7082 ジモティーの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

ジモティーの事業概要

当社は2011年2月、東京都渋谷区において設立された。「地域の今を可視化して、人と人の未来ををつなぐ」という経営理念のもと、地域に存在する情報を隅々までいきわたらせ、生活の中で生まれる問題を地域の人・お店同士で補いあえる仕組みを提供するため、地元情報のプラットフォーム「ジモティー」を運営する。2011年11月には「ジモティー」PCブラウザ向けのサービスを提供開始した。2012年には9月に同Android用アプリを、12月には同iOS用アプリの提供を開始した。2014年4月及び2015年2月には株式会社オプトを引受先として第三者割当増資を実施した。2019年4月には株式会社NTTドコモを引受先として第三者割当増資を実施した。そして、2020年2月に東証マザーズへの上場を果たしている。
2020年6月末時点で、当社の大株主は所有株式数の多い順に、株式会社オプトホールディングが19.98%、株式会社NTTドコモが16.88%、株式会社プロトコーポレーションが11.15%などである。代表取締役社長である加藤貴博氏は2.58%を所有する第7位大株主である。加藤貴博氏は早稲田大学政治経済学部を卒業し、2001年4月にリクルートに入社した。その後2011年10月に当社に入社し代表取締役社長に就任した。
当社はクラシファイドサイト運営事業の単一セグメントである。クラシファイドサイトとは、地域や目的によって分類された募集広告を、一覧形式で掲載する広告媒体の一つであり、一般的に掲載料が無料で、個人・法人を問わずユーザーとして利用でき、だれでも手軽に広告掲載ができる点が特徴である。海外では米国のCraigslistや中国の58.comなどが同様のビジネスモデルを採用している。

クラシファイドサイト運営事業

クラシファイドサイト運営事業では主に「ジモティー」内の広告枠の提供による売上を計上しており、具体的には「自動配信売上」と「マーケティング支援売上」の二種類に分けられる。「自動配信売上」とは、「ジモティー」内の広告枠に表示されるアドネットワーク広告の売上であり、広告がクリックされた回数や表示された回数等に応じて売上を計上する。「マーケティング支援売上」は、投稿を目立たせるオプション機能を販売する「機能課金」と、提携先の外部サイトでの資料請求や契約等のアクションの発生件数に応じて計上される「成果報酬」の二種類で構成される。なおユーザーの入会及び利用時の手数料は無料である。
「ジモティー」の特徴は、第一に日本全国網羅された地域と、幅広く細分化されたカテゴリである。「ジモティー」では、地域の情報が投稿として豊富に掲載されている。また、地域の情報が全国47都道府県の市区町村に区分され、目的に応じたカテゴリに分類して掲載されているため、ユーザーの求める地域の情報が見つけやすくなっている。大カテゴリの一覧は、「売ります・あげます」「助け合い」「メンバー募集」「不動産」「中古車」「正社員」「里親募集」「教室・スクール」など、単なる物品の売買・譲渡に限らず趣味やサービス、求人など様々なマッチングニーズをカバーする。
第二に、地元であることを前提にオフラインで直接取引を行う点である。「ジモティー」がオンラインで提供する機能は主に投稿及び問い合わせである。投稿に対しての問い合わせ後は、チャット機能で簡単にユーザー間で取引のやり取りをすることが可能である。チャットでのやり取りで取引の場所や時間を決定した後は、ユーザー同士が直接会って取引をする仕組みを採用している。なお、これまでの現金手渡しに加えて、今年7月にはネット決済(サービス名はあんしん決済機能)が導入された。大物の家具家電や乗り物など単価が高めの商材を中心に利用が伸びており、新たな収益源として会社は今後の収益拡大を見込んでいる。決済手数料として出品金額の5%を徴収する。
第三に、「ジモティー」を利用するユーザーの特徴として、40代以上の子供のいる女性が多く利用している点がある。具体的には、年代別では40代以上で全体の70%以上を、男女別では女性の利用が59%と半分以上を占める。サービスのUI/UXをインターネットサービスを使い慣れていないユーザーでも使いやすいように極めて簡素に設計している点も、中高年ユーザー層の拡大に寄与しているとみられる。

ジモティーの財務状況と経営指標

20年1~9月期の売上高は前年同期比8.5%増収の10.2億円、営業利益は同91.0%増益の2.9億円となった。売上の約8割を占める自動配信売上は、広告需要の低下により広告単価であるeCPMが同19%減となった一方、PV数は同31%増と引き続き高い成長率を維持した結果、同6%増収の8.1億円となった。また、マーケティング支援売上は成果報酬(PV数に連動)が牽引し同24%増収の2.0億円となった。利益面では増収効果に加えて、広告宣伝費を中心に販管費を0.6億円削減したことも高い営業増益率に寄与した。9末時点の自己資本比率は88.5%、現預金は12.3億円(ほぼ年商に相当)と、財務及び手元流動性は健全である。20.12期通期の会社計画は、売上高が同13.5%増収の14.3億円、営業利益が同3.5倍の3.1億円である。
前期までの長期業績の推移は、15.12期から順に売上高は1.2億円→3.4億円→6.6億円→9.8億円→12.6億円と、近年は毎年約2~3億円ずつ増収させてきた。増収の原動力は、ユーザー数の継続的な増加によるPV数・新規投稿数の増加と、自動配信売上を中心としたマネタイズの進展である。また経常利益は同▲3.3億円→▲6.9億円→▲3.8億円→0.1億円→0.7億円と、18.12期に黒字化を果たしている。
会社は今後の戦略として、当社サービスを流れる商材量を増やす施策と、流れの阻害要因を除く施策の二つに注力することでリユース品の取り扱いを増加させるとしている。具体的には、流れる商材量を増やす施策では①粗大ゴミ収集チャネルを押さえている各地方自治体との連携強化や②新品販売時に不用品を引き取る小売事業者との連携強化を、また流れの阻害要因を取り除く施策では、①決済を安心で簡便にするネット決済の導入や②配送に関する利用者負担を軽減する配送スキームの導入、を行っている。

ジモティーのカタリスト

当社のカタリストとして、新たに導入されたオンライン決済・配送代行両サービスの収益寄与開始による成長加速が挙げられる。現在当社は売上の約8割を広告収入で上げているが、メルカリなど類似のC2Cマーケットプレイスが主に採用する決済手数料のビジネスモデル(GMVに連動)を取り入れることにより、ジモティーが本来秘めるプラットフォーム価値が具現化される可能性があると考えている。21年2月の本決算では21.12期会社計画が公表されるとみられ、10~12月期までの進捗が確認されると共に来期以降の更なる成長見通しが注目されよう。なお11月末時点で、当社の株価は2月の上場時初値(2,300円)を上回って推移している。

平賀 洋輔 ひらが ようすけ

株式会社AccuWealth 代表取締役

1987年、東京生まれ。筑波大駒場高校、慶應義塾大学経済学部卒業。

ふと目にした日経ヴェリタス紙をきっかけにアナリスト職を志し、新卒にて野村證券に入社、エクイティ・リサーチ部に配属。インターネット・半導体業界などの企業調査に従事する。

その後、PE投資を行う野村キャピタル・パートナーズにて未上場企業の案件ソーシングや投資判断、提案、執行などを担当。国内HR SaaS系企業へのグロースキャピタル投資をリードする。

2020年には金融リサーチ業務を行うデータカンパニーであるAccuWealthを設立。
中小型の銘柄選別や、テクニカル・需給も織り交ぜたトレード戦略が得意。