6191 エアトリの業績について考察してみた

6191 エアトリの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

2007年5月、オンライン旅行事業者「株式会社旅キャピタル」として東京都で創業された。創業者は取締役CGOの吉村英毅氏と取締役会長の大石崇徳氏である。2012年3月にベトナムの現地法人を設立し、ITオフショア開発事業を開始。2013年1月にオンライン旅行事業から総合IT事業を営む会社への展開を意図して株式会社エボラブルアジアへ社名変更。2016年3月、東証マザーズへの上場を果たした。同年11月には全日本空輸株式会社と認可代理店契約を締結。2017年3月、東証一部へ市場変更をおこなう。航空券の予約・販売業を中心に、国内外の旅行に付随する周辺事業を積極的に子会社化してきた。2020年1月に株式会社エアトリへ社名変更。現在は成長・再生企業への投資も手がけ、事業領域を拡大している。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年9月末時点の筆頭株主は取締役会長の大石崇徳氏で28.7 %を保有する。また取締役吉村英毅氏の資産管理会社とみられる法人が12.7% と、創業者2名で40%超を保有。以下、大株主は国内外の信託銀行の信託口が上位を占めている。
外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は11名(社内9名、社外2名)、監査役は4名(社内・社外それぞれ2名ずつ、社内のうち1名は常勤)、監査役会設置会社である。 代表取締役の柴田裕亮氏を含め、コンサルや会計ファーム出身の30代半ば~40歳が3名。取締役会長大石崇徳氏が学生時に起業した際から所属する40代が2名、吸収合併したDeNAトラベルからの就任が2名である。事業が多岐にわたり、取締役の人数も多い。創業者の2名は現在代表権のない取締役である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の柴田裕亮氏は1982年8月生まれ。東京大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。卒業後、監査法人トーマツへ入社した。その後、野村證券株式会社への出向を経て2015年5月に同社取締役CFOに就任。2019年1月には代表権のある取締役CFOへ昇格し、翌年1月より現職を務める。IPOやM&A案件で数多くの経験を持つ。

報告セグメント

「オンライン旅行事業」、「ITオフショア開発事業」、「投資事業」の3報告セグメントに大別される。2022年9月期第1四半期の売上高4,354百万円の構成比はオンライン旅行事業が89.5%、ITオフショア開発事業が3.5%、投資事業が6.9%である。

事業モデル

オンライン旅行事業は3つの領域に分かれる。その3領域とは、エアトリ旅行事業、訪日旅行・Wi-Fiレンタル事業、メディア事業となっている。
エアトリ旅行事業は、旅行コンテンツの比較・予約サイト「エアトリ」運営による自社直営、他社媒体へのOEM提供、卸売り、ビジネストラベルマネジメント(BTM)からなる。
訪日旅行・Wi-Fiレンタル事業では、訪日旅行客に向けWi-fiやキャンピングカーのレンタルサービスを扱う。ほかにも旅行客の母国語でホテル・旅館の情報を株式会社ジャルパックへ提供する。またAirbnbの日本初公式パートナーとして民泊オーナー向けに物件の登録・運用サポートを手がける。
メディア事業については子会社の株式会社まぐまぐと連携。世界中からクリエイター等のコンテンツを集めて、メールマガジンやWEBメディアといった媒体の運営をおこなう。
ITオフショア開発事業は、ベトナムのホーチミンとハノイ、ダナンにおいてラボ型開発サービスを提供。東南アジアにおける日系企業としては最大規模であり、EC・Webソリューション・ゲーム・システム開発企業が顧客となる。
最後に、投資事業では協業によるシナジーを見込める成長企業を中心に投資をおこなっていく。2022年2月時点で投資先は69社、総投資額は約30億円まで拡大した。
旅行市場を取り巻く環境をみると、足元ではコロナ禍の影響を受けて需要は減少・停滞傾向。しかしワクチンの追加接種と治療薬の普及による感染縮小、さらにGoToトラベルの再開で需要増へと転換すると考えられる。

同社HP HOME > 事業系統図

競合他社

オンライン旅行事業は知名度を持つブランドで複数事業者がサービスを提供中である。楽天トラベル、じゃらん、JTB、H.I.S.などの国内大手や、海外大手のTrip Advisor、トリバゴ、Ctripなど、知名度を持つブランドで複数事業者がサービス提供中であり、競合は多い。しかし同社はOTA業界で唯一、国内全航空グループの自社発券が可能で航空券インターネット取扱高が最多である。

連結の範囲

連結子会社は10社、持分法適用会社は1社と多い。国内10社、ベトナムに1社となっている。このうち主要な子会社はベトナムでシステム開発をおこなうEVOLABLE ASIA CO., LTD. と、オンライン旅行事業を営む株式会社エアトリインターナショナル。株式会社エアトリインターナショナルの売上高は、同社連結売上高の10%を超える。 また、メールマガジン配信プラットフォームで老舗の株式会社まぐまぐは2020年9月に東証JASDAQスタンダードへと上場している。

強み・弱み

オンライン旅行事業では大きく3つの強みがあるといえる。国内全航空会社との契約に代表される「仕入れ力」、BTMなどを含めた「多様な販路」、自社のオフショア開発事業を活用した安価で迅速な「システム開発」である。ITオフショア開発事業はスケールメリットが強みだが、コロナ禍で従業員数が急減している(KPI②参照)。ポイント経済圏を構築している4755楽天グループや6098リクルートホールディングス(じゃらん)、シニア層から支持の熱いJTBなどの大手競合に対して、「エアトリ」ブランド独自の訴求力が弱い点は弱みといえる。

KPI

2020年3月以降、旅行業は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けている。よってオンライン旅行事業の売上高はKPIとなりうる。前項で触れたITオフショア開発事業の従業員数、投資事業での投資先数、総投資額もKPIといえる。
①オンライン旅行事業売上高:2022年9月期第1四半期3,897百万円(前年同期比▲33.2%)
②ITオフショア開発事業 従業員数:2021年9月末時点175人(前期712人)
③投資事業 投資先数:2022年2月時点69社(2021年2月時点66社
④投資事業 総投資額:2022年2月時点30億円(2021年2月時点25億円)

2022年9月期 第1四半期 決算説明

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は5,533百万円から17,524百万円へ約3.2倍となった。ピークは2019年9月期の24,306百万円。営業利益も1,087百万円から3,142百万円へ2.8倍となったが、2020年9月期には▲8,994百万円の赤字決算。この赤字の要因は新型コロナウイルス感染拡大ならびに感染防止策による影響である。営業CFは2019年9月期、2020年9月期をのぞいてプラス推移、投資CFは2020年9月期以外マイナスである。

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