4497 ロコガイドの業績について考察してみた

4497 ロコガイドの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2016年7月にクックパッド株式会社の新設分割により、株式会社トクバイを設立し、チラシ・買い物情報アプリ「トクバイ」をリリース 。2016年12月MBOによりクックパッド株式会社から独立。2017年7月に地域のよりみち情報サービス「ロコナビ」を運営開始。2019年8月に株式会社ロコガイドに商号変更。2020年6月に東証マザーズに上場。本社は東京都港区。全国のスーパーの特売情報を集約した情報アプリ「トクバイ」が主力

株主構成

2021年3月期第2四半期報告書によると2021年3月末時点の大株主は、筆頭株主が代表取締役の穐田誉輝氏で69.99%、次いで株式会社日本カストディ銀行が信託口で6.39%。以下は5%未満の保有で、国内外の銀行や信託銀行等の信託口などが並ぶ。2020年6月24日付のコーポレートガバナンス報告書によると外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査等委員4名 (社内1名、社外3名)、監査等委員会設置会社である。社内取締役全員がクックパッド株式会社出身者である。取締役の沖本裕一郎氏は株式会社リクルートコミュニケーションズを経て、クックパッド株式会社に入社。2016年7月に同社代表取締役に就任し、2017年4月に現職に就任した。その他にはニフティ株式会社や株式会社きらぼし銀行等の多様な経歴を持つ取締役が揃う。

代表取締役の経歴

代表取締役の穐田誉輝氏は1969年4月生まれ。青山学院大学経済学部を卒業後、1993年4月に株式会社ジャフコに入社。その後、株式会社カーチスホールディングスを経て、1999年9月に株式会社アイシービーの代表取締役、2001年12月に株式会社カカクコムの代表取締役等に就任。2017年1月に同社取締役を経て、2017年4月に現職に就任した。

報告セグメント

「インターネットメディア事業」と「投資事業」の2セグメントに大別される。2021年3月期の売上高は2,023百万円の内、インターネットメディア事業が1,630百万円で80.6%、投資事業が392百万円で19.4%を占める。
2021年3月期の利益率はインターネットメディア事業が47.4%、投資事業が17.9%である。インターネットメディア事業は期によって利益率の変動が大きく、投資事業は2021年3月期第3四半期より新しく区分されたセグメントである。

事業モデル

インターネットメディア事業では、 全国のスーパーの特売情報を集約した情報アプリ「トクバイ」を運営する。ユーザーはトクバイを通してスーパーやドラッグストア、ホームセンター等の特売情報やクーポンを取得できる。一方、掲載店舗である小売企業はインターネット上で販売促進にかかる情報配信ができ、それに伴うユーザーの閲覧数等の掲載効果を確認することができる
掲載方法は折込チラシの画像データを掲載できる無料プランと、クーポンや店舗お知らせを追加掲載できる定額有料プランに分かれる。定額有料プランの契約店舗数は2021年3月末で26,879店舗で、月間利用ユーザー数は1,628万人に達する。
またジムやリラクゼーション等の健康施設向けを中心に、成果報酬型サービスも導入。成果報酬型契約店舗数は2021年3月末で6,840店舗に及ぶ。
投資事業では、地域コミュニティや地域情報デジタル化に資する企業を始めとする成長分野への投資を通して、キャピタルゲインの獲得を目的とする。2021年3月期第3四半期より新たに追加された事業である。
小売業界における2020年3月の商業販売高は49兆20億円である。国内広告費については2019年のインターネット広告費は2兆1,048億円と6年連続で2桁成長を遂げているが、折込広告費は前年比▲9%減の3,559億円と減少傾向である。同社は折込広告からインターネット広告への移行による需要取り込みを狙う

競合他社

近年は小売り各社が自社サイトや自社アプリでPUSH機能を用いたチラシ開示をしていることもあり、競合ではないが小売り各社が同社サービスを導入する際の障壁となり得る。四国・九州北部で小売業向けに折込チラシやデジタル広告を提供する2156セーラー広告株式会社(2021年3月期売上高6,271百万円)、小売業のチラシがWEBで無料閲覧できる「shofoo!」を展開する株式会社ONE COMPATHをグループ会社に持つ7911凸版印刷株式会社(同1,466,935百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社を1社と持分適用関連会社1社を持つ 。2020年10月にインターネットメディア事業において小売・流通業のDX推進支援を目的に、連結子会社の株式会社リテール総合研究所を設立。

強み・弱み

契約店舗数の急速な拡大と低解約率により、月額収入を中心としたストック型収益モデルの構築を実現している点が強み。同社の定額有料掲載プランは月額5,000円。チラシのみの無料掲載プランと比べて、タイムセールやクーポン、他店舗との価格比較が日々更新される仕様であり、ユーザーに提供できる情報量が最新かつ多い点が特徴である。月間ユーザー数は2021年3月で前年同月比46%の増加、定額プラン及び成果報酬プランを含む有料契約店舗数は前年同月比33%の増加であり、網羅率が右肩上がりに急速に成長中なことも強みの一つ。新聞の折込チラシを作成するよりも低コストで顧客網羅率の高いアプローチを可能にし、2021年3月時点での解約率は0.61%と低水準を保つ。一方で、主力であるトクバイの網羅率が高まりきると、成長余地は少なくなる。単価の上昇や他事業の育成に注力しているが、それらを軌道に乗せられるかは課題となる。

KPI

KPIには①月間利用ユーザー数、②有料店舗数、③解約率が挙げられる
①月間利用ユーザー数:1,628万人(2021年3月)
②有料店舗数:33,719店舗(同)
③解約率:0.61%(同)

2021年3月期 決算説明資料

業績

売上高は2017年3月期から2021年3月期までの5期で約7.6倍に増収した。特に、2021年3月期は成果報酬型プランの提供が始まり、有料契約店舗数の拡大に貢献し、前年同期+42%の増収となった。経常利益は2019年3月期に黒字化し、2021年3月期までに約3.3倍へ増益。2021年3月期は前年同期比+38.8%の増益と高い伸びを維持している。営業CFは2018年3月期と2021年3月期を除いてプラスを推移しており、2021年3月期は営業投資有価証券の増加により大きくマイナスとなった。投資CFは2019年3月期を除いて、マイナスを推移。財務CFはプラスを推移する。自己資本比率は2021年3月期で88.6%。新株の発行により前期の45.9%から大幅に改善した