3983 オロの業績について考察してみた

3983 オロの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1999年1月、統合基幹業務システムの開発、販売を目的に東京都にて有限会社オロを設立。2000年9月、株式会社に改組。2004年8月、ウェブサイト構築や運用保守業務を開始。2006年6月、ERPパッケージ「ZAC Enterprise」を開発し、販売を開始。業容拡大に伴い、徐々に全国へ拠点を拡大するとともに、2010年1月の中国大連の連結子会社設立以降、マレーシア、ベトナム、シンガポール、タイ、台湾へ展開。2017年3月に東証マザーズに上場、2018年3月に東証第一部に市場変更を果たす。現在は、主に中小企業向けクラウドサービス、DX事業支援などを主な事業とする

株主構成

有価証券報告書によると、2021年6月末時点の筆頭株主は、創業者で代表取締役社長である川田篤氏で発行済株式の38.74%を保有。また、同じく創業者で専務取締役である日野靖久氏が発行済株式の19.28%を保有し(第2位)、両氏が過半数の株式を保有する。以降は日本カストディ銀行(第3位、4.42%)など国内外の信託銀行等の信託口が主な株主で、常務取締役で創業時より事業に加わっている藤崎邦生氏の保有1.87%もみられる。なお、外国法人等の保有比率は10%以上20%未満である

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)で構成される。監査役は3名(全員社外、うち常勤1名)、監査役会設置会社である。社内取締役4名のうち、取締役の生本博士氏だけが1999年の有限会社オロ時代を経験しておらず、2013年1月の入社で、他3名は同年齢で前職の開示はいずれもない。社外取締役は、取引関係のあるハッピーテラス株式会社代表取締役である上岳史氏、東京工業大学工学院教授である阪口啓氏である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長である川田篤氏は1973年9月生まれ。1997年に東京工業大学工学部を卒業後、1999年に専務取締役である日野靖久氏とともに有限会社オロ(現在の株式会社オロ)を設立し、代表取締役社長(現任)に就任した。

報告セグメント

報告セグメントは、提供するサービスに応じて区分されており、クラウドサービスを通じて業務システムを提供する「クラウドソリューション事業」、企業のデジタルマーケティング支援などの業務を行う「デジタルトランスフォーメーション事業」の2つに分けられる。2021年12月期第2四半期の実績で見ると、各報告セグメントの売上高構成比は、「クラウドソリューション事業」が約58.5%、「デジタルトランスフォーメーション事業」が約41.5%となっている。セグメント別の利益は3:1となっており、「クラウドソリューション事業」の利益率が46.5%と高いのに対し、「デジタルトランスフォーメーション事業」は21.7%にとどまる。

2021年12月期第2四半期決算説明資料

事業モデル

デジタルを基軸に顧客企業の業務効率化を支えることで、企業価値の向上を目指している。クラウドソリューション事業では、クラウド型統合基幹業務システム「ZAC」を中心に、中小企業を対象にしたプロジェクト管理、コミュニケーションツールとして拡販に力を入れる。デジタルトランスフォーメーション事業では、小規模な企業を対象に、デジタルマーケティング戦略立案から実際のオペレーションまで一気通貫で提供することで顧客満足度の高い広告運用やCI開発、ウェブサイトの設計運用までのソリューションを提供する。また、海外子会社を通じて、顧客の海外進出も支援する。
ユーザーは、広告業・ITサービス/ソフトウェア開発業・コンサルティング業などのPJ型ビジネスを遂行する知的労働サービス業が中心。販売は、直接販売だけでなく、大手ベンダーや商社などの販売代理店経由の間接販売も行う。「ZAC」ユーザーよりもやや規模の小さな顧客へは「Reforma PSA」を提供する。
経営理念として、「社員全員が世界に誇れる物(組織・製品・サービス)を創造し、より多くの人々(同僚・家族・取引先・株主・社会)に対してより多くの「幸せ・喜び」を提供する企業となる。そのための努力を通じて社員全員の自己実現を達成する。」を掲げる

競合他社

同社が属するIT系、システム開発を行う企業は数多く存在するが、パッケージソフトの提供・保守などを行う直接的な競合企業としては、統合基幹業務システムなどの請負開発などを手がける3826システムインテグレータ(2021年2月期売上高4,258百万円)があるほか、製造業向けの統合基幹業務システム開発などに強みを持つ4828ビジネスエンジニアリング(2021年3月期売上高17,855百万円)、過去に筆まめなどのパッケージソフト開発を行い、現在は法人向け統合基幹業務システム開発などを行う9638クレオ(2021年3月期売上高14,745百万円)がある。

連結の範囲

2021年6月末時点において、同社グループは同社のほか、国内連結子会社2社、中国2社、ベトナム・マレーシア・タイ・台湾・シンガポールに各1社、など合計11社から構成される。特に、2010年代には、デジタルトランスフォーメーション事業の拡大に伴い、アジア圏での連結子会社設立が多い

強み・弱み

IT戦略に十分な経営資源を配分できない中小企業をターゲット顧客層として定め、パッケージソフトの提供だけではなく保守・運用管理まで含めて提供しており、安定的なストック収入が見込める点は強みである。webを活用したマーケティング支援においても、競合他社が一部のサービス提供を得意とする中で、デジタルマーケティング戦略立案から実際のオペレーションを提供する体制が構築できている点が挙げられる。アジア拠点を設立し、インバウンド集客支援体制を構築している点も強みである。
懸念点として、顧客及びソフトウェア開発委託先との間でいくつかの訴訟案件を抱えており、金額規模から業績への影響は大きくないが、風評リスクを抱えている点が挙げられる。また、代表取締役社長である川田篤氏の力量に依存する割合が高いことを同社では認識しており、人材の厚みを増していけるかも課題だろう。

KPI

各事業のセグメント別売上構成はKPIとなり得る。また「新規顧客からの売上高」は、その後の既存顧客のストック収入となるため、重要である。クラウドソリューション事業の「ZAC」及び「ZAC Enterprise」の稼働ライセンス数も中長期的な経営状況の確認に有効である。デジタルトランスフォーメーション事業における海外拠点が計上する売上高として、「海外売上高」も挙げられる。
「新規顧客からの売上高」 190百万円 (新規ライセンス88百万円+新規導入支援102百万円、2021年12月期第2四半期)
「稼働ライセンス数」 213 (2021年12月期第2四半期)
「海外売上高」 47百万円 (2021年12月期第2四半期)

2021年12月期第2四半期決算説明資料

業績

2016年12月期から2020年12月期までの売上高推移を確認すると、3,375百万円(2016年12月期)から、5,240百万円(2020年12月期)まで継続的に増収増益を維持している。新規顧客の獲得が順調で、ストック収益が増加する好循環となっている。恒常的に営業CFはプラス、投資CFはマイナス、FCFはプラスである。自己資本比率も83.8%(2020年12月期)と高水準で、自己資本利益率は17.7%(2020年12月期)と堅調である。