3021 パシフィックネットの業績について考察してみた

3021 パシフィックネットの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1988年7月パソコン及びその周辺機器の販売及びレンタルを目的として、東京都に前身である「株式会社パシフィックレンタル」を設立。1997年4月「株式会社パシフィックネット」に社名変更。2006年2月東証マザーズに上場。2016年10月東証二部に市場変更。2021年4月東証の所属業種を「小売業」から「サービス業」へ変更。PCレンタルやサポートを提供するITサブスクリプション事業を中心に展開している

株主構成

有価証券報告書によると2021年5月末時点の筆頭株主は、代表取締役社長及び親族の資産管理会社である株式会社リッチモンドが39.89%を保有。次いで、MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)が7.37%、代表取締役社長の上田満弘氏が7.25%、同氏の親族である上田トモ子氏、上田雄太氏、上田修平氏がそれぞれ5.95%を保有している。そのほか、国内外の信託銀行や証券会社が並ぶ。

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役5名は、住友生命保険相互会社や本田技研工業株式会社、株式会社スタンバイ、株式会社ルネサスイーストンなどの出身者。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の上田満弘氏は1952年2月生まれ。関西大学大学院を修了後、殖産住宅相互株式会社に入社。その後、キャットジャパンリミテッド株式会社や株式会社パシフィックコンピュータバンクを経て、1988年7月に同社を設立し、現職へ就任。株式会社テクノアライアンスの取締役も兼任している。

報告セグメント

「ITサブスクリプション事業」、「ITAD事業」、「コミュニケーション・デバイス事業」の3報告セグメント及び報告セグメントに含まれない「その他」に大別される。2022年5月期第1四半期の売上高1,228百万円の構成比は、ITサブスクリプション事業63.9%、ITAD事業35.4%、コミュニケーション・デバイス事業0.6%、その他0.1%である。セグメント利益(又は損失)は、ITサブスクリプション事業105百万円、ITAD事業136百万円、コミュニケーション・デバイス事業▲22百万円であり、調整額を差し引いた営業利益は100百万円であった。

事業モデル

「ITサブスクリプション事業」は、法人・官公庁が業務で使用する情報機器のレンタル(サブスクリプション)、IT環境の運用保守・クラウド等のITサービスを提供している。サブスクリプション型サービスが大部分を占める。同事業の市場環境については、国内法人の投資回復が見込まれているものの、世界的な半導体不足の影響やコロナ禍収束時期等が見通せない状況から、日本の出荷台数の予測は難しい状況にある。しかし2022年以降は、半導体不足の収束傾向、2017年頃からWindows 10 対応で導入された多くのPCの更新需要や、Windows 11 への対応から、出荷台数が再拡大することが見込まれている。また、ニューノーマルに対応したモバイルPCのニーズの高まりや、Windows 11への切替えが同社PCレンタルの事業機会の拡大になると想定している。
「ITAD(IT Asset Disposition)事業」は、使用済み情報機器のセキュアな回収、データ消去、適正処理サービスを提供している。適正処理サービスについては、高価値品はテクニカルセンターで製品化し、リユース品として販売。再利用困難な機器については分解して素材化し、同社の監査基準を満たすリサイクル業者へ販売し、廃棄物削減と適正処理を推進している。同事業の回収・データ消去市場については、コロナ禍の影響、GIGAスクール需要を除いた法人向け新品PC出荷台数の減少により、使用済み情報機器の排出台数が減少している。一方、データ消去は、企業の情報漏えい対策への取り組み強化を背景に、引き続き需要の拡大が予想されている。また、データレスPCにおいても、ファームウェアやアプリケーション等何らかのデータが残存しているケースがあるため、同社のデータ消去サービスのニーズは高く、今後もこの傾向は続くと想定している。
「コミュニケーション・デバイス事業」は、観光業界を中心にイヤホンガイドⓇの製造販売・保守サービスを展開している。同事業のガイドレシーバー市場については、ガイドレシーバーの主な顧客は観光業界のため、コロナ禍により今もなお甚大な影響を受けている。コロナ禍が収束段階となれば、需要は反転すると想定している。

競合他社

3020アプライド(直近決算期売上高396億円)、3375 ZOA(直近決算期売上高95億円)、7618ピーシーデポコーポレーション(直近決算期売上高383億円)など、PC販売等を営む企業が競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社2社により構成され、ITサブスクリプション事業、ITAD事業、コミュニケーション・デバイス事業を展開している。

強み・弱み

創業以来培ってきた実績とノウハウが強み。ITサービスをサブスクリプションモデルで展開している点も同社の強みである。顧客から回収した使用済み情報機器には機密情報や個人情報が含まれており、情報セキュリティリスクが存在する。また、IT技術の急激な革新・進化により、同社サービスの優位性が低下することが懸念される。

KPI

ストック収益比率が上昇傾向にあり、今後も高めていく方針のため、下記項目をKPIとして挙げる。主戦略としてITサブスクリプション事業の成長に同社は期待している模様。2022年5月期第1四半期の実績は下記。
・ストック収益及びフロー収益の売上高推移 ストック収益比率約64%
・ITサブスクリプション事業の売上高推移 786百万円

2022年5月期第1四半期 決算説明資料

業績

2017年5月期から2021年5月期までの5期をみると、売上高は4,643百万円から5,224百万円、経常利益は29百万円から763百万円と着実に業績を伸ばしている。フロー収益中心からストック中心の収益・事業構造への転換が功を奏したとみられる。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。2022年5月期第1四半期の自己資本比率は45.8%。