3021 パシフィックネットの業績について考察してみた

3021 パシフィックネットの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2022.Q3 2022.02 1,399 76 5.43%
FY2022.Q4 2022.05 1,512 80 5.29%
FY2023.Q1 2022.08 1,554 64 4.12%
FY2023.Q2 2022.11 1,594 101 6.34%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q3 2017.02 1,138 39 3.43%
FY2017.Q4 2017.05 1,254 42 3.35%
FY2018.Q1 2017.08 1,112 8 0.72%
FY2018.Q2 2017.11 1,075 56 5.21%
FY2018.Q3 2018.02 1,107 67 6.05%
FY2018.Q4 2018.05 1,137 107 9.41%
FY2019.Q1 2018.08 940 39 4.15%
FY2019.Q2 2018.11 1,013 78 7.7%
FY2019.Q3 2019.02 1,013 65 6.42%
FY2019.Q4 2019.05 1,211 128 10.57%
FY2020.Q1 2019.08 1,139 129 11.33%
FY2020.Q2 2019.11 1,056 77 7.29%
FY2020.Q3 2020.02 1,195 120 10.04%
FY2020.Q4 2020.05 1,176 87 7.4%
FY2021.Q1 2020.08 1,165 150 12.88%
FY2021.Q2 2020.11 1,310 206 15.73%
FY2021.Q3 2021.02 1,278 211 16.51%
FY2021.Q4 2021.05 1,471 200 13.6%
FY2022.Q1 2021.08 1,228 100 8.14%
FY2022.Q2 2021.11 1,368 86 6.29%
FY2022.Q3 2022.02 1,399 76 5.43%
FY2022.Q4 2022.05 1,512 80 5.29%
FY2023.Q1 2022.08 1,554 64 4.12%
FY2023.Q2 2022.11 1,594 101 6.34%

沿革

1988年7月パソコン及びその周辺機器の販売及びレンタルを目的として、東京都に前身である「株式会社パシフィックレンタル」を設立。1997年4月「株式会社パシフィックネット」に社名変更。2006年2月東証マザーズに上場。2016年10月東証二部に市場変更。2021年4月東証の所属業種を「小売業」から「サービス業」へ変更。PCレンタルやサポートを提供するITサブスクリプション事業を中心に展開している。

株主構成

有価証券報告書によると2021年11月末時点の筆頭株主は、代表取締役社長及び親族の資産管理会社である株式会社リッチモンドが39.51%を保有。次いで、代表取締役社長の上田満弘氏が8.06%、同氏の親族である上田雄太氏が5.92%、上田トモ子氏、上田修平氏がそれぞれ5.89%、MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)が4.49%を保有。そのほか、国内外の信託銀行や証券会社が並ぶ。

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役5名は、住友生命保険相互会社や本田技研工業株式会社、株式会社スタンバイ、株式会社ルネサスイーストンなどの出身者。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の上田満弘氏は1952年2月生まれ。関西大学大学院を修了後、殖産住宅相互株式会社に入社。その後、キャットジャパンリミテッド株式会社や株式会社パシフィックコンピュータバンクを経て、1988年7月に同社を設立し、現職へ就任。株式会社テクノアライアンスの取締役も兼任している。

報告セグメント

「ITサブスクリプション事業」、「ITAD事業」、「コミュニケーション・デバイス事業」の3報告セグメント及び報告セグメントに含まれない「その他」に大別される。2022年5月期第3四半期の売上高3,995百万円の構成比は、ITサブスクリプション事業63.2%、ITAD事業35.3%、コミュニケーション・デバイス事業1.4%、その他0.1%である。セグメント利益(又は損失)は、ITサブスクリプション事業303百万円、ITAD事業397百万円、コミュニケーション・デバイス事業▲51百万円、その他▲11百万円であり、調整額を差し引いた営業利益は262百万円であった。

事業モデル

「ITサブスクリプション事業」は、法人・官公庁が業務で使用する情報機器のレンタル(サブスクリプション)、IT環境の運用保守・クラウド等のITサービスを提供している。サブスクリプション型サービスが大部分を占める。同事業の市場環境については、国内法人の投資回復が見込まれているものの、世界的な半導体不足の影響やコロナ禍収束時期等が見通せない状況から、日本の出荷台数の予測は難しい状況にある。しかし、DX推進やセキュリティ脅威等で情報システム部門の業務は増加の一途であり、業務負荷の高い自社でのPC等の導入・管理が必要な購入・リースから、業務負荷の軽減が可能なサブスクリプションへの切り替えが着実に増加している。2022年からPC更新拡大期に入ると、情報システム部門の業務負荷はさらに拡大し、サブスクリプションの採用が進む可能性が高いと想定している。。また、ニューノーマルに対応したモバイルPCのニーズの高まりや、Windows 11への切替えが同社PCレンタルの事業機会の拡大につながると想定している。
「ITAD(IT Asset Disposition)事業」は、使用済み情報機器のセキュアな回収、データ消去、適正処理サービスを提供している。適正処理サービスについては、高価値品はテクニカルセンターで製品化し、リユース品として販売。再利用困難な機器については分解して素材化し、同社の監査基準を満たすリサイクル業者へ販売し、廃棄物削減と適正処理を推進している。同事業の回収・データ消去市場については、コロナ禍の影響、GIGAスクール需要を除いた法人向け新品PC出荷台数の減少により、使用済み情報機器の排出台数が減少している。一方、データ消去は、企業の情報漏えい対策への取り組み強化を背景に、引き続き需要の拡大が予想されている。また、データレスPCにおいても、ファームウェアやアプリケーション等何らかのデータが残存しているケースがあるため、同社のデータ消去サービスのニーズは高く、今後もこの傾向は続くと想定している。
「コミュニケーション・デバイス事業」は、観光業界を中心にイヤホンガイドⓇの製造販売・保守サービスを展開している。同事業のガイドレシーバー市場については、ガイドレシーバーの主な顧客は観光業界のため、コロナ禍により今もなお甚大な影響を受けている。コロナ禍が収束段階となれば、需要は反転すると想定している。

競合他社

3020アプライド(直近決算期売上高396億円)、3375 ZOA(直近決算期売上高95億円)、7618ピーシーデポコーポレーション(直近決算期売上高383億円)など、PC販売等を営む企業が競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社2社により構成され、ITサブスクリプション事業、ITAD事業、コミュニケーション・デバイス事業を展開する。

強み・弱み

創業以来培ってきた実績とノウハウが強み。ITサービスをサブスクリプションモデルで展開している点も同社の強みである。顧客から回収した使用済み情報機器には機密情報や個人情報が含まれており、情報セキュリティリスクが存在する。また、IT技術の急激な革新・進化により、同社サービスの優位性が低下することが懸念される。

KPI

主戦略としてITサブスクリプション事業への成長投資を拡大しているため、同事業の売上高推移 がKPIとみられる。

2022年5月期第3四半期 決算説明資料

業績

2017年5月期から2021年5月期までの5期をみると、売上高は4,643百万円から5,224百万円、経常利益は29百万円から763百万円と着実に業績を伸ばしている。フロー収益中心からストック中心の収益・事業構造への転換が功を奏したとみられる。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。2022年5月期第3四半期の自己資本比率は40.5%。

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