2370 メディネットの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1995年10月東京大学医科研発のベンチャーとして設立される。予防医学に基づく新たな医療サービスの提供を目的として設立されたが、その後は免疫細胞療法支援や細胞加工受託を核として成長。1999年4月から細胞加工施設を設置しており、瀬田・横浜・大阪・福岡と増設を続けてきた。2013年12月より細胞医療用の細胞培養加工施設を設置。2003年10月東証マザーズ上場。現在は国立がん研究センターや慶応義塾大学、九州大学等と研究開発を進めている。パイプラインの収益化がまだのため赤字を継続しており継続企業の前提に関する重要事象等に該当

株主構成

有価証券報告書によると2020年10月末時点の筆頭株主は、創業者で代表取締役社長の木村佳司氏で保有比率は4.74%、同氏の資産管理会社と見られるIHN株式会社が0.87%を有し併せて4.82%を保有。他は、マッコーリ銀行2.22%やネット系証券会社などが並ぶ。

取締役会

取締役は7名(社内5名、社外2名)、監査役3名 (全員社外)。監査役会設置会社である。社内取締役は細胞加工事業部長を兼任する近藤隆重氏が2003年入社と最も古参で、田辺三菱製薬で理事まで務めた久布白兼直氏など、治験や医薬品など医療分野の出身者が多い。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の木村佳司氏は1952年3月15日生まれ。高校卒業後は実姉の嫁ぎ先である染物屋に就職。その後金属会社を経て、HOYA株式会社へ入社し医療業界の世界へ。自身が喘息持ちで治癒のため自身の免疫を高める必要があった経験から、免疫の領域で新しい分野の事業を作りたいと思い、創業に至る。

報告セグメント

「細胞加工業」と「再生医療等製品事業」の2報告セグメントに大別される。売上高を計上しているのは細胞加工業のみ。再生医療等製品事業は研究開発の段階で黒字化していない

事業モデル

細胞加工業は、企業向けに再生医療等製品や治験製品の加工物製造を受託し、大学・医療機関・研究機関向けに、特定細胞加工物(臨床用や治験用の細胞加工物)の製造を受託するのが主たる事業である。特にがん免疫治療分野の契約医療機関への細胞製造受託が収益源となっている。細胞培養加工施を有するだけでなく、細胞加工技術者の派遣・教育システムの提供なども行う。契約医療機関の細胞を培養加工する施設で、同社の有するノウハウの中から施設運営や品質保証、技術開発、物流ネットワークなど必要なものを提供し、サービス対価を受け取る再生・細胞医療のバリューチェーン事業も展開する。台湾上場のバイオ医薬品企業Medigen Biotexhnology Corp.(以下MBC)に細胞培養加工技術の移転を完了し、台湾当局での承認後、医療機関を通じて患者へ提供されると共に同社は培養加工件数に応じたロイヤリティを収受できる見込みである。

2021年9月期 第1四半期決算ハイライト

再生医療等製品事業は、再生医療等製品の製造販売承認取得やライセンスアウトを目指した自社の研究開発に加えて、大学病院等との共同研究を行う。これらの導出やマイルストーンの達成による導出先からのロイヤリティ収入が主たる収益源となる予定。パイプラインは下図の通り。また、このほかにMedavate社に引き継がれる予定のOcugen社の自家細胞培養軟骨「NeoCart」のライセンス契約も締結済みで導入後は開発予定である。

2021年9月期 第1四半期決算ハイライト

がん免疫治療分野では、『オプジーボ』や『キートルダ』に代表される免疫チェックポイント阻害薬が2014年の発売以降2017年頃より本格普及し、治療環境に変化が起きた。これらの免疫チェックポイント阻害薬は適応拡大も相次ぎ、同社の特定細胞加工物を用いた治療環境にも影響し、2017年9月期から2018年9月期にかけて売上高は半減し回復していない

競合他社

競合他社として挙げられるのは、2191テラ。時価総額ではメディネットが上回っている(2021年4月 テラ56億円、同社104億円)。テラの研究開発分野は免疫細胞療法の中でも柱状細胞ワクチンによる治療を研究していることから、メディネットの研究開発分野と完全には一致しない

連結の範囲

2018年8月に100%子会社だった株式会社メドセルと株式会社医業経営研究所の2社を吸収合併しており、現在は連結子会社がないため、連結財務諸表を作成していない

強み・弱み

創業当初からがん治療に免疫細胞療法を用いるクリニックを支援してきた。そのため、他社よりも治療患者数が多く、 18万件を超える細胞製造数の実績を有していることが強みと言える。特定の提携医療機関から特定細胞加工物の製造受託を依頼されており、安定的な収益源となっている。資金調達手段として第三者割当増資を実施しているが、再生医療等製品事業における研究開発で、巨額の先行投資を要しパイプラインの進捗により収益化するまでは赤字が継続すると見られることが弱み。

KPI

KPIとしては提携先の医療機関からの患者数と、それに伴う細胞加工件数があげられるが非開示である。直近では取引先医療機関でインバウンドの患者数が減少し、細胞加工売上が減少しており、国境を超えた移動制限の動向も影響が大きい。

業績

前述の通り、がん免疫治療分野での新薬登場により、2018年9月以降は売上高の水準が半減し、回復していない。一方で、2018年から事業構造改革を行い研究開発費が抑制されたため営業損失の額は2018年9月期2,701百万円の損失をピークに縮小し、2020年9月期は926百万円の赤字へと減少した。マッコーリ銀行を割当先とした新株予約権の発行による資金調達を継続的に実施し、資金確保に努めており、債務超過は回避している。