4617 中国塗料の業績について考察してみた

4617 中国塗料の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1917年5月、広島市において中国化学工業合資会社創業、船底塗料の製造を開始。1923年5月には中国塗料株式会社に改組。1973年10月、現地法人設立により香港へ進出。以降、シンガポール、英国、米国、中国等、世界各国へ進出。1949年7月、広島証券取引所に上場。1961年10月に東証上場、1984年9月には同一部へ変更。船底塗料を中心に各種産業用塗料及び塗装関連装置類の製造・販売、工事の請負ならびに塗装の管理、塗装検査業務などを事業とする。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年3月末時点での筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口ならびに村上世彰氏の投資会社と見られる株式会社オフィスサポートが、いずれも6.31%保有。以下は5%未満の保有率で、地元の株式会社広島銀行ほか国内外の金融機関などが続く。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役は4名(うち2名は常勤で社内、他2名は非常勤で社外)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパー。社外取締役には弁護士、公認会計士が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役会長の植竹正隆氏は1945年1月生まれ。広島商科大学(現広島修道大学)卒業後、1968年4月に入社。専務取締役、代表取締役社長などを経て2021年6月より現職
代表取締役社長の伊達健士氏は1970年11月生まれ。関西学院大学卒業後、1995年4月に入社。執行役員、上席執行役員などを経て2021年6月より現職

報告セグメント

報告セグメントは地域別で、「日本」、「中国」、「韓国」、「東南アジア」、「欧州・米国」の5セグメントで構成される。2021年3月期の外部顧客への売上高82,442百万円の構成比は日本39.8%、中国19.6%、韓国8.4%、東南アジア14.1%、欧州・米国18.2%であった。また、同期のセグメント利益5,154百万円の構成比は日本43.0%、中国8.7%、韓国6.2%、東南アジア36.0%、欧州・米国6.1%となった。主力は日本市場であるものの、海外も総計すると6割を占める。
また、製品及びサービス別の売上高構成比は「船舶用塗料」83.3%、「工業用塗料」13.8%、「コンテナ用塗料」2.5%、「その他」0.4%であり、船舶用塗料が主要製品となる。

事業モデル

前述のとおり、主要製品は船舶用塗料である。船舶は水にさらされる環境下で使用され、海洋ではさらに塩分が加わるため塗装にとって過酷な条件となる。また、船舶の修繕にはドック入りを必要とするため、頻繁な対策を講じにくい。したがって、船舶用塗料には通常の塗料以上に耐久性が要求される。また、船底にはフジツボ等の貝類が付着しやすく、これによって船底表面に凹凸が生じ水の抵抗が増すため、速度低下や燃費悪化を招く。貝類付着(汚損)防止の観点からは毒性が高いほど防汚効果が高く、過去には鉛に代表される有毒金属等を塗料に添加してきた。一方で毒性は環境への悪影響でもあるため、近年は防汚と低環境負荷を両立させる技術が要求されている。このような高度の要求に応えるべく、同社は長年の経験とたゆまぬ研究・開発によって時代をリードする製品を送り出しており、船舶塗料分野において国内ではトップシェア、グローバルでも上位3社の実績を誇る。また、一般に船舶は長期間にわたって使用されるとともに過酷な環境下で使用されるため、その間に複数回の塗装修繕がなされる。修繕に使用される塗料の売上高は同社の船舶用塗料全体の過半を占め、新造船が少ないような状況にあっても一定数の需要を確保可能な事業モデルである。
船舶用以外では、橋梁、プラント、電力設備、建材、海上コンテナ等を対象とする塗料を扱う。

2020年度(2021年3月期)通期決算及び中期経営計画説明資料 p.55

競合他社

主力の船舶用塗料において日本企業としては国内外で首位であり、現状では有力な競合他社はないが、4612 日本ペイントホールディングス(株)(売上高781,146百万円)、4613 関西ペイント(株)(売上高364,620百万円)などは、船舶用塗料を扱う点で競合の可能性あり。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社23社で構成される。連結子会社のうち、中国CHUGOKU MARINE PAINTS (Shanghai), Ltd. 及びオランダCHUGOKU PAINTS B. V. の売上高の連結売上高に占める割合は10%を超え、前者21.9%、後者18.3%であった。また、両社とも同社グループ製品の製造・販売を事業とする。

強み・弱み

船舶用塗料の分野では、国内外の市場において高いシェアを誇る点が強み。2021年6月にIMO(国際海事機関)が既存外航船の燃費規制を採択したことにより、高性能船底防汚塗料の需要拡大が期待される点はビジネスチャンス。
一方、原油高にともなう塗料原料のナフサ価格上昇は製造コストに響く懸念あり。また、前述のような総合塗料メーカーが船舶用塗料に注力した場合には、シェア縮小のリスクがある。

KPI

減価償却費、研究開発費、ナフサ価格などはKPIとみなせる。
・減価償却費(2022年3月期第1四半期):504百万円(前期比+6.8%)
・研究開発費(同上):384百万円(前期比▲13.4%)
・国産ナフサ価格(同上);47,700円/kl(前期比+90.8%)

2021年度(2022年3月期)第1四半期決算説明資料 p.6

業績

過去10期の売上高は、2016年3月期に115,066百万円を記録した後は、80,000百万円~90,000百万円で推移。2021年3月期は、売上高82,442百万円(前期比▲6.0%)、営業利益6,560百万円(前期比+87.5%)、経常利益6,430百万円(前期比+58.2%)であった。営業CFはほぼプラス、投資CFはほぼマイナスで推移。直近決算期の自己資本比率は55.3%。