8079 正栄食品工業の業績について考察してみた

8079 正栄食品工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1904年11月創業者の本多多助氏が東京都にて成光舎牛乳店を開業、牧場を併営する。1947年11月正栄食品工業株式会社を設立、乳製品の卸販売を開始。1973年3月現連結子会社の筑波乳業株式会社と資本業務提携、乳製品類等の加工・製造・販売を行う。1985年2月米国に現地法人を設立、乾果実類の輸出や農園経営などを行う。その後2000年代に入り香港や中国へも展開。1986年8月東証二部上場。2017年7月東証一部に変更現在は10,000種以上の取扱品目を誇る食材専門商社

同社HP TOP

株主構成

有価証券報告書によると2021年4月末時点の筆頭株主は、創業一族本多家の資産管理会社とみられる本多興産有限会社および正栄プラザ株式会社で各7.8%。以降は保有割合5%未満で正栄食品取引先持株会4.5%。創業一族とみられる同社代表取締役2名、メガバンク2行、2269明治ホールディングスの子会社である株式会社明治、国内生保が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は14名(社内11名、社外3名)、監査役は4名 (社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役はプロパー入社のほか、現在のみずほ銀行、三菱UFJ銀行と、雪印食品株式会社出身者で構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役社長の本多市郎氏は1950年5月生まれ。成蹊大学卒業後、1975年2月同社入社。1988年1月に取締役、1990年1月に常務取締役、1994年1月に専務取締役就任、1998年1月より現職を務める
代表取締役副社長の本多秀光氏は1959年9月生まれ。獨協大学卒業後、1983年3月同社入社。2000年1月に取締役、2004年1月常務取締役、2010年1月に専務取締役就任、2016年1月に現職を務める

報告セグメント

地域別の「日本」、「米国」および「中国」の3報告セグメントに大別される。セグメント間取引等考慮前の2021年10月期第3四半期売上高79,402百万円の構成は、日本86.9%、米国7.2%、中国5.9%だった。セグメント利益は大部分を日本で計上する一方、中国は赤字だった。

事業モデル

日本では主力業務の製菓・製パン業界を中心とした食品業界向けの食品原材料を仕入れ、国内に保有する6工場にて加工・製造、販売するほか、菓子類やナッツ、ドライフルーツ等の乾果実類のリテール商品の製造、販売を行う。コンビニエンスストアなどで販売される菓子やパンにも使用される。米国では自社農園の収穫に加え、契約農家からの原料供給を受け、乾果実類の仕入れ、同社へ輸出をしている。中国では2つの生産拠点を持ち、同社へ輸出するほか、中国、香港の販売子会社を通じて同地域での販売を行う
2020年10月期の品目別売上構成は下図の通り、乳製品・油脂類および乾果実・缶詰類の比率が高い。直近2021年10月期第3四半期においても構成に大きな変動は無い。

2020年10月期決算補足資料

コロナ禍における移動や外出制限から、食品業界では土産物、外食がマイナスの影響を受ける一方、スーパー、通販、お持ち帰りなどが売上を伸ばすなど、消費者の購買行動に変化が見られている。業界の一部ではコロナ禍や干ばつの影響を受けた値上げも行われている。

競合他社

乳原料が主力の食品専門商社3139ラクトジャパン(2020年11月期売上高110,837百万円)や3143オーウイル(2021年3月期売上高29,527百万円)、外食向け食品卸の2708九世(同37,854百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社が10社存在する。主な連結子会社として、食材の製造・加工・販売を行う筑波乳業株式会社や株式会社京まろんなどがある。海外現地法人は米国に1社、中国に生産子会社2社、販売子会社2社を持つ。

強み・弱み

原料の供給のみならず、顧客のニーズに合わせた食材の開拓、製品開発が出来る体制をもつことが強み。消費者の健康意識が高まる中で、ナッツやドライフルーツなどの乾果実製品は、健康維持・増進効果において、ここ数年認知度が高まってきた点も強みである。リスクとしては、為替リスク(海外からの輸入の比率が高く円高が業績にプラス寄与)食品原材料や商品の価格高騰リスクや在庫リスクなどが挙げられる。

KPI

①乳製品生産、在庫、流通量(農林水産省HPに詳細な統計資料有り)
②USクルミ収穫予想(2021年産予測722,713ショートトン、前年比▲7.8%)など、各種食品原材料市況
③食品スーパー、ドラッグストア新規出店数(同社が新たな販路開拓に励んでいる)
④為替(米ドル、豪ドル、ユーロ、中国元)

業績

増収基調で推移していたが、2020年11月期はコロナ禍の影響で外食業界や観光地向けの原材料売上が減少し前期比▲5.0%の減収、利益面では新工場立ち上げ費用や天候不順の作物への影響から減益が続いていたが、高付加価値商品が好調に推移したことから2020年11月期の営業利益は前期比+2.6%の増益となった。フリーCFは新工場建設や棚卸資産の増加を背景に2018年10月期がマイナスだったが、プラスの期が多い。自己資本比率は50%台で推移。