1419 タマホームの業績について考察してみた

1419 タマホームの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1998年6月土木、建築、設計および不動産業を目的として福岡県にタマホーム株式会社を設立。当初から「高品質住宅を低価格で提供する」との理念であった。2009年6月長期優良住宅に対応した新商品「New大安心の家」の販売を開始。2009年10月低価格訴求商品である「元気の家」の販売を開始。2010年11月都市部向け3階建商品「New木望の家」の販売を開始。2013年3月東証一部、福証本則市場へ上場。2016年4月ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)に対応した新商品「大安心の家 ZERO」の販売を開始。 全国展開する戸建住宅建築・販売事業者大手の一角

株主構成

有価証券報告書によると2021年5月末時点の筆頭株主は、代表取締役社長である玉木伸弥氏が代表取締役を務める「株式会社TAMAX」が38.67%を保有。次いで、玉木伸弥氏、代表取締役会長の玉木康裕氏、同氏の妻である玉木和惠氏、常勤監査役の玉木克弥氏がそれぞれ2.95%を保有し、同一族の保有比率が50%を超える。そのほか、タマホームグループ従業員持株会や、信託銀行等の信託口が並ぶ。

取締役会

取締役は9名(社内7名、社外2名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役5名は、ニツセキハウス工業株式会社、積水ハウス株式会社、東新住建株式会社、日本バードヒルアメニティーなどの出身者で、1名はプロパーである。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の玉木伸弥氏は1978年10月生まれ。福岡大学を卒業後、同社に入社。広告宣伝部長やわくわくドキドキ本部長、イノベーション推進本部長などを経て、2019年11月に現職へ就任。代表取締役会長である玉木康裕氏の長男。
代表取締役会長の玉木康裕氏は1950年1月生まれで、創業者である。福岡大学を卒業後、筑後興産株式会社へ入社。1998年6月に同社を設立し、代表取締役社長へ就任。2018年8月に現職へ就任。

報告セグメント

「住宅事業」、「不動産事業」、「金融事業」、「エネルギー事業」の4報告セグメント及び報告セグメントに含まれない事業セグメントである「その他」に大別される。2021年5月期の売上高218,092百万円の構成比は、住宅事業80.1%、不動産事業16.0%、金融事業0.7%、エネルギー事業0.3%、その他2.9%である。セグメント利益は、住宅事業6,030百万円、不動産事業3,241業百万円、金融事業671百万円、エネルギー事業243百万円、その他731百万円であり、営業利益は10,999百万円であった。同社は戸建住宅の建築請負を主な事業としていることから、新年度を控えた引越シーズンである3月から5月までの間に引渡しが集中し、第4四半期に収益が偏重する傾向にある。

2021年5月期 決算説明会資料

事業モデル

住宅事業は、注文住宅の建築請負、リフォーム工事等の請負、外構工事等付帯工事の紹介、プレカットCAD入力・図面作成等の設計支援事業を行う。注文住宅の建築は、同社が顧客との間で戸建住宅の工事請負契約を締結し、設計及び施工(工事管理)を行う。同事業の特徴は、ロードサイド型の独立型店舗展開と広告宣伝活動にある。ロードサイド型の独立型店舗は全国47都道府県への出店を達成し、2021年5月末現在180店を展開している。独立型店舗は基本的にモデルハウス、事務所、ショールームを設置し、店舗内にてモデル内覧から仕様決めなどの総合的な営業を可能としている。また、空白エリア縮小のため、住宅総合展示場へも出店しており、2021年5月末現在で住宅総合展示場64箇所へ出店している。
自由設計・オール電化・豊富な設備仕様の住宅「大安心の家」、都市部の狭小地向け3階建て住宅である「木望の家」、都市部の狭小地でも緑とふれあえる屋上緑化タイプ住宅「グリーンエコの家」、「大安心の家」の外観意匠を向上させた「大安心の家PREMIUM」、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)に対応した「大安心の家ZERO」「木麗な家ZEH」、安心の品質を低コストで実現した「シフクノいえ」など、営業展開に合わせて幅広い商品の拡充も行っている。
不動産事業は、分譲宅地・戸建分譲の販売、マンションの企画・開発・販売、オフィスビルの転貸事業、オフィス区分所有権の販売を行う。
金融事業は、火災保険等の保険代理店業務や、注文住宅購入者向けつなぎ融資を行う。
エネルギー事業は、福岡県大牟田市でメガソーラー発電施設の運営、経営を行う。
その他事業は、広告代理業、家具販売・インテリア工事の請負、地盤保証、農業、海外における投資・情報収集・開発、食品の販売、車両リース等を行う。
強み・弱みの欄に後述する通り、経営環境は厳しく、同社は早期受注・早期着工・早期売上によりキャッシュフローの確保に努めるとともに、コロナ禍で起きた戸建住宅再評価の動きを適切に捉えた商品開発、営業活動を行うことにより業績の安定的成長を目指すとしている。

競合他社

3288オープンハウス(直近決算期売上高5,759億円)、3293アズマハウス(直近決算期売上高142億円)、8860フジ住宅(直近決算期売上高1,215億円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社および同社の関係会社(子会社16社および関連会社3社)で構成され、「住宅事業」、「不動産事業」、「金融事業」、「エネルギー事業」を行う。

強み・弱み

徹底された効率営業と効率施工によるコストダウンのノウハウ、効率的な広告戦略による高い認知度、さらに全国に展示場を持つスケールメリットによる資材調達の優位性を保ち、低価格で良質な住宅を提供できることが強み。同社を取り巻く経営環境においては、短期的には世界経済の回復に伴う原材料価格の上昇、中長期的には人口減少による国内市場の縮小およびそれに伴う住宅着工戸数の減少並びに高齢化による職人不足といった懸念がある。なお、創業者である会長玉木康裕氏から2代目社長への経営交代局面であり、リスク要因と言える。

KPI

2021年5月期のKPIとみられる開示は下記。
①受注実績(注文住宅) 2,081億円(11,395棟)
②同(戸建分譲) 156億円(929棟)
③同(リフォーム) 89億円
引渡実績(注文住宅) 1,647億円(8,957棟)
⑤同(戸建分譲) 252億円 (829棟)
⑥同(リフォーム) 83億円

業績

2017年5月期から2021年5月期までの5期をみると、売上高は157,001百万円から218,092百万円、経常利益は3,475百万円から11,093百万円と増収増益。直近期の住宅受注棟数は上場来過去最高を記録し、売上高・営業利益も過去最高を更新している。また、営業利益は初の100億円を突破した。営業CFは2018年5月期以降プラス、投資CFは恒常的にマイナス。直近期の自己資本比率は26.1%。