3853 アステリアの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1998年9月、平野洋一郎と北原淑行がインフォテリア株式会社創立。翌年1月に世界初の商用XMLエンジン「iPEX」を発売。2002年6月より発売しているノン・コーディングのEAIソフト「ASTERIA」が2006年9月国内シェアNO.1を達成。2007年6月東証マザーズに上場、2018年3月東証一部へ変更。2012年3月に中国に100%子会社を設立して以降、米国、香港、シンガポール、英国など海外に展開する。2009年6月から発売している「Handbook」が2018年10月にモバイルコンテンツ管理市場の4カテゴリでシェアNo.1を達成、同時にアステリア株式会社へ商号変更。不特定多数向けのパッケージやクラウドサービスを提供するソフトウェアの開発、販売およびそれに付帯する事業を行う

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、創業者で代表取締役社長の平野洋一郎氏で保有割合11.07%。次いでJPモルガン銀行7.09%、創業者で取締役副社長の北原淑行氏5.28%と続き、以降は保有割合5%以下で取引のある日系企業2社、同社100%子会社のCEO、SBI証券、国内信託銀行の信託口などとなっている。また2020年6月25日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10 %未満である

取締役会

取締役は5名(社内2名、社外3名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。社内取締役2名は創業者でいずれも日本IBM出身

代表取締役の経歴

代表取締役社長の平野洋一郎氏は1963年8月生まれ。 熊本大学中退後、1983年7月有限会社キャリーラボに入社。その後ロータス株式会社(現日本IBM株式会社)を経た後に1998年9月に同社を創業、同時に代表取締役社長に就任した。
もう1名の創業者である取締役副社長の北原淑行氏は1962年10月生まれ、同氏は代表権を持たない。

報告セグメント

「ソフトウェア事業」と「投資事業」の2報告セグメントに大別される。2021年第3四半期累計期間の外部向け売上収益および営業利益は全額ソフトウェア事業で計上され、投資事業に関しては赤字だった。ソフトウェア事業はエンタープライズ、ネットサービス、デザインサービスの3ビジネスユニットとその他で構成され、2021年3月期第3四半期累計期間1,993百万円のうちエンタープライズが7割弱、ネットサービスが1割強、デザインサービスが2割強を占める。また売上区分ではストック型の売上が6割近くを占める。

2021年3月期 第3四半期決算説明会資料

事業モデル

ソフトウェア事業のエンタープライズは、データ連携ミドルウェア「Asteria Warp」とAI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」事業を展開。「Asteria Warp」の売上は主としてライセンス売上とサポート売上で一部サブスク売上も含んでいる。ライセンス販売は販売代理店を通して行われる。「Gravio」の売上はサブスク型で伊藤忠テクノソリューションズと代理店契約している。
ネットサービスは、モバイル向けコンテンツ管理システム「Handbook」およびモバイルアプリ制作プラットフォーム「Platio」事業を展開。売上は主としてサブスク型である。
デザインサービスは顧客企業のデジタルデザインにおけるコンサル、開発支援等を行っており、売上区分はサービスに含まれる。
導入社数は9,000社を超えており、様々な規模の幅広い企業や自治体等の様々な導入実績を持つが、コロナ禍において業界問わずIT投資の抑制傾向がみられる。ただ、中長期的には「ニューノーマル」の進展により「遠隔化」、「自動化」の実現が必須となり、クラウド市場やAI市場の拡大が見込まれる。

競合他社

主力商品「Asteria Warp」の競合メーカーとして、9640セゾン情報システムズ(2020年3月期売上高23,560百万円、競合商品「HULFT」)グレープシティ株式会社(非上場、資本金9,000万円、競合商品「krewData」)マジックソフトウェア・ジャパン株式会社(NASDAQ上場マジックソフトウェア・エンタープライゼスの日本法人、競合商品「Magic xpi Integration Platform」)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社8社、持分法適用関連会社3社で、米国にて投資事業を行うAsteria Vision Fund Inc.、デジタルデザインに関する制作、コンサルを行うThis Placeが3法人(英国、米国、中国に拠点)、中国やシンガポールにてソフトウェアの開発、販売等を行う現地法人等で構成される。

強み・弱み

主力商品のAsteria Warpは高い市場シェア(14年連続1位)と認知度を持つことが強み。一部サブスク型の売上も含まれ、収益の安定化に貢献。一方2021年3月期で売上収益の約36%を占める海外(米国、欧州、アジア諸国等)のカントリーリスクや為替リスクを持つ。

同社HP TOP>Asteria Warp>特長

KPI

①IT市場規模(国内2021年度予測123,500億円、矢野経済研究所調べ)
②Asteria Warp導入社数(2020年12月末9,000社以上)
③サブスク売上(2021年3月期第3四半期429百万円、売上率21.5%)
④為替(米ドルなど)

業績

直近5か年(2016年3月期~2020年3月期)の業績推移をみると、海外子会社の買収を要因に2018年3月期に売上収益が前年度比191.8%と大幅増収。しかし2020年3月期は米国でのプロジェクト遅延、コロナ禍の影響による営業自粛を受け減収。営業利益も2018年3月期まで増益も、2020年3月期は海外子会社の減損があり営業赤字となった。フリーCFは2018年3月期まではプラス、2019年3月期は営業債権の増加、2020年3月期は子会社の取得等を要因としてマイナス。

2020年3月期 通期決算説明会資料