2170 リンクアンドモチベーションの業績について考察してみた

2170 リンクアンドモチベーションの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2022.Q2 2022.06 8,819 1,169 13.26%
FY2022.Q3 2022.09 7,633 1,174 15.38%
FY2022.Q4 2022.12 8,377 484 5.78%
FY2023.Q1 2023.03 8,008 865 10.8%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.03 8,756 698 7.97%
FY2017.Q2 2017.06 9,275 911 9.82%
FY2017.Q3 2017.09 9,050 732 8.09%
FY2017.Q4 2017.12 9,813 1,024 10.44%
FY2018.Q1 2018.03 9,642 862 8.94%
FY2018.Q2 2018.06 10,343 1,253 12.11%
FY2018.Q3 2018.09 9,890 927 9.37%
FY2018.Q4 2018.12 10,066 783 7.78%
FY2019.Q1 2019.03 9,189 424 4.61%
FY2019.Q2 2019.06 9,945 1,047 10.53%
FY2019.Q3 2019.09 9,432 465 4.93%
FY2019.Q4 2019.12 9,625 71 0.74%
FY2020.Q1 2020.03 9,345 604 6.46%
FY2020.Q2 2020.06 8,055 146 1.81%
FY2020.Q3 2020.09 8,656 677 7.82%
FY2020.Q4 2020.12 4,729 -567 -11.99%
FY2021.Q1 2021.03 7,947 623 7.84%
FY2021.Q2 2021.06 8,452 880 10.41%
FY2021.Q3 2021.09 10,917 594 5.44%
FY2021.Q4 2021.12 5,328 -31 -0.58%
FY2022.Q1 2022.03 7,947 800 10.07%
FY2022.Q2 2022.06 8,819 1,169 13.26%
FY2022.Q3 2022.09 7,633 1,174 15.38%
FY2022.Q4 2022.12 8,377 484 5.78%
FY2023.Q1 2023.03 8,008 865 10.8%

沿革

2000年3月に小笹芳央氏が株式会社リンクアンドモチベーションを設立、東京都中央区を拠点に経営コンサルティング業を開始。経営学、社会システム論、行動経済学、心理学等を取り入れた「モチベーションエンジニアリング」を基幹技術として企業サポートを展開。2007年12月に東証二部上場、2008年12月には同一部へ市場変更。創業以来順調な成長を遂げ、M&Aによる積極的な事業拡大を図り、20社のグループ会社により事業を展開する。

株主構成

四半期報告書によると、2021年6月末時点での筆頭株主は、創業者であり代表取締役会長でもある小笹芳央氏の資産管理会社の株式会社フェニックスで43.00%保有。続いて従業員持株会が6.64%、元取締役副社長の勝呂彰氏が6.55%保有。以下は5%未満の保有率で、代表取締役社長の坂下英樹氏、常勤監査役の本田寛氏ほか個人及び信託銀行信託口などが続く。なお、前述の小笹氏は個人名義でも3.05%保有しており、同氏の実質的保有率は46%に及ぶ。外国人株式保有比率は10%未満(2020年12月末時点)。

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査役は3名(1名は常勤で社内、2名は非常勤で社外)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役は、プロパー2名、代表取締役と同じく株式会社リクルートの出身者、監査法人出身者で構成。社外取締役には、コンサルタントの株式会社リヴァンプ代表取締役、東京未来大学学長が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役会長の小笹芳央氏は1961年5月生まれ。早稲田大学卒業後、1986年4月に株式会社リクルート入社。2000年3月に同社設立、代表取締役社長に就任。2013年1月より現職
代表取締役社長の坂下英樹氏は1967年8月生まれ。専修大学卒業後、1991年4月に株式会社リクルート入社。2000年3月に小笹氏とともに同社設立、取締役に就任。2013年1月より現職

報告セグメント

「組織開発ディビジョン」、「個人開発ディビジョン」、「マッチングディビジョン」の3セグメントで構成される。2021年12月期の外部顧客への売上収益32,644百万円の構成比は、組織開発ディビジョン32.0%、個人開発ディビジョン22.8%、マッチングディビジョン45.1%であった。また、同期の調整前セグメント利益15,973百万円の構成比は、組織開発ディビジョン47.2%、個人開発ディビジョン18.2%、マッチングディビジョン34.6%であった。組織開発ディビジョンならびにマッチングディビジョンが二本柱となる

