2932 STIフードホールディングスの業績について考察してみた

2932 STIフードホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1988年12月に新東京インターナショナル株式会社を設立し、水産原材料や水産食材の輸出入販売を開始 。1997年8月にコンビニエンスストア向けにおにぎり用の味付けイクラを発明し、製造・販売を開始する。1998年1月に株式会社セブン-イレブン・ジャパンへ販売を開始。2010年4月に民事再生を申請し、9月に1301極洋が設立したエス・ティー・アイ株式会社に事業を譲渡。2013年4月に株式会社新東京フードに吸収合併。2017年11月に株式会社STIフードホールディングスを設立。2018年1月に事業再編のために株式会社STIフードホールディングスが株式会社東京フードを吸収分割し、事業持株会社となる。2020年9月に東証二部に上場。本社は東京都港区。水産食品やコンビニ向けのおにぎり具材の製造・販売が事業の柱

株主構成

2021年12月期第2四半期報告書よると2021年6月末時点の大株主は、筆頭株主が代表取締役社長兼CEOの十見裕氏の資産管理会社である株式会社十見で36.0%、次いで十見裕氏が16.7%、1301極洋が9.0%、株式会社セブン-イレブン・ジャパンが9.0%、株式会社日本カストディ銀行の信託口が5.5%、以降は保有割合5%未満でMSIP CLIENT SECURITIES、ノムラノミニーズ・オムニバスマージンキャッシュPB、株式会社キャメル珈琲と続く。その他には国内外の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役4名 (社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役の3名の内、プロパーは1名である。取締役副社長の柳澤重英氏は2768双日で取締役を就任後、同社に転籍。取締役の高橋敏氏は7911凸版印刷や税理士事務所、3182オイシックス・ラ・大地を経て、同社に入社。

代表取締役の経歴

代表取締役社長兼CEOの十見裕氏は1953年9月生まれ。1978年4月に8001伊藤忠に入社し、1988年12月に同社の前身である新東京インターナショナル株式会社を設立。2017年11月に同社を設立後、代表取締役社長を経て、2021年3月に現職に就任した。連結子会社6社と非連結子会社1社の代表取締役を兼任する。

報告セグメント

「食品製造販売事業」の単一セグメント2021年12月期第2四半期の売上高は12,408百万円で、経常利益は967百万円だった。経常利益率1桁前半から中盤を推移する。

事業モデル

主にコンビニエンスストア向けに水産食品とおにぎり用具材等に使われる水産食材の製造・販売を行う
水産食品では水産総菜や水産食材を使用した缶詰やレトルト製品を製造・販売する。冷凍食品とチルド食品、常温食品の3温度帯の水産食品を、下処理から調理、包装までの一貫製造を行う。水煮缶等の定番商品に加えて、バラエティ商品や健康志向商品等の幅広い商品ラインナップを展開する。
水産食材ではおにぎりや弁当、サラダ、パスタに使用される、鮭フレークやイクラ、タラコ等の水産食材の製造・販売を行う
東北、関東、東海、九州に連結子会社の工場を6拠点にて製造する。
また北米エリアでの買い付けやチリ産材料の検品は、現地子会社2社がそれぞれ行う。
製品別の売上高では水産食品が83%、水産食材が17% を占める。(2020年12月期)
主要な顧客ごとの売上高は、株式会社セブン-イレブン・ジャパンが62.0%、ベンダーサービス株式会社が16.5%を占める。全体として売上高の82%がセブンイレブン向けである。(同)
国内のCVS惣菜における袋物惣菜の伸び率は2016年から2019年で40%以上成長傾向にある上に、業態別惣菜市場ではCVSが食料品スーパーよりも高い伸び率を誇る等、コンビニ業界における惣菜需要の拡大が今後も見込まれる

2020年12月期 決算説明会資料

競合他社

大手惣菜食品メーカー2908フジッコ (2021年3月期売上高64,204百万円)、漬物で国内トップシェアを誇る2925ピックルスコーポレーション(2021年2月期同46,020百万円)やコンビニ向け食品卸として7451三菱食品(2021年3月期売上高2,577,625百万円)、2692伊藤忠食品(同656,743百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社6社と非連結子会社1社を持つ 。連結子会社の内、株式会社STIフードと株式会社STIデリカ、株式会社STIエナックは、それぞれ連結売上高に占める売上高の割合が10%を超える。

強み・弱み

強みとして水産食材の鮮度を保つ製造技術が挙げられる。創業当時より培ってきた水産食材の衛生管理や調理技術を活かし、1997年8月には従来ではおにぎり具材として使用できないと考えられてきたイクラの静菌管理技術の開発に成功。その他にもサーモンフレークや熟成タラコについて、作りたての味をコンビニエンスストアのおにぎりで実現する特殊製法で特許を取得する等、鮮度を保つ食品加工技術や包装技術を独自に有する。
懸念点には、セブンイレブン向けの売上が8割を占めているため、コンビニ業界の需要変動による売上高への影響、為替リスク含む主原料である水産資源の価格高騰リスクが挙げられる。

KPI

KPIには①販売先別売上構成と②製品別売上、③生産キャパシティ、④カップサラダの売上高シェアが挙げられる
①販売先別売上構成 セブンイレブン向け82%(2020年12月期)
②製品別売上構成 食品83%、食材17%(2020年12月期)
③生産キャパシティ推移(2021年12月期第2四半期)

2021年12月期 第2四半期決算説明会資料

④カップサラダの売上高シェア(2021年7月時点)
2021年12月期 第2四半期決算説明会資料

業績

会社組織再編後の売上高は2018年12月期から2020年12月期にかけて+29.2%の増収となった。2020年12月期は、コンビニエンスストアにおけるおにぎりの売上減少があったものの、新型コロナ流行による巣ごもり需要の拡大から焼魚やカップサラダ等の惣菜食品の販売が伸び、前期比+11.7%の増収となった経常利益は2018年12月期から2020年12月期にかけて1.8倍に増加した。2020年12月期は、子会社において工場での生産体制の安定化や原価管理の改善が進み、前期比+115.8%の大幅な増益となった。フリーCFはプラスを推移。2020年12月期の自己資本比率は31.4%。前期の21.1%から大幅に改善。