3968 セグエグループの業績について考察してみた

3968 セグエグループの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2023.03 4,561 418 9.16%
FY2023.Q2 2023.06 4,497 209 4.65%
FY2023.Q3 2023.09 4,352 302 6.94%
FY2023.Q4 2023.12 4,033 157 3.89%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.03 2,209 263 11.91%
FY2017.Q2 2017.06 1,531 31 2.02%
FY2017.Q3 2017.09 1,961 43 2.19%
FY2017.Q4 2017.12 2,091 45 2.15%
FY2018.Q1 2018.03 2,772 288 10.39%
FY2018.Q2 2018.06 1,721 0 0%
FY2018.Q3 2018.09 2,156 100 4.64%
FY2018.Q4 2018.12 2,118 96 4.53%
FY2019.Q1 2019.03 2,682 215 8.02%
FY2019.Q2 2019.06 2,374 94 3.96%
FY2019.Q3 2019.09 2,323 129 5.55%
FY2019.Q4 2019.12 2,267 110 4.85%
FY2020.Q1 2020.03 2,491 166 6.66%
FY2020.Q2 2020.06 2,534 151 5.96%
FY2020.Q3 2020.09 2,521 125 4.96%
FY2020.Q4 2020.12 3,446 401 11.64%
FY2021.Q1 2021.03 3,377 269 7.97%
FY2021.Q2 2021.06 2,508 -20 -0.8%
FY2021.Q3 2021.09 2,508 34 1.36%
FY2021.Q4 2021.12 3,645 355 9.74%
FY2022.Q1 2022.03 3,337 225 6.74%
FY2022.Q2 2022.06 2,666 105 3.94%
FY2022.Q3 2022.09 3,166 241 7.61%
FY2022.Q4 2022.12 4,453 335 7.52%
FY2023.Q1 2023.03 4,561 418 9.16%
FY2023.Q2 2023.06 4,497 209 4.65%
FY2023.Q3 2023.09 4,352 302 6.94%
FY2023.Q4 2023.12 4,033 157 3.89%

沿革

1995年4月に現代表取締役社長である愛須康之氏がネットワーク技術、サービスを提供する目的でジェイズ・コミュニケーション株式会社を大阪市淀川区にて設立。2001年に東京、2005年に名古屋など国内拠点を拡充しつつ、セキュリティ関連を主な事業とする株式会社イーサポートやITエンジニア派遣を主な事業とするジェイシーテクノロジー株式会社などの子会社を設立し業容を拡大してきた。2014年12月に株式移転により同社を設立し、持株会社体制へ移行した。2016年12月には東証JASDAQ(スタンダード)、2018年に東証二部、2019年6月に東証一部に指定替え。現在は、ITインフラ及びネットワークセキュリティ製品に係る設計、販売、構築、保守などを提供することを主な事業とする

株主構成

有価証券報告書によると、2021年6月末の筆頭株主は、創業者で代表取締役社長である愛須康之氏で発行済株式の30.68%を保有する。そのほかでは、取引先である双日グループの日商エレクトロニクスが第2位株主として8.39%を保有するほか、有限会社エーディーシーが第3位株主として8.06%を保有する。第4位から7位までは日本カストディ銀行(第4位、7.69%)など信託口が占めるが、第8位株主では取引先の株式会社オービック(1.65%)、第9位株主ではかつて専務取締役であった田中健一郎氏(1.46%)が株式を保有する。なお、外国法人等の保有比率は10%未満である

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)で構成される。社外取締役3名は全て監査等委員であり、監査等委員会を構成する。社内取締役は全員が中途入社で、ビットアイル(現エクイニクス・ジャパン)や日本ヒューレット・パッカード、三井建設などの出身者で複数社の経験後に同社へ入社している。社外取締役(監査等委員)は、シスコシステムズなどでの勤務経験がある須崎宏一氏のほか、公認会計士・税理士である中川博史氏、弁護士の樋口明已氏である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長である愛須康之氏は1966年生まれ。ネットワーク製品の輸入販売及び修理サービスを手がけるデータコントロルズ株式会社勤務、大阪営業所長を経て、1995年4月にジェイズ・コミュニケーション株式会社を設立、代表取締役社長(現任)に就任した。

報告セグメント

報告セグメントは、「ITソリューション事業」の単一セグメントとなっているが、提供する製品・サービスにより、同セグメントを「システムインテグレーション」、「VAD」、「自社開発」の3つに区分している。売上高構成比は、下図の通り、システムインテグレーションが57%を占め、主力事業と言える。

