8584 ジャックスの業績について考察してみた

8584 ジャックスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1954年6月北海道にてデパート信用販売株式会社として創業。1959年7月北日本信用販売株式会社に商号変更。1973年4月札証に上場(2016年3月上場廃止)。1976年4月合併に伴い株式会社ジャックスに商号変更、同年11月に東証二部上場、1978年9月東証一部へ変更。1988年マスターカード社、1989年ビザ・ジャパン協会と提携し各カードの発行を開始。2008年3月第三者割当増資により三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)の持分法適用関連会社化、同年4月に三菱UFJニコスの個品割賦事業を譲り受け。2010年6月ベトナムの連結子会社設立を皮切りに東南アジアへ展開。国内外で消費者向け信販業を展開するリーディングカンパニー。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、三菱UFJ銀行で保有割合20.28%。日本カストディ銀行の信託口が6.44%で続き、以降は保有割合5%以下で国内銀行信託口、ジャックス共栄会、国内生保、ジャックス職員持株会、三菱UFJ信託銀行などが名を連ねる。尚、2020年10月7日受付の大量保有報告書によると、三井住友DSアセットマネジメントの保有割合が5.00%、2020年月24日受付の大量保有報告書によると、フィデリティ傘下のFMRの保有割合が6.51%になっている。また、2020年11月12日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%以上20%未満である

取締役会

取締役は11名(社内8名、社外3名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役は1名が三菱UFJ銀行出身者、残りはプロパーで構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役は3名。取締役会長(代表取締役)(CEO)の板垣康義氏は1955年2月生まれ。福島大学を卒業後、1979年6月に同社入社。執行役員として総務人事統括や経営企画統括部門等を経た後、2012年6月にCEO兼COOとして代表取締役に就任。2018年6月より現職となった取締役社長(代表取締役)(COO)の山崎徹氏は1959年6月生まれ。千葉商科大学卒業後、1982年4月に同社入社。執行役員として経営企画部門等を経た後、2018年6月に現職に就任取締役副社長(代表取締役)の菅野峰一氏は1956年8月生まれ。福岡大学卒業後、1979年4月に同社入社。執行役員として経理財務部門や情報システム部門等を経た後、2020年6月より現職に就任

報告セグメント

「国内」と「海外」の2報告セグメントに大別される。2021年3月期第3四半期の営業収益120,293百万円の構成比は、国内が88.3%、海外が11.7%だった。営業利益は国内事業で稼いでおりクレジット事業、住宅ローン保証が堅調で増益しているが、海外はコロナ禍による低迷が続き赤字となっている。

事業モデル

国内事業は4つの主力部門とその他の集金代行業務で構成され一般消費者が最終顧客となる。包括信用購入あっせんは信用調査の上クレジットカードを発行、同社が加盟店に立替払いし、カード会員より約定に基づいて回収を行う。個別信用購入あっせんは、同社が加盟店にて分割払い等を希望する顧客に対し信用調査を実施、承認した顧客に対し立替払いを行い、顧客から回収を行う。以前は営業収益にしめる一般月販の構成比が高かったが、オートローンの比率が高まっている。信用保証は債務保証を行い、投資用マンションに特化した住宅ローンやリフォームローン、オートローンなどがある。融資は主にカード会員に対して行うキャッシングサービスである。特に個別信用購入あっせんにおいては、加盟店を通じて消費者へ提案されるため、加盟店への営業力が販売につながる。
海外事業は、二輪、四輪車等のローンが主力事業でベトナム、インドネシア、カンボジアの海外現地法人にて行っている。他にベトナムではクレジットカード事業を、インドネシアでは重機等のリース業務を行っている。
国内についてはコロナ禍による生活様式の変化に伴い、パソコン、周辺機器などでクレジットが利用され好調に推移したが、その他の業種では個人消費が低迷している。海外は経済活動が縮小する中、二輪、四輪市場ともに低迷している。

競合他社

信販業界の競合として、8253クレディセゾン(2020年3月期営業収益397,112百万円)8585オリエントコーポレーション(同243,135百万円)8589アプラスフィナンシャル(同78,895百万円)、グループでカード事業を行うイオンフィナンシャル、楽天カードなどが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は8社、うち国内4社、海外4社で構成される。国内4社はそれぞれサービサー、保険代理店、リース、集金代行を行っている。海外4社はベトナム、インドネシア、カンボジア、フィリピンに拠点を置く。

強み・弱み

営業債権等の積み上げによるストック収益が営業収益の70%を占め、業績が比較的安定していることが強み。利息過払い金問題もいち早くカードキャッシングの上限金利引き下げを行っていたため、他社に比して影響は軽微だった。またMUFGグループの一員として一部業務の引き受けや信用補完を受けるなどもみられる。経済活動が縮小し会員獲得の低迷が続くと、将来的な業績の落ち込みにつながる。調達金利の上昇や、海外拠点を置く東南アジアの主力ローン事業である二輪、四輪市場動向、為替や地政学問題もリスク要因となり得る。

KPI

①在籍会員数・新規会員数(2021年第2四半期時点各705万人、21万人)
②割賦利益繰延残高(2021年第2四半期時点1,789億円)
③東南アジア新車販売台数
④為替(ベトナムドン、インドネシアルピア、カンボジアリエル、フィリピンペソ)

2021年3月期第2四半期 決算説明資料

業績

2016年3月期から2020年3月期をみると、営業収益、経常利益ともに約1.4倍となり業容拡大してきた。2021年3月期第3四半期は前年同期比で増収も、海外でのコロナ禍にかかるインドネシア、フィリピンでの貸倒引当金の増加などにより減益だった。自己資本比率は4%台で推移していたが、2020年3月期は借入金の増加などにより3.71%だった。2021年3月期第3四半期の未収債権率は0.65%(前年同期比▲0.1pt)、貸倒償却率は0.25%(同▲0.04pt)、貸倒引当率0.38%(同▲0.04pt)と債権の質も改善傾向である。資金調達は債権流動化債権流動化、社債等も活用し機動的に対応、2021年1月の社債調達も順調にこなし安定している。

2021年3月期第3四半期 決算説明資料

2021年3月期第3四半期 決算説明資料