7746 岡本硝子の業績について考察してみた

7746 岡本硝子の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1928年東京都にて創業、カットガラスの生産を開始、創業時より着色技術及び硬質ガラスの成型技術を有した。1930年合資会社岡本硝子工業所に、1947年3月岡本硝子株式会社に組織変更。1996年3月結晶化ガラスで組成特許および製法特許を取得。2004年12月東証ジャスダック上場。特殊ガラスと薄膜技術に強みを持つメーカー

株主構成

有価証券報告書によると2021年月3末時点の筆頭株主は、同社代表取締役の資産管理会社とみられる岡本興産有限会社で保有割合19.09%。以降は保有割合5%未満で同じく代表取締役の資産管理会社、代表取締役本人、国内証券会社、岡本硝子社員持株会、個人名が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は7名(社内5名、社外2名)、監査役は3名 (社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役はいずれも中途で、関西設備工業株式会社、現株式会社日立国際電気、現東京東信用金庫、現三菱UFJ銀行などを経て同社に入社している。

代表取締役の経歴

代表取締役会長兼社長の岡本毅氏は1955年7月生まれ。東京大学卒業後、1980年4月警察庁入庁。父である先代岡本勲氏死去に伴い、1995年12月同社代表取締役社長として入社。2020年8月より現職を務める

報告セグメント

「光学事業」、「照明事業」および「機能性薄膜・ガラス事業」の3報告セグメントと報告セグメントに含まれない医療向けガラス製品、洗濯機用ドアガラスなどの「その他」で構成される。2022年3月期第一四半期売上高1,263百万円の構成は、光学事業49.6%、照明事業14.2%、機能性薄膜・ガラス事業23.1%、その他13.1%だった。全社費用を除く営業利益の構成は、各60.1%、8.3%、23.6%、7.5%だった。なお2021年3月期までの通期の構成は下図の通り。

2020年度通期決算説明会資料

事業モデル

光学事業は、プロジェクター用反射鏡、フライアイレンズ、デジタルシネマ用映写機の反射鏡、自動車用赤外線透過フィルター等の製造、販売を行う。2021年3月期中にガラス成形の加工精度を一層向上させたガラス射出成型法の特許登録を完了し量産を開始、適用製品の拡大に努めている。
照明事業は、自動車用ヘッドレンズ・フォグレンズ、一般照明用ガラス製品等の製造、販売を行う
機能性薄膜・ガラス事業ではガラス容器への加飾蒸着、高耐久性銀ミラー、フリットと呼ばれるガラス粉末等の製造、販売を行う。2021年3月期中に5G通信用ガラスフリットの開発を終え、量産出荷を開始している。
6724セイコーエプソンおよびそのグループ企業に対する売上高が15.0%を占める。ほかに主要取引先として6752パナソニック、6753シャープ、6923スタンレー電気、6924岩崎電気、6925ウシオ電機、7276小糸製作所などが挙げられる。海外売上高比率は43.6%で、中国、フィリピン向けがその中心
光学事業に属するプロジェクター用反射鏡が同社の主力事業だが、プロジェクター市場の需要には頭打ちがみられる。人員の適正化のほか、新たな事業の柱として、次世代自動車向けや5G通信インフラ向け部品等新領域の事業立ち上げに取り組んでいる。

2020年度通期決算説明会資料

競合他社

光学ガラスメーカーの5218オハラ(2020年10月期売上高17,873百万円)や、ガラス業界にて売上規模が近い5210日本山村硝子(2021年3月期売上高57,136百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社4社、持分法適用関連会社1社で構成される。国内の製造子会社が新潟岡本硝子株式会社ほか2社、海外販売子会社が中国、台湾に各1社拠点を持つ。

強み・弱み

特殊ガラスにおける高いシェア、技術力、保有する製品化にかかる特許が強み。同社HPによると、プロジェクター用マルチレンズが約61.2%、同反射鏡が86.4%、歯科用デンタルミラーが約72%と3製品が世界No.1シェアを持つ。一方で光学事業の売上が40%超を占めるため、同業界の市場規模、動向に同社業績は左右される。また販売拠点を有する中国、台湾の地政学リスクおよび為替リスクを負う。

KPI

①受注高(2021年3月期4,532百万円、前年同期比▲15.1%)
②受注残高(同557百万円、+28.4%)
③為替レート(中国元、フィリピンペソ等)

業績

売上高は概ね5,000百万円~6,000百万円強で推移していたが、2021年3月期はコロナ禍の影響から受注が減少し前年度比約2割の減収。利益面では2期連続の経常損失計上となり取引金融機関との一部借入契約に係る財務制限条項に抵触している。希望退職者募集など早急な固定費削減に努めている。フリーCFは安定せず2021年3月期はマイナス。有利子負債による調達で現預金を厚くした。自己資本比率は変動大きく、2019年3月期の30.9%から16.0%まで低下