7198 アルヒの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

アルヒの事業概要

沿革

同社の前身であるCSMホールディングスは、2014年5月に住宅ローン事業を営むSBIモーゲージの買収目的会社として設立された。買収対象となった会社は2000年6月にソフトバンク・ファイナンスカード株式会社として設立。翌年5月に日本初のモーゲージバンクとして住宅ローン事業を開始、2012年4月にはKOSPI(韓国取引所有価証券市場)に上場した。2017年7月、買収実施後に商号をアルヒ株式会社に変更、同年12月に東京証券取引所市場第一部に上場した。

株主構成

株式保有割合の1位、2位は信託銀行の信託口で合わせて34.0%。大量保有報告書によると、アセマネ(三井住友トラストAM10.33%、ティーロウプライスジャパン9.30%、三井住友DSAM6.79%、東京海上AM6.56%、レオスキャピタルワークス5.09%)、証券会社(JPモルガン証券7.44%、SMBC日興証券5.63%)、MUFG(5.07%)が5%以上保有している模様。尚、現代表取締役の浜田宏氏は2.75%保有となっている。(2020年9月現在)

取締役会構成

同社は5名の取締役(うち社外取締役3名)で構成。代表取締役の経歴は後述の通り、他の社内取締役は副社長の吉田惠一氏で、NECやルネサス等を経てジャパンディスプレイにてCFOを歴任、その後同社へ入社している。

代表取締役の経歴

同社代表取締役の浜田宏氏は1959年5月生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、現商船三井に入社。その後コンサルに転じ、デル日本法人立ち上げや、グローバル企業の組織開発等に従事した。2008年4月からはHOYAのCOOを務めた。2015年1月同社顧問に就任した後、同年9月より代表取締役会長兼社長CEO兼COOに就任している。

報告セグメントと事業の構成

同社の事業は、住宅ローン事業の単一セグメントである。セグメント内の営業収益内訳は、融資実行業務54.3%、ファイナンス業務27.8%、債権管理回収業務12.0%、保険関連業務5.0%、その他業務0.9%となっている。(2020年3月期)

競合他社

住宅ローン専門金融機関としては、日本モーゲージサービス株式会社(直近の営業収益約71億円)。他に住宅ローンを取り扱う全国の金融機関が競合と言える。

連結の範囲

同社の広告、WEBサービスを請け負う子会社や不動産仲介等、4社の連結子会社が存在する。

事業モデル

日本初のモーゲージバンクとして、長期固定金利の「フラット35」をはじめ、変動金利や固定選択型住宅ローンの貸付、回収及びこれに付帯する各種保険の販売、他金融機関の住宅ローン取次業務等を行う。尚、フラット35の実行件数は2019年度27.5%で10年連続の1位となり、高シェアを維持している。

強みや弱み

変動費の割合が高く、また債権管理回収、保険収入等のストックビジネスによる安定収益があることが強み。また住宅ローン実行後、オフバランス化を実施するためクレジットリスク、金利リスクを負わない(アルヒで貸付をした住宅ローン債権は、原則として住宅金融支援機構や信託銀行などに債権譲渡する。その後、住宅ローン債権を裏付けとする住宅ローン担保証券、又は信託受益権が発行され投資家に販売される)。
一方で、住宅ローン市場全体の約80%を占める変動金利の商品は少なく、今後の業容拡大には、同商品のラインナップ拡大が必要と考える。

KPI

中期経営計画として住宅ローン新規実行借入件数、営業収益等を挙げている。競合が多いため、借入件数の伸長にはマーケティング戦略を通じた同社認知度向上による申込件数の増加が重要と考える。

懸念点

同社事業は住宅ローンに集中しているため、住宅ローン市場に変調が生じた際の市場全体における実行件数の低下や、金利急変動により債権流動化に支障が発生する事などが、同社業績に多大な影響を及ぼすものと考えられる。

業績の進捗

2020年3月期の営業収益は26,202百万円(2016年3月期比+9,298百万円)、税引前利益は7,315百万円(同+4,211百万円)と概ね順調に利益を確保しつつ業容拡大している。直近の2021年3月期上期は増税前駆け込み需要があった昨年比で新規借り入れ件数は減少したものの、年間融資金額は8,000億円程度で市場シェアの4%近くに到達。ストック収益の拡大から上期ベースで過去最高営業収益を達成した。