競合他社

会社資料よりPERAGARU_BLOG作成

3046ジンズホールディングス7455三城ホールディングス9854愛眼などが挙げられる。前業年度で売上高を比較すると、ジンズホールディングスが63,898百万円、次いで三城ホールディングスが43,873百万円、同社26,059百万円、愛眼が13,562百万円である。

連結の範囲

連結子会社はすべて国内にあり、7社で構成される。なお2022年5月のグループ再編により、子会社は5社となる。主要な子会社はメガネスーパーやアイスタイルなどを運営する株式会社VHリテールサービス。

2022年4月期 3Q決算説明資料

強み・弱み

同社の強みは、高年齢層をターゲットにした付加価値の高い商品・サービスでの高い競争力である。事業再生期で低価格路線からの方向転換を経て、持続的に成長できる基盤が整ったといえる。一方で、直営店の展開にこだわる同社にとっては1店舗あたりの生産性向上が課題となる。業界全体を見ると、各社による価格競争と出店競争が激化している。同社は価格競争からは一線を画すものの、店舗展開にあたって出店費用や人件費などコスト負担の大きさが懸念される。

KPI

店舗数や、主力の「小売事業」での売上高はKPIとなりうる。また店舗の生産性につながる来店予約率もKPIといえるだろう。以下、2022年4月期の数値を示す。
①    店舗数:327店舗(前年度末比+5)
②    小売事業売上高:24,192百万円(前年同期比▲1.1%)
③    来店予約率:23.2%(前年度末21.8%)

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は2018年4月期の21,776百万円から3期連続で増加、2021年4月期は26,059百万円と前期比▲4.7%の減収だったが2022年4月は前期同様の水準を維持し下げ止まった。経常利益は587百万円から926百万円へ約1.6倍となった。2020年4月期に大幅な店舗移転・退店による閉鎖損失を理由に332百万円の経常損失を計上、2022年4月期も営業損失120百万円となったが雇用調整助成金により経常利益はプラスで着地。自己資本比率は8.1%から25.1%まで改善傾向にあったが、足元で20.1%へ低下。営業CFも営業損失を主因にマイナスへ悪化、投資CFについては2018年4月期を除いてマイナスである。

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