7522 ワタミの業績について考察してみた

7522 ワタミの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1984年4月飲食店の経営を目的として、神奈川に有限会社渡美商事を設立し、「お好み焼HOUSE 唐変木」及び居酒屋「つぼ八」のフランチャイジーとして直営店舗を展開。1986年5月株式会社ワタミを設立。1987年2月商号をワタミフードサービス株式会社に変更。1987年3月有限会社渡美商事より営業の全部を譲受け、お好み焼きレストラン事業及び居酒屋事業を開始。1992年4月額面変更のため、ワタミフードサービス株式会社(形式上の存続会社)と合併。1996年10月日本証券業協会に株式を店頭登録。1998年8月東証二部に上場。2000年3月東証一部に指定替え。2005年4月ワタミ株式会社に商号変更。介護事業は2015年に損保ジャパンへ株式を全売却し完全撤退済。「和民」ブランドの居酒屋で知られた企業だが、現在は業態転換をはかり国内では「三代目 鳥メロ」などのブランドで居酒屋を複数展開する他、宅食サービスや再生可能エネルギー、海外外食事業などで多角化

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、代表取締役会長である渡邉美樹氏の資産管理会社有限会社アレーテーで28.29%を保有。次いで、サントリー酒類株式会社が10.22%、アサヒビール株式会社が5.32%を保有している。以下5%未満の保有で、株式会社横浜銀行、ワタミ従業員持株会、損害保険ジャパン株式会社、明治安田生命保険相互会社、株式会社みずほ銀行、信託銀行の信託口などが並ぶ。

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、社外3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。取締役CFOの渡邉将也氏は会長の渡邉美樹氏の長男で、Mirabaud(Asia)limitedやサントリースピリッツ株式会社の出身者。

代表取締役の経歴

代表取締役会長兼グループCEOの渡邉美樹氏は1959年4月生まれ。明治大学を卒業後、財務や経理を習得するため、経理会社に半年間勤務。その後1年間運送会社で働き資本金300万円を貯める。1984年に同社を設立し、代表取締役へ就任。2011年には行政に経営を持ち込むため東京都知事選に立候補。2013年に参議院選挙(全国比例区)にて当選。2019年7月参議院議員を退任し、同社の取締役ファウンダーとして経営復帰。2019年10月に現職へ就任し、本格的に経営復帰した。

報告セグメント

「国内外食事業」、「宅食事業」、「海外外食事業」、「環境事業」、「農業」の5報告セグメント及び報告セグメントに含まれない事業セグメントである「その他」に大別される。2022年3月期第1四半期の売上高14,082百万円の構成比は、国内外食事業20.4%、宅食事業65.9%、海外外食事業8.6%、環境事業3.7%、農業1.3%、その他0.1%であり、調整額を差し引くと13,982百万円であった。セグメント利益(又は損失)は、国内外食事業▲2,167百万円、宅食事業675百万円、海外外食事業▲24百万円、環境事業64百万円、農業▲107百万円であり、調整額を差し引いた営業損失は▲2,050百万円であった。

事業モデル

国内外食事業は、日本及び米国GUAMにおける飲食店の経営をしている。食材の製造・卸、問屋から酒・飲料類を仕入れ、同社グループの直営店やフランチャイズ加盟店への納入も行う。特急レーンで提供する幸せの焼肉食べ放題「かみむら牧場」、和民和牛をお手頃価格でお客様のスタイルに合わせて楽しめる「焼肉の和民」、旨唐揚げと居酒メシ「ミライザカ」、「三代目 鳥メロ」、炉端焼き料理の「炉ばたや 銀政」、アメリカそのもののテイスト&ボリュームが魅力の料理を提供するAmerican Restaurant and Bar「TGIフライデーズ」、デカから揚げとこだわりの玉子焼きが自慢の「から揚げの天才」など、様々な業態を展開している。

同社HP ホーム > グループ事業 > 外食事業

宅食事業は、食料品材料セット及び調理済み食品の販売・宅配を行っている。高齢者向け弁当宅配事業を「ワタミの宅食」として展開。健康に配慮した日替わりのお弁当・お惣菜を、担当スタッフが1軒1軒、毎日決まった時間帯に「手渡し」を基本に届けている。
海外外食事業は、フランチャイズ事業の展開、海外現地法人の管理及び海外エリア進出の戦略立案・実行、海外各地域における飲食店の経営を行っている。
同社HP ホーム > グループ事業 > 外食事業

環境事業は、電力小売事業、風力発電事業等を行っている。それぞれの地域において資源やエネルギーが経済的に循環する「持続可能な循環型社会づくり」を目指している。
農業は、農産物の生産・販売、農産加工品の生産・販売等を行っている。「有機循環型モデルタウン」づくりの推進を掲げ、地域に根ざした有機農業を全国各地で展開。現在では、北海道から関西まで全国9ヵ所に約548ヘクタールの規模で有機農業、酪農事業を行っている。
ワタミファームで採れた有機野菜(1次産業)は、ワタミ手づくり厨房で加工(2次産業)され、ワタミグループの外食事業や宅食事業(3次産業)を通じて、全国の顧客に提供される。さらに、持続可能な循環型社会の構築を目指し、環境負荷を軽減するための取り組みや、再生可能エネルギー事業として風力発電設備の開発・建設・運転管理などにも取り組んでいる。この一貫統合されたグループ事業を「独自の6次産業モデル」とし、同社事業を成長させている。
同社HP ホーム > グループ事業

同社グループが主に展開する居酒屋事業は、マーケットの縮小傾向が続いており、顧客ニーズの多様化など厳しい事業環境にある。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響拡大により、店舗営業ができない不測の事態が発生するのみならず、顧客の飲食スタイルが大きく変化することも考えられる。同社は、店内飲食だけではなく、テイクアウト・デリバリーなど多様な利用ニーズにも対応することが重要であると考えている。

競合他社

居酒屋「はなの舞」や「さかなや道場」などを展開する3178チムニー(直近決算期売上高132億円)や、居酒屋「庄や」などを展開する9979大庄(直近決算期売上高448億円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社、連結子会社20社及び持分法適用関連会社5社で構成され、国内外食・宅食・海外外食・農業及び環境事業等を展開している。

強み・弱み

一次産業から携わる独自のビジネスモデル「6次産業モデル」を強みとしている。 伝染病の蔓延や天候不順、仕入先の環境変化、外国為替相場の大幅な変動、さらには自然災害の発生等による仕入単価の高騰などが、業績へ影響を及ぼすことが懸念される。

KPI

2021年3月期におけるKPIは下記。
・国内外食事業
①新規出店数 99店舗
②転換店数 37店舗
③撤退点数 159店舗
④舗数合計 431店舗
⑤既存店の状況
・宅食事業
①拠点数 527
②1日当たり食数(調理済商品) 263千食
・海外外食事業
①新規出店数 8店舗
②撤退店数 12店舗
③店舗数合計 49店舗

業績

2014年3月期から7期連続で減収、営業利益は2013年3月期に9,259百万円あったが、2021年3月期の▲9,715百万円を含めて、その間赤字が3期、10億円を割り込んだ期が3期と、利益の安定性が低く、特に直近期は大幅な経常損失となっており、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きい。営業CFは直近期マイナス、投資CFは恒常的にマイナス。2022年3月期第1四半期の自己資本比率は26.8%。