2170 リンクアンドモチベーションの業績について考察してみた

2170 リンクアンドモチベーションの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

リンクアンドモチベーションの事業概要

同社は2000年4月に現代表取締役会長である小笹芳央氏により東京都中央区を拠点として設立された経営コンサルティング会社である。経営学、社会システム論、行動経済学そして心理学等を取り入れた「モチベーションエンジニアリング」を基幹技術として企業サポートを展開している。創業以来順調な成長を遂げ、2007年に東証二部、2008年に東証一部へ上場した。M&Aによる積極的な事業拡大を遂げてきた同社は2020年9月時点で10数社のグループ会社により事業展開している。

(同社ホームページより)
・株主構成
株式会社フェニックス(43.08%)、勝呂彰(6.55%)、従業員持株会(6.49%)、坂下秀樹(3.5%)、榊原清孝(3.5%)、小笹芳央(3.05%)、役員持株会(0.87%)、本田寛(0.75%)であり、6割以上を同社関係者で保有している。中でも小笹氏の影響力は絶大で、株式会社フェニックス(小笹氏の管理会社)を合わせると約半数を保有していることになる。
・取締役会
取締役8名(内社外取締役2名)、監査役会は3名(社外2名)で構成されている。小笹氏は株式会社リクルートで組織人事コンサルティング室長等を経て同社を設立した経緯があり、他の取締役や監査役の経歴をみてもリクルート出身者が多い。
・報告セグメントと事業の構成

同社はBtoBからBtoCまで幅広い事業を有し、事業ポートフォリオ戦略によって収益の安全性と成長性の両面を担保している。報告セグメントは組織開発・個人開発・マッチングの3事業から成る。2019年12月期の全体売上は約382億円であり、そのうち組織開発事業が30%、個人開発事業が20%、マッチング事業が約50%で構成されている。

(同社ホームページより)
・競合他社
規模と事業内容から、同社の競合他社には上場企業では、人材サービス事業を展開するツナグ・ホールディングス(6551)、企業現場に赴き事業戦略策定などを包括的に行うエル・ティー・エス(6560)、人材アセスメントサービスを提供する日本エス・エイチ・エル(4327)が挙げられる。非上場企業では、「採用広報」や「教育広報」を事業とするディスコ、組織・人材分野特化のコンサルティング業務を行うビジネスコンサルタント、そして地域密着型リクルートの求人広告代理店事業のトラコムがある。

組織開発ディビジョン

・事業モデル
「モチベーションエンジニアリング」の哲学の基、企業とステークホルダーの関係構築と強化支援を提供している。コンサル・アウトソース事業とイベント・メディア事業に大別され、セグメント売上比はそれぞれ72%と28%である。コンサル・アウトソース事業では、社員のモチベーションを企業成長エンジンとする「モチベーションカンパニー」を創出することを目指し、コンサルティングやトレーニングそしてクラウドによりサービスを提供する。中でも豊富なデータベースと知見をもとに従業員エンゲージメントを向上させる組織改善サービス「モチベーションクラウド」によるサブスクリプションビジネスに注力している。イベント・メディア事業では企業の「コーポレートブランディング」構築を支援している。資本市場向けのアウターブランディングと企業従業員向けのインナーブランディングをメディアやイベント制作を手掛けている。
・KPI
モチベーションクラウド月会費売上及び顧客粗利単価である。モチベーシションクラウドはサービス提供開始より月会費売上は堅調で、大企業からベンチャーを含む顧客ポートフォリオを構築している。一方顧客粗利単価は景気敏感な指標であるため、その安定化が課題である。

個人開発ディビジョン

・事業モデル
個人顧客を対象として主体的なキャリア創りを支援することを目的に、キャリアスクール及び学習塾事業を展開している。売上はそれぞれ同事業全体の約90%と10%である。キャリアスクール事業においては、パソコンスクールの「AVIVA」、資格スクールの「DAIEI」、プログラミングスクールの「AVIVA PRO」、外国語スクールの「ロゼッタストーンラーニング」、「ロゼッタストーンプレミアム」及び「ハミングバード」の6ブランドのもと、大学生や社会人を対象として個人のキャリア向上を目的としたサービスを展開する。学習塾事業では中学受験生を対象とした個別指導の「SS-1」等一般的な学習指導に加え、社会で活躍するためのスキル開発まで提供している。
・KPI
受講者数及び顧客が解約するまでの受講料の合計である生涯単価(LTV=Life Time Value)を重要なKPIとなる。近年セグメント業績は横這いであるが、成長戦略のコアとして、2019年11月より開始した「自分磨きの習慣」をサポートするサブスクリプションモデルの「i-Company」事業の育成に注力する。

マッチングディビジョン

・事業モデル
「求人ニーズのある組織」と「キャリアアップをしたい個人」の人材紹介・派遣・配置事業を展開しており、同社売上全体の約5割占める重要セグメントである。ALT配置事業と人材紹介・人材派遣事業があり、ALT事業が6割以上を占める。
ALT配置事業のALTとはAssistant Language Teacherすなわち外国語講師のことを指し、全国の小中高等学校への講師派遣及び英語指導の請負を行っている。当事業においては顧客との信頼関係や実績が参入障壁を築き、民間企業でシェアが1位となっている。日本の英語教育市場は拡大傾向であり、文部科学省による英語教育の推進も追い風となる。人材紹介・人材派遣は、シンプルな企業と人材のマッチングが主であるが、特筆すべきは昨今の外国人雇用ニーズの高まりを捉えるために、外国人の採用・育成・労務サポートをワンストップで提供している点である。今後はキャリアアスクール事業でスキルアップした個人と企業をマッチングさせるなど、事業シナジーによりマッチング効率と収益性向上を目指す。
・KPI
派遣労働者数及び紹介人数である。