4350 メディカルシステムネットワークの業績について考察してみた

4350 メディカルシステムネットワークの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1999年9月に医療機関の業務合理化ならびに医薬品流通の効率化を目的として、札幌市に株式会社メディカルシステムネットワーク設立、同年11月には「医薬品情報システム」が完成し医薬品システム関連業務を開始。2000年4月、医薬品ネットワークシステム「O/E system」が完成し稼動開始。2016年5月、子会社の株式会社ファーマホールディングが株式会社ひまわり看護ステーションの株式を100%取得、訪問看護事業へ進出
2002年3月、大証ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ)上場。2008年9月に東証二部上場、2010年6月には同一部へ市場変更。医薬品ネットワーク運営、「なの花薬局」チェーンを中心とする調剤薬局経営、訪問看護及び関連事業を展開する。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年9月末時点での筆頭株主は、QUINTET PRIVATE BANK (EUROPE) S. A. 107704で9.23%保有。続いて、合同会社エスアンドエスが9.05%、元代表取締役会長と見られる沖中恭幸氏が8.19%、代表取締役副社長の秋野治郎氏が7.26%保有。以下は5%未満の保有率で、国内の金融機関、従業員持株会、代表取締役社長の田尻稲雄氏ほか個人などが続く。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は12名(社内9名、社外3名)、監査役は3名(うち1名は常勤で社内、社外2名は常勤と非常勤)、監査役会設置会社である。プロパーの取締役はなし。代表権を持たない社内取締役は、株式会社みずほフィナンシャルグループ関連企業出身者3名ほか、医療機器メーカー、厚生労働省OBなどで構成。社外取締役には、北海道旅客鉄道株式会社元会長、日本政策投資銀行元理事、聖路加看護大学元学長が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役は3名。代表取締役社長の田尻稲雄氏は1948年5月生まれ。小樽商科大学卒業後、1974年3月に一の山形薬業株式会社入社。1981年1月、メディカル山形薬品株式会社入社。1999年9月に同社設立、代表取締役社長に就任(現任)
代表取締役副社長の秋野治郎氏は1948年5月生まれ。北里大学卒業後、1971年3月に一の山形薬業株式会社入社。1983年1月、有限会社一の秋野設立。1999年9月に同社設立、代表取締役専務就任。2015年6月より現職
代表取締役副社長の田中義寛氏は1969年12月生まれ。1992年4月、株式会社日本興業銀行入行。2006年6月に同社入社、常務取締役、専務取締役などを経て2021年6月より現職

報告セグメント

「地域薬局ネットワーク事業」、「賃貸・設備関連事業」、「給食事業」、「その他事業」の4セグメントで構成される。2021年3月期の外部顧客への売上高104,257百万円の構成比は、地域薬局ネットワーク事業95.2%、賃貸・設備関連事業2.2%、給食事業2.4%、その他事業0.2%であった。また、同期の調整前セグメント利益5,683百万円の内訳は、地域薬局ネットワーク事業5,703百万円、賃貸・設備関連事業32百万円、給食事業▲21百万円、その他事業▲31百万円となった。売上高、セグメント利益の両面で地域薬局ネットワーク事業が主力となる。また、売上は全て国内市場向けである。

事業モデル

主力の地域薬局ネットワーク事業は、さらに「医薬品ネットワーク部門」、「調剤薬局部門」、「医薬品製造販売部門」、「デジタルシフト部門」の4部門に分類される。医薬品ネットワーク部門は、調剤薬局、病院・医院と医薬品卸業間の医薬品売買を仲介することにより、医薬品流通過程の効率化と調剤薬局への総合的な経営支援サービスを提供する。具体的には、医薬費卸会社との価格交渉や決済代行、在庫管理システムの提案、不動品消化サービスなどを行う。調剤薬局部門は同社グループ主力部門であり、連結子会社9社が「なの花薬局」及び「さくら薬局」など総数400店以上の調剤薬局を展開する。
これ以外の事業としては、賃貸・設備関連事業(主に高齢者向け住宅)、給食事業、その他事業(主に訪問看護)を運営する。また、事業間や部門間で情報、ノウハウ、製品等の共有を図り、効率アップへ向けたシナジー効果を発揮している。

公式ウェブサイト内「メディカルシステムネットワークについて」>「早わかりMSNWグループのサービス」

2021年3月期業績説明資料 p.28

競合他社

3141 ウエルシアホールディングス(株)(売上高949,652百万円)、7649 スギホールディングス(株)(売上高602,510百万円)、9627 (株)アインホールディングス(売上高297,305百万円)、3341 日本調剤(株)(売上高278,951百万円)、3034 クオールホールディングス(株)(売上高161,832百万円)など、調剤薬局大手が競合する。

連結の範囲

同社グループは、同社及び子会社16社(うち連結子会社15社)、関連会社1社で構成される。連結子会社のうち、なの花薬局を運営する株式会社なの花北海道、株式会社なの花東日本、株式会社なの花西日本、及びさくら薬局を運営する株式会社トータル・メディカルサービスの売上高の、連結売上高に占める割合は10%を超える。各社の割合は、順に27.6%、20.0%、22.4%、11.5%である。

強み・弱み

調剤薬局チェーンに医薬品ネットワークを連携させる事業形態はユニークであり、経営の効率化を期待できる点は強み。M&Aによる調剤薬局店の吸収合併がによるところが大きいものの、調剤薬局店舗数が過去10年間で倍増するなど、業容が拡大傾向で、調剤薬局大手チェーンの一角に食い込んでいる点は強み。一方、調剤薬局業界は競争が激しく、薬価制度や医療制度そのものの改定の影響を受ける中で、社会インフラとして求められる対応にコストがかかることは構造的なリスク。また、同社の場合も3期連続で退店数が出店数を上回るなど情勢は厳しい。

KPI

店舗数が主要なKPIとみなせる。
・調剤薬局店舗数(2021年6月末時点)
417店(同年3月末比+1店)

2022年3月期第1四半期Data Book p.5

業績

順調に売上を拡大し、2020年3月期には上場来最高を記録。2021年3月期は若干の減収であったものの増益で、売上高104,257百万円(前期比▲0.9%)、営業利益3,429百万円(前期比+112.3%)、経常利益3,479百万円(前期比123.0%)であった。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。2022年3月期第2四半期の自己資本比率は20.0%。