5715 古河機械金属の業績について考察してみた

5715 古河機械金属の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1875年8月に草倉銅山を譲り受け、営業を開始。1894年9月に石炭事業を開始。1990年に機械事業を開始。1905年3月に古河鉱業会社へ改組。1911年11月に古河合名会社へ改組。1918 年4月に古河鉱業株式会社へ改組。1933 年3月古河石炭鉱業株式会社に、1941年2月古河鉱業株式会社に商号変更。1949年5月東証一部へ上場。1989年10月古河機械金属株式会社に商号変更。2005年3月事業持株会社体制に移行。本社は東京都千代田区。鉱山用機械と銅製錬メーカー。ニッチ市場の複数製品において高シェアを有す

株主構成

有価証券報告書よると2021年9月末時点の大株主は、筆頭株主が日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で11.3%、次いで朝日生命保険相互会社が6.0%、以降は保有割合5%未満で株式持ち合いをする清和綜合建物株式会社、株式会社日本カストディ銀行の信託口、5101横浜ゴム、5801古河電気工業、6504富士電機と続く。その他には金融機関や取引先が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役4名 (社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパーとみられる。専務取締役の萩野正浩氏は、連結子会社の古河ロックドリル株式会社の代表取締役社長を兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の宮川尚久氏は1952年3月生まれ。立教大学経済学部を卒業後、1975年4月に同社に入社。人事部や秘書室長を経て、2011年6月に取締役に就任。2013年6月に代表取締役社長を経て、2021年6月に現職に就任した。
代表取締役社長の中戸川稔氏は1959年8月生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、1983年4月に同社に入社。2018年6月に連結子会社の古河ユニック株式会社の代表取締役社長、2019年6月に同社取締役を経て、2021年6月に現職に就任した。

報告セグメント

「産業機械」、「ロックドリル」、「ユニック」、「金属」、「電子」、「化成品」、「不動産」の7セグメントに大別される。報告セグメントに含まれない事業として、運輸等が含まれるその他がある。2022年3月期第2四半期の売上高は97,804百万円で、調整前の構成比は産業機械が9.9%、ロックドリルが15.4%、ユニックが14.6%、金属が50.4%、5%未満で電子、化成品、不動産、その他が続く。
産業機械とユニックがセグメント利益の3割以上をそれぞれ創出する。通期の利益率は不動産が30%台前半、産業機械とユニックが10%台前半、化成品が1桁後半、金属が1桁前半、ロックドリルと電子がマイナスから1桁台前半を推移する。

