4541 日医工の業績について考察してみた

4541 日医工の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2022.Q4 2022.03 44,168 -94,714 -214.44%
FY2023.Q1 2022.06 47,062 -6,549 -13.92%
FY2023.Q2 2022.09 44,188 -51,295 -116.08%
FY2023.Q3 2022.12 47,462 -13,398 -28.23%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 45,790 1,541 3.37%
FY2018.Q1 2017.06 42,927 5,008 11.67%
FY2018.Q2 2017.09 40,133 -2,313 -5.76%
FY2018.Q3 2017.12 42,957 4,816 11.21%
FY2018.Q4 2018.03 38,700 2,790 7.21%
FY2019.Q1 2018.06 42,278 2,036 4.82%
FY2019.Q2 2018.09 40,068 2,684 6.7%
FY2019.Q3 2018.12 44,878 3,281 7.31%
FY2019.Q4 2019.03 39,368 222 0.56%
FY2020.Q1 2019.06 46,523 1,733 3.73%
FY2020.Q2 2019.09 44,996 2,044 4.54%
FY2020.Q3 2019.12 50,643 3,114 6.15%
FY2020.Q4 2020.03 47,914 -4,018 -8.39%
FY2021.Q1 2020.06 45,265 491 1.08%
FY2021.Q2 2020.09 44,366 32 0.07%
FY2021.Q3 2020.12 49,214 -506 -1.03%
FY2021.Q4 2021.03 49,373 90 0.18%
FY2022.Q1 2021.06 42,943 -4,124 -9.6%
FY2022.Q2 2021.09 42,988 -9,902 -23.03%
FY2022.Q3 2021.12 48,961 -1,311 -2.68%
FY2022.Q4 2022.03 44,168 -94,714 -214.44%
FY2023.Q1 2022.06 47,062 -6,549 -13.92%
FY2023.Q2 2022.09 44,188 -51,295 -116.08%
FY2023.Q3 2022.12 47,462 -13,398 -28.23%

沿革

1965年7月、田村四郎氏が日本医薬品工業株式会社を富山県に設立。1987年1月に自社開発新薬の中枢性鎮痛剤「セダペイン注」、1994年6月には海外導入新薬である抗喘息治療薬「ユニコン」の製造承認を取得。2005年6月、日医工株式会社に商号変更。2016年8月、米国のジェネリック注射剤メーカーであるSagent Pharmaceuticals, Inc. を株式取得により子会社化。2021年3月、不正製造の発覚により富山県から行政処分(1ヶ月間の業務停止)を受ける。2021年8月に医薬品卸大手の7459メディパルホールディングスと資本業務提携。1980年7月に名証二部上場、1981年11月には大証二部上場。2006年11月、名証ならびに大証ともに一部へ市場変更。2010年12月には東証一部上場。現在は、ジェネリック医薬品(後発品)の製造販売大手3社の一角

株主構成

有価証券報告書によると、2021年3月末時点での筆頭株主は、創業者一族の資産管理会社と見られる株式会社TAMURAで、7.11%保有。次いで、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口が6.17%保有。以下は5%未満の保有率で、国内の金融機関、従業員持株会の他、株式会社TAMURAの子会社である株式会社拓が3.31%、代表取締役社長の田村友一氏が個人名義で2.79%保有。ただし、2021年8月に締結したメディパルとの資本業務提携及び第三者割当増資の結果、現在は7459メディパルホールディングスが9.9%程度を保有する筆頭株主であるとみられる。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は11名(社内5名、社外6名)、うち監査等委員は3名(社内1名、社外2名)、監査等委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役3名中2名はプロパー、他1名は株式会社北陸銀行出身者。社外取締役には、株式会社北陸銀行元頭取、富山大学薬学部長、弁護士、富山県議会議員、公認会計士が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役社長の田村友一氏は創業者田村四郎氏の実子で、1962年7月生まれ。学習院大学卒業後、1985年4月に住友商事株式会社へ入社。1989年4月に同社入社、取締役、代表取締役専務などを経て2000年2月より現職
代表取締役副社長の吉川隆弘氏は1952年3月生まれ。1975年4月に住友商事株式会社へ入社。2010年10月に同社入社、取締役常務、代表取締役などを経て2020年6月より現職