事業モデル

対象別に「組織開発」、「個人開発」、「マッチング」の3分野でコンサルティングを展開する。組織開発においては、「モチベーションエンジニアリング」の哲学の基、企業とステークホルダーの関係構築と強化支援を提供している。「コンサル・クラウド事業」ならびに「イベント・メディア事業」に大別される。コンサル・クラウド事業では、社員のモチベーションを企業成長の原動力とする「モチベーションカンパニー」を創出することを目指し、コンサルティング、トレーニング、クラウドによりサービスを提供する。中でも豊富なデータベースと知見をもとに従業員エンゲージメントを向上させる組織改善サービス「モチベーションクラウド」によるサブスクリプションビジネスに注力している。イベント・メディア事業では企業の「コーポレートブランディング」構築を支援する。資本市場向けのアウターブランディング及び企業従業員向けのインナーブランディングを対象に、メディアやイベント制作を手掛ける。
個人開発においては、個人顧客を対象とした主体的キャリア形成の支援を目的に、キャリアスクール事業ならびに学習塾事業を展開。キャリアスクール事業においては、パソコンスクール「AVIVA」、資格スクール「DAIEI」、プログラミングスクール「AVIVA PRO」、外国語スクール「ロゼッタストーンラーニング」・「ロゼッタストーンプレミアム」・「ハミングバード」の6ブランドのもと、大学生や社会人を対象として個人のキャリア向上を目的としたサービスを展開する。学習塾事業では中学受験生を対象とした個別指導の「SS-1」等一般的な学習指導に加え、社会で活躍するためのスキル開発までを提供している。
マッチングにおいては、「求人ニーズのある組織」と「キャリアアップをしたい個人」の人材紹介・派遣・配置事業を展開する。海外人材紹介・派遣事業ならびに国内人材紹介事業に大別される。主力は前者であり、ALT(Assistant Language Teacher=外国人講師)派遣を事業とし、全国の小中高等学校への講師派遣及び英語指導の請負を行っている。同事業におけるシェアは民間企業で首位を達成。日本の英語教育市場は拡大傾向にあり、文部科学省による英語教育の推進も追い風となる。国内人材紹介事業では、就職を希望している学生を企業の説明会や面接に接続させる新卒動員・紹介事業、転職を希望している社会人を企業とマッチングさせる中途紹介事業を展開。

2021年12月期決算説明会スライド p.29

競合他社

「6098 (株)リクルートホールディングス(売上収益2,269,346百万円)」は、人材紹介のほか人材開発や組織開発などコンサルティングも事業とする点で競合する。また、「9757 (株)船井総研ホールディングス(売上高28,813百万円)」、「4310 (株)ドリームインキュベータ(売上高27,776百万円)」なども組織開発の領域で競合する。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社20社で構成される。連結子会社のうち、キャリアスクールを運営する「株式会社リンクアカデミー」、人材派遣・紹介の事業会社「株式会社リンクスタッフィング」、ALT配置事業の「株式会社インタラック関東南」の3社は、売上高の連結売上収益に占める割合が10%を超える(2020年12月期)。各社の比率は、順に16.3%、13.1%、11.5%。なお株式会社リンクスタッフィングは、2022年1月をもって国内人材派遣事業を株式会社iDAに譲渡

強み・弱み

独自技術のモチベーションエンジニアリングを基盤とした、実効性と再現性の高い診断と変革のサイクルにより、ユニークかつスピーディーなコンサルティングを提供する点は、他社との差別化の面で有利。一方、人材派遣・紹介業、イベント事業、資格・英会話スクール事業などでは独自性を発揮しにくいため、他社との競合によるシェア争いや価格競争のリスクあり。

KPI

プロダクト売上実績などが主要なKPIとみなせる。
主力製品「モチベーションクラウドシリーズ」月会費売上

2021年12月期決算説明会スライド p.32

業績

2015年12月期までの10年間で売上収益が6倍に達するなど急成長を遂げ、同期には売上収益300億円を突破。以降は300億円~400億円で推移。2020年12月期は新型コロナウイルス感染症の影響などを受け大幅な減収減益となったものの、2021年12月期には回復し、売上収益32,644百万円(前期比+6.0%)、営業利益2,066百万円(前期比+140.2%)、税引前利益1,903百万円(前期比+184.0%)となった。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは概ねマイナスで推移。直近決算期の親会社所有者帰属持分比率は24.9%。

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