事業モデル

産業機械部門では、各種ポンプや環境機械、鋼構造物、破砕機や粉砕機等の産業機械、耐熱・耐摩耗鋳物を製造・販売する。製品ごとの国内シェアは下水道用汚泥ポンプが60%、スリラーポンプが40%、破砕機が15%を誇る。連結子会社の古河産機システムズ株式会社が事業を担い、連結子会社2社が耐熱・耐摩耗鋳物と産業廃棄物処理を行う。製造拠点は古河産機システムズ株式会社の小山工場と栃木工場が中心となる。
ロックドリル部門では、油圧ブレーカや油圧圧砕機、油圧クローラドリルやトンネル工事用機械等のせん孔機械を製造・販売する。製品ごとの国内シェアは油圧ブレーカが40%、油圧クローラドリルが65%、トンネルドリルジャンボが80%を占める。連結子会社の古河ロックドリル株式会社が、他子会社10社と共に事業を担う。製造拠点は古河ロックドリル株式会社の高崎工場と吉井工場が中心となる。
ユニック部門では、ユニッククレーンやミニ・クローラクレーン、船舶用クレーン、ユニックキャリア等を製造・販売する。製品ごとの国内シェアはユニッククレーンが50%、ミニ・クローラクレーンが40%、ユニックキャリアが50%を占める。連結子会社の古河ユニック株式会社が、他子会社6社と関連会社6社と共に事業を担う。製造拠点は古河ユニック株式会社の佐倉工場が中心となる。
金属部門では、海外鉱山から原料鉱石を仕入れて製錬し、電気銅や電気金、電気銀、硫酸の販売を行う。連結子会社の古河メタルリソース株式会社が原料鉱石を買い入れ、他子会社2社と関連会社2社が委託製錬する。連結子会社の大分鉱業株式会社では、石灰石の採掘・販売を行う。
電子材料部門では、高純度金属や光学部品、窒化アルミニウム、コア・コイルを製造・販売する。携帯電話やLEDに使用される半導体の原料となる高純度金属ヒ素では、国内シェア90%、世界シェア60%を誇る。連結子会社の古河電子株式会社が、他子会社1社と関連会社1社と共に事業を担う。製造拠点は古河電子株式会社のいわき工場。
化成品部門では、銅酸化物製品や硫酸、水処理剤製品、各種関連製品を製造・販売する。亜酸化銅では国内シェア45%を誇る。連結子会社の古河ケミカルズ株式会社が事業を担い、製造は大阪工場にて行う。
不動産部門では、連結子会社の古河ビジネスサービス株式会社が不動産の販売・賃貸をする。
その他事業では、連結子会社の古河運輸株式会社と他子会社3社が製品運送の一部請負等を行う。
海外売上高比率は27.0%で、地域ごとの売上高はアジアが19.1%、その他地域が7.9%を占める。(2021年3月期)
主要顧客は5801古河電気工業で連結売上高に占める売上高の割合が15.2%を占める。(同)
今後はロックドリル部門において欧米や東南アジアを中心に、需要拡大が予測される地域での海外マーケティングを強化すると共に、金属部門では採算性向上のために電気銅の生産数量の削減に取り組む。

競合他社

油圧ショベル機で国内シェア2位の6305日立建機 (2021年3月期売上収益813,331百万円)、建設用クレーンの国内大手6390加藤製作所(同売上高58,519百万円)、移動用建設クレーンの世界大手6395タダノ(同186,040百万円)、非鉄金属では5706三井金属(同522,936百万円) などが競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社31社と持分法適用関連会社5社、持分法非適用関連会社6社を持つ。主要な連結子会社には、産業機械部門を担う古河産機システムズ株式会社とロックドリル部門を担う古河ロックドリル株式会社、ユニック部門を担う古河ユニック株式会社、金属部門を担う古河メタルリソース株式会社、電子部門を担う古河電子株式会社、化成品部門を担う古河ケミカルズ株式会社、不動産部門を担う古河ビジネスサービス株式会社、その他事業を担う古河運輸株式会社が挙げられる。

強み・弱み

強みとして高シェアを誇る製品を複数持つことが挙げられる。同社では部門ごとに高シェアを獲得する製品を多く抱える。中でもロックドリル部門の主要製品である油圧ブレーカは性能について欧米で高評価を獲得している上に、トンネルドリルジャンボはトンネル工事等のインフラ需要の拡大が進む新興国での拡販が見込まれるニッチ市場を中心に高シェア製品を展開することで、安定的な収益を確保することが可能である。懸念点としては、金属部門における買鉱条件の変化や金属価格の変動リスク、為替変動リスクが挙げられる。

KPI

KPIには①産業用機械部門受注残と②銅生産量が挙げられる
①産業用機械部門受注残:98億円(2021年3月期)
②銅生産量:74,386t(同)

業績

売上高は2019年3月期に、4期ぶりの1,700億円台をつけたが、2021年3月期は新型コロナ流行による産業機械部門やロックドリル部門、ユニック部門、化成品部門での需要減少が響き、2期連続減収であった。金属部門と電子部門は好調であった。経常利益は2017年3月期から2019年3月期の3期は80億円を上回ったが、2021年3月期は前期比▲16.7%だった。為替差損益と持分法投資損益により経常利益は▲16.7%で済んだが、営業利益は前期比▲35.7%であったフリーCFは2018年3月期を除いてプラスを継続。自己資本比率は30%台後半から40%台前半を推移する