7074 トゥエンティーフォーセブンの業績について考察してみた

7074 トゥエンティーフォーセブンの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

トゥエンティーフォーセブンの事業概要

同社は2007年12月に埼玉県羽生市にて株式会社ヘルスアップとして設立され、2008年5月に東京都千代田区岩本町に移転し、2012年10月にパーソナルトレーニングジム事業「24/7Workout」を開始した。2015年11月に商号を株式会社トゥエンティフォーセブンに変更、2017年4月にパーソナル英会話スクール事業「24/7English」を開始し、2019年11月に東証マザーズに上場を果たした。
また、筆頭株主は同社代表取締役の小島氏で69.9%の株式を保有している。第2位の株主は元取締役CFO楢木氏と執行役員の萩原氏でそれぞれ2.2%の株式を保有している。株主構成の特徴としては、小島氏が議決権総数の2/3以上を保有していることが挙げられる。
また、同社の主力事業はパーソナルトレーニングジム事業であるが、同事業内にパーソナル英会話スクール事業も営んでいる。報告セグメントとしてはパーソナルトレーニング事業の単一セグメントである。ジムと英会話スクールの業績の比率等は開示されていないが、店舗数に約7倍の差があること(ジム69店舗、英会話スクール10教室)や小島氏の方針を考慮すると、ジムの売上高が売上高全体の大半を占めると考えて問題ないだろう。
競合としてはRIZAPグループ(2928) が挙げられ、2020年10月8日時点の時価総額は81,764百万円である。トゥエンティーフォーセブンの時価総額は6,854百万円であり、RIZAPグループの約1/12の数値である。
同社は店舗型サービスを展開しているため、新型コロナが業績に与える影響は極めて大きいと考えられる。政府の「緊急事態宣言」の発出や各都道府県の「施設の休業要請」を受け、2020年4月8日以降は店舗の臨時休業を順次行っていた。当該要請解除に伴い、2020年6月2日には直営全店舗の営業を再開し、2020年7月14日時点でフランチャイズ店舗含めて全店舗の営業を再開している。

「24/7Workout」

同社は完全個室・オーダーメイドのパーソナルトレーニングを実施する「24/7Workout」を主力サービスとして提供している。事業理念として「全人類を人生史上最高の身体に導く」を掲げ、ダイエットとボディメイクに特化したジムを展開している。
特長として3食食べることや短期プログラムであることが挙げられ、「意外と簡単にボディメイクできる」と宣伝している。お薦めは2ヶ月コースであり、料金は234,000円(税抜)と高額である。単にスポーツジムに通うだけであれば月額1万円を切ることが多く、同サービスは「理想の体型の実現方法の提供」に対して報酬を得るビジネスといえる。競合RIZAPの2ヶ月プログラムは348,000円(税別)であり、「24/7Workout」に比べて約114,000円高い料金である。また、「24/7Workout」では「全額返金制度」を設けており、初回トレーニングから起算して30日以内であれば、利用者は返金請求をすることができる。
同サービスの店舗数は、2017年11月末時点で47店舗であったものの、2019年11月末までに69店舗まで拡大した。同社は2019年11月に上場したことで1,562百万円を調達し、同サービスの店舗拡大を目指していたが、新型コロナの影響を大きく受けて、2020年10月7日時点で69店舗のままである。
また、同社は新型コロナ対策として、管理栄養士や外部のフードコーディネーターの監修のもと、健康的に痩せることを目的とした低糖質食品通販事業を立ち上げ、E Cサイト「24/7DELI&SWEETS」を開始した。新型コロナで外出せず体重が増加する「コロナ太り」解消ニーズに合わせて、低糖質であるが美味しいデリ、スイーツ、パン、おにぎりを販売している。これは在宅勤務の日常化が進行した際には重要なサービスになる可能性があるが、現時点での業績への影響は限定的である。