2021年12月期第2四半期 決算説明会資料

事業モデル

「ソリューションプロダクト事業」は、セキュリティ製品及びITインフラ製品の輸入、国内の他代理店から調達し、国内のエンドユーザー向けに販売する、ビデオ会議システムやシステム運用自動化ツールなどに取扱商材を拡大している。また、意思決定支援システムとAIソリューションの“J-TREBシリーズ”の2製品を自社開発し販売もしている。「ソリューションサービス事業」は、ITシステムの導入支援、サポートサービスを提供するほか、ITインフラに強みを持つITエンジニアの派遣業務なども手がけている。
同社は経営理念として、「IT技術を駆使して、価値を創造し、お客様とともに成長を続け、豊かな社会の実現に貢献する。」を掲げている。米国など海外メーカーが提供する製品の代理店業務だけではなく、ネットワーク製品及びITインフラ製品の導入支援・サポートなどを一貫して提供する。また、同社ではIT技術者を全従業員(485名、2021年6月)の約7割まで高めており、自社開発製品の拡充、人材派遣業務などサービス強化を促進している。また、近年はITセキュリティ分野の事業強化を図っており、積極的な取扱商品・サービスの拡充にも注力している。

2021年12月期第2四半期決算説明資料

競合他社

同社の事業領域であるネットワーク製品や情報セキュリティ製品については、IT大手などの参入もあるが、同社のように海外製品の輸入・販売や自社開発製品の提供などを行う企業群として直接的に競合する企業としては、セキュリティ対策ソフトや関連するシステム構築などを手がける3040ソリトンシステムズ(2020年12月期売上高16,457百万円)がある。インテル出身の鎌田信夫社長をはじめ、技術力の高さには定評がある。また、情報インフラ構築などで定評のある3762テクマトリックス(2021年3月期売上高30,603百万円)は、特に、医療機関やコールセンターなどのシステム構築に強みを持つ企業である。

連結の範囲

2021年6月末時点において、同社グループは同社のほか、連結子会社7社から構成される。同社は純粋持株会社であり、セキュリティ製品及びITインフラ製品の輸入・販売などを行うジェイズ・コミュニケーション株式会社をはじめ、各事業領域に応じて、連結子会社各社が具体的な事業を担う。また、同社では全ての連結子会社が国内法人であり、海外に連結子会社ない。

強み・弱み

ネットワーク製品や情報セキュリティ製品について、海外メーカーとのパイプを生かして、国内顧客に対して最適な製品を提供できる体制を構築しているほか、導入後も保守サービスやヘルプデスクサービスまで一気通貫で提供できる点は強みである。また、豊富なIT技術者を確保し、高度なスキルを持つ人材を派遣できる点も強みだろう。
足もとではセキュリティ製品に対する需要拡大が見られ事業環境が良好な一方で、技術革新が目まぐるしいIT業界において、スキルの高い人材確保は今後の懸念点となる。また、自社製品の拡充は、同社の収益源を多様化し業容を拡大するうえで課題である。

KPI

「売上高」と「営業利益率」を目標とする経営指標としてあげているほか、「グループ社員数」もあげられる。ビジネスの応じた3つの収益源(自社開発ビジネス・VAD(代理店)・システムインテグレーションビジネス)の売上高推移もKPIとなりうる。
「グループ社員数」 446名 (2020年12月末)
「自社開発ビジネス売上高」 5.6億円 (2020年12月期)
「VAD(代理店)売上高」 53.0億円 (2020年12月期)
「システムインテグレーションビジネス売上高」 51.2億円 (2020年12月期)
上記のほか、数値で確認できるKPI以外では、資本・業務提携の状況など、業容拡大に向けて同社が取る組織再編・成長投資などは要注目の事項である。

業績

2016年12月期からの5期において、売上高は6,881百万円から、10,992百万円へ、営業利益は218百万円から843百万円へ増収増益基調で推移。VAD(代理店)関連のビジネスで、海外プロダクトの国内顧客向け販売が好調っだったことや、新型コロナウィルス感染拡大を背景に、テレワークが普及し、セキュリティ製品など関連プロダクトの販売も良好だった。恒常的に営業CFはプラス、投資CFはマイナスで、FCFは概ねプラスだが、2020年12月期は主に売上債権の増加で営業CFの水準が減少しており、FCFもマイナスとなった。GIGAスクール案件の獲得や大型案件の獲得などが影響しているとみられる。2020年12月期の自己資本比率は43.7%、自己資本利益率は2016年12月期の12.4%から21.5%へと収益力が高まっている。今後、テレワーク需要が剥落する可能性はあるものの、ITセキュリティに対する需要は底堅く推移すると見込まれる。

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