4992 北興化学工業の業績について考察してみた

4992 北興化学工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1950年2月旧野村財閥系の野村鉱業株式会社製薬部より分離し、農薬の製造販売を目的に北興化学株式会社を東京都に設立。1953年11月北興化学工業株式会社に商号変更。1961年10月東証二部上場。1972年1月ファインケミカル部を設置。1987年5月東証一部に変更JAとの取引が厚い農薬大手メーカー、非農薬分野も展開する

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株主構成

有価証券報告書によると2021年5月末時点の筆頭株主は、旧野村財閥系の野村殖産株式会社で保有割合7.77%。4005 住友化学が7.27%、日本カストディ銀行信託口が5.13%、日本マスタートラスト信託銀行信託口が5.06%で続き、以降は保有割合5%未満でりそな銀行、BNPパリバ証券、8604野村ホールディングス、全国農業協同組合連合会(JA全農)が名を連ねる。尚、5%ルール報告書によると、三井住友DSアセットマネジメントと共同保有者の持分が9.65%とされている。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は8名(社内4名、社外4名)、監査役は4名 (社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役のうち1名はりそな銀行出身者、残りはプロパーとみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の佐野健一氏は1957年8月生まれ。中央大学卒業後、同社に入社。企画、総務系の要職を経験後、2016年2月取締役に就任。2019年12月より現職を務める

報告セグメント

農薬事業、ファインケミカル事業および繊維資材事業の3報告セグメントと、石油製品等の販売等を含むその他に大別される。2021年11月期第3四半期売上高33,236百万円の構成比は、農薬事業64.4%、ファインケミカル事業32.2%、繊維資材事業3.3%、その他0.1%以下だった。全社費用除く営業利益構成は農薬事業17.8%、ファインケミカル事業80.8%、繊維資材事業1.4%、残りがその他。

事業モデル

農薬事業では水稲用や園芸用の殺虫剤、殺菌剤、除草剤等の製造販売をしている。構成は水稲剤が2/3、園芸剤が1/3。全国農協協同組合連合会を通じて、全国のJAに製品を供給している。

HOKKOレポート2021
アジアを中心に輸出も展開しており、2017年には米国に子会社を設立し、北中米のマーケティングを強化している。海外への販売割合は年々増加、2020年11月期はセグメント売上の9.5%を占めた
ファインケミカル事業では、固有技術で付加価値を高めた化学製品を製造販売している。取引相手は化学メーカーとなる。同社製品の主要用途は、樹脂、医療・農薬、電子材料などである。用途別の売上高は下図の通り。自社製品とともに、顧客ニーズに対応した受託製造も行う。主要取引先は4063信越化学工業。2020年11月期の海外売上高比率は21.6%だった。
2021年11月期第3四半期決算補足説明資料

世界的な人口増加や新興国の経済発展に伴う食糧需要などから、海外の農薬市場は長期的に拡大傾向にある。一方、国内では農業従事者の高齢化や後継者不足による耕作放棄地の増加などの影響により、市場縮小が進んでいる。

競合他社

農薬事業の競合は4997日本農薬(2021年3月期売上高71,525百万円)、4996クミアイ化学工業(2021年10月期売上高107,280百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社5社をもつ。農薬原材料の一部を製造する美瑛白土工業株式会社、国内販売の一部を担う北興産業株式会社、ファインケミカル事業で製造および中国での販売を一部担う張家港北興化工有限公司などで構成される。

強み・弱み

農薬事業では世界的な食糧増産と新興国の購買力増大により農薬市場が拡大していることや、ファインケミカル事業ではファブレス化の進展により受託が増加していることなどが強み。一方で国内では農業従事者現象により耕作地が減少していることや、ジェネリック農薬や新興国メーカーの台頭などがリスク要因と考えられる。なお、主力事業である農薬事業の収益性が2020年11月期は赤字、直近期は約2%と低い点も課題

KPI

①世界、国内の農地面積、農業従事者数
②ファインケミカル事業における最終製品の市場動向(テレビ、PC、医薬品等)
③為替レート(中国元、米ドル等)

業績

売上高は40,000百万円前後、営業利益率は2015年1月期以降5%台後半~7%台で推移し、2017年11月期にファインケミカル事業の高利益品目の販売増を主因に同期間中の最高益を記録した。フリーCFは毎期プラス。2020年11月期の自己資本比率は62.9%。長期的に上昇傾向にある