トゥエンティーフォーセブンの財務状況と経営指標

現金及び預金は上場時まで増加を続けており、2018年11月末時点で1,958百万円、2019年11月末時点で3,332百万円であった。しかし、2020年11月期第一四半期(2020年2月末時点)は2,983百万円、第二四半期(2020年5月末時点)は2,189百万円と激減している。また、同社のキャッシュ・フロー(以下、CFと表記)は2017年11月期分より開示されているが、営業CFは約400百万円〜1,400百万円のプラス、投資CFは約300百万円〜600百万円のマイナス、フリー・キャッシュフロー(営業CF-投資CF)は約200百万円のマイナス〜1,100百万円のプラス、財務CFは2019年11月期のみ1,552百万円のプラスとなっている。一方で2020年11月期第二四半期累計期間の営業CFは876百万円のマイナス、投資CFは267百万円のマイナスである。以上のことから、本業が好調で投資も積極的に行っており、IPOによって資金調達をしてさらに規模拡大を図ろうとした矢先に、売上高の伸び悩みと新型コロナの影響で調達した資金の半分以上を流出させたことが読み取れる。
2020年11月期第二四半期の同社の流動比率(流動資産÷流動負債×100)は180.9%であり、233.5%であった2019年11月末から悪化しており、高い安全性の目安となる200%を下回った。一方で2020年11月期第二四半期の同社の貸借対照表の負債の部には短期借入金が存在せず、流動負債1,396百万円のうち最も大きい項目は前受金861百万円である。当該前受金はトレーニングセッション・レッスン料金であり、支払いとサービス提供の時間差に起因する勘定である。ジムや英会話スクール代金の支払いを受けても、借方に現金、貸方に前受金を一旦計上し、サービス提供又は時の経過に応じて前受金の取り崩しと収益計上を行うために、前受金が大きくなっていると考えられる。以上を踏まえると、同社は基本的に資金繰りが良好な会社であり、財務安全性は高いといえる。しかし、新型コロナの感染拡大によって再び「緊急事態宣言」や「施設の休業要請」が発令され、2ヶ月以上の休業を迫られるようなことがあれば、必ずしも安全性が高いとはいえないだろう。
また、同社のコスト構造を分析するために、2015年11月期以降の売上高と売上原価・販管費の関係を分析したグラフ(同社の有価証券報告書をもとにPERAGARU管理人が作成)は下記のようになる。

7つの点が存在するが、点線より上側の点は左から2020年11月期第二四半期と第一四半期であり、点線より下の点は左から2015年11月〜2019年11月の各期末の費用を示している。これを見ると、上場した2019年の11月頃を境に、費用の増加に対して売上高が追いかなくなったと読み取れる。
ここで、同社の変動費と固定費を分析する。同社の2018年11月期、2019年11月期の損益計算書と売上原価明細書、有価証券報告書の注記事項等を参照すると、労務費・地代家賃・広告宣伝費が同社の総コストの大半を占めることが読み取れる。当該科目のうち、労務費と地代家賃は売上原価として計上され、広告宣伝費は販管費として計上されている。売上原価のうち労務費が62%、地代家賃と減価償却費が19%、その他の科目が19%という構成であり、売上原価の81%が固定費であると推測できる。また、販管費のうち広告宣伝費等の変動費が57%、残り43%が固定費であると推測できる。以上の割合を踏まえて2020年11月期第二四半期の業績を分析すると(本来売上原価・販管費として計上されるべき固定費を、新型コロナによる臨時休業を理由に特別損失に計上しているため、当該固定費分を営業利益から減算調整)、変動費が992百万円、固定費が454百万円と推測できる。

トゥエンティーフォーセブンのカタリスト

同社は2019年11月21に公開価格3,420円を11%上回る3,800円の初値で上場し、10営業日で6,090円まで上昇した。しかし12月20日に業績予想を下方修正し、23日と24日に2日連続ストップ安を記録、2020年1月末には公開価格の半分に当たる1,710円を下回った。すなわち、現在の株価低迷の最大要因は新型コロナではなく同社への不信感であるといえる。金融商品取引法で上場企業の企業情報開示について規制されてはいるものの、経営者と投資家間の情報の非対称性を完全に解消することはなかなか難しく、それを逆手に取るようにも思える同社の業績下方修正は「上場詐欺」や「上場ゴール」と非難されることもある。類似の事例として、2014年12月18日に上場後、2ヶ月半で営業利益を赤字に下方修正したgumiが投資家から信頼を失い、2016年2月12日の株価は427円と、公開価格3,300円の1/7を下回るほど低迷した過去が挙げられる。gumiの株価は明らかに好業績が見込める時期でも公開価格の1/2程度までの回復に留まることから、一度損なった投資家の信頼を取り戻すのは非常に難しいことが読み取れる。例えば、売上原価明細書の経費のうち2番目に大きい項目を「その他200百万円」と記載している箇所をより詳細に開示することや、、決算説明資料を充実させる、業績予想と実績の乖離を小さくする等の積み重ねが、同社の株価のカタリストになるといえるだろう。