報告セグメント

「日医工グループ」ならびに「Sagentグループ」の2セグメントで構成される。前者は従来の同社グループの事業を、後者は2016年に買収したSagent Pharmaceuticals, Inc.を中心とする事業を運営する。2021年3月期における、自主回収返品引当(▲552百万円)前の売上収益188,770百万円の構成比は、日医工グループ80.8%、Sagentグループ19.2%であった。また、同期のセグメント利益977百万円の構成は、日医工グループ2,995百万円、Sagentグループ▲2,017百万円であった。売上高、セグメント利益の両面で日医工グループが主力となる。なお、地域別売上高構成比は、日本80.7%、米国16.8%、その他2.5%と、日本国内が主要市場となる。連結売上収益の10%以上を占める主要顧客及び占有率は、医薬品卸大手の株式会社メディセオ21.1%、アルフレッサ株式会社13.9%、株式会社スズケン12.0%であった。

事業モデル

ジェネリック医薬品を中心とする医薬品の、開発・企画から原薬調達、生産、物流、流通・販売までを手掛ける。品目数は国内1,218品目、海外288品目に及び、循環器官用薬、血液及び体液用薬、神経系用薬、抗生物質 、消化器官用薬、救急救命用薬、アレルギー用薬、化学療法剤など多岐にわたる。
また、新たな取り組みとして、先行バイオ医薬品と同等・同質の品質、安全性、有効性を有するバイオシミラーの他、オーファンドラッグ米国COVID-19プロジェクトへも注力。バイオシミラーでは、2017年9月に同社初のバイオシミラーとなる「インフリキシマブBS」を日本国内において承認取得、2017年11月に発売開始。米国においても臨床開発を行い、2023年の承認申請を目指す。2019年にはインドのルピンが開発した「エタネルセプトBS」を導入し販売を開始。また、スペインのmAbxienceからは「ベバシズマブBS」を導入し、2022年の国内発売を目指す。オーファンドラッグに関しては、慢性膵炎等の治療薬として国内では承認されているカモスタットメシル酸塩を、米国において承認申請すべく臨床試験を実施。COVID-19プロジェクトでは、カモスタットメシル酸塩のCOVID-19治療への応用へ向け臨床試験実施。

統合報告書2020 p.3

競合他社

4887 サワイグループホールディングス(株)(売上収益187,219百万円)、4553 東和薬品(株)(売上高154,900百万円)が、ジェネリック医薬品を主力とする点で競合する。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社15社、持分法適用関連会社2社で構成される。連結子会社のうち、Sagentグループセグメントの中核をなすSagent Pharmaceuticals, Inc.の売上収益の、連結売上収益に占める割合は10%を超える(19.2%)。

強み・弱み

ジェネリック医薬品の国内市場において、トップシェアを誇る点が強み。高効率・低コスト生産体制も、グループの収益力を高める上で有利。国内の高齢化は、数量の需要面で同社にとって追い風であるものの、それに伴い急増する医療費負担と厳しい薬価改定による収益性の低下といった厳しい事業環境は、医療機関・卸を含めた医薬品業界全体の経営課題である。また、コスト削減を過度に追求した結果、不正製造発覚による顧客離れは避けられず、信頼回復が重要な課題である。メディパルとの資本業務提携及び第三者割当増資による成果、卸も含めた医薬品業界全体の再編などの動向も今後のリスクとなり得る。

KPI

採用実績などがKPIとみなせる。
・全施設対象の採用軒数(2022年3月期第1四半期)
全品目:120,454軒(前期比▲1.4%)
うちジェネリック:109,214軒(前期比▲0.4%)

2022年3月期 第1四半期 決算補足資料 p.8

業績

順調に売上収益を伸ばし、2020年3月期には過去最高の190,076百万円を記録。しかしながら、2021年3月期は不正製造及びそれに起因する自主回収、行政処分などの影響で減収減益となり、売上収益188,218百万円(前期比▲1.0%)、営業利益107百万円(前期比▲96.3%)、税引前利益1,068百万円(前期比▲85.6%)であった。2022年3月期第1四半期も依然として厳しく、売上収益42,943百万円(前期比▲5.1%)、営業利益▲4,124百万円(前期比▲4,615百万円)、税引前利益▲3,611百万円(前期比▲4,105百万円)となった。営業CFはほぼプラスで推移、投資CFは恒常的にマイナス。直近決算期の親会社所有者帰属持分比率は30.6%。

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