6381 アネスト岩田の業績について考察してみた

6381 アネスト岩田の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1926年5月に岩田製作所を創業。1957年4月に岩田塗装機工業株式会社へ改組。1961年8月に東証二部に上場。1973年8月に東証一部に変更。1991年3月に世界初のオイルフリー圧縮機の発売を開始。1993年5月に世界初の空冷オイルフリー真空ポンプの発売を開始。1996年10月にアネスト岩田株式会社に商号変更。本社は神奈川県横浜市。塗装機やコンプレッサ等の各種機器を製造。塗装機で国内シェアトップ

株主構成

2021年3月期有価証券報告書よると2021年3月末時点の大株主は、筆頭株主が日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で7.9%、次いで株式会社日本カストディ銀行が信託口で7.5%、第一生命保険株式会社が5.5%、以降は保有割合5%未満でアネスト岩田仕入先持株会、アネスト岩田得意先持株会、明治安田生命保険相互会社、バンク・オブ・ニューヨーク、株式会社三菱UFJ銀行など国内外の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は11名(社内4名、社外7名)、うち監査等委員4名 (社内1名、社外3名)、監査等委員会設置会社である。社内取締役は全員プロパーとみられる。それぞれエアエナジー事業部長、コーティング事業部長、常勤監査等委員を兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長執行役員の壷田貴弘氏は1957年5月生まれ。明治大学工学部を卒業後、1981年4月に同社に入社。塗装機部門に長年に渡って携わり、2001年6月に取締役、2008年4月に代表取締役社長を経て、2014年4月に現職に就任した。

報告セグメント

「日本」、「ヨーロッパ」、「アジア」の3セグメントに大別される。セグメントに含まれない事業として、アメリカ、メキシコ、ブラジル、オーストラリア、ロシア及び南アフリカでの事業活動を含む「その他」がある。2022年3月期第1四半期の売上高は9,100百万円で、日本が3,537百万円で38.9%、ヨーロッパが1,363百万円で14.9%、アジアが2,892百万円で31.8%、その他が1,307百万円で14.4%を占める。
セグメント利益の約6割を日本が創出 しており、利益率は日本が10%台後半、ヨーロッパとその他が1桁後半から10%台前半、アジアは1桁後半を推移する。

事業モデル

塗装機器の駆動源等に使われる各種コンプレッサや真空機器、塗装機器・設備の製造販売を行う。事業はエアエナジー事業とコーティング事業の2つに大別され、エアエナジー事業ではオイルレスで気体を圧縮する技術を元に、主にコンプレッサや真空機等の製造を行う。小形圧縮機では国内シェア2位を誇る。
コーティング事業では塗料等の液体を霧状にする技術を元に、スプレーガン等の塗装機器や自動塗装装置や塗装プラントといった塗装設備を製造する。ハンドスプレーガンでは国内トップシェアと世界シェア2位を誇り、コーティング事業における販売割合の約70%を占める。またエアーブラシでは世界シェア30%程度を有する。
国内では本社工場、秋田工場、福島工場の3か所の生産拠点を持ち、同社の他に連結子会社と関連会社の2社を通して、生産を行う。海外ではアジアやヨーロッパに生産拠点を持つ。グローバルでは21の国と地域に38社のグループ会社を展開する。
海外売上比率は57.1%で、地域ごとではアジアが30.9%、ヨーロッパが13.1%、アメリカ・その他が13.1%を占める
今後は医療分野や車両搭載市場等向けのカスタム製品や、中国や新興国等の拡大余地の大きい市場への商品展開の強化に注力する。

競合他社

自動車塗装設備で世界2位のシェアを誇る1979大気社(2021年3月期売上高202,548百万円)、建設用コンプレッサ大手メーカーの6364北越工業(同32,929百万円)、トヨタグループ向けを中心に塗装設備を手掛ける6382トリニティ工業(同35,362百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社34社と持分法適用関連会社2社を持つ。連結子会社は国内に1社、ヨーロッパに10社、アジアに14社、その他地域に9社ある。

強み・弱み

強みとしてニッチ製品における高シェアが挙げられる。主力のコンプレッサは30%以上、真空機器は約50%の国内シェアを誇る。同社が世界で初めて販売したオイルフリー圧縮機は、潤滑油を使わず環境に優しい製品設計であり、半導体分野や食品分野、医療分野からの需要拡大が見込まれる。また、スプレーガンも事業モデルで記載の通り国内外で高シェアを誇り、自動車分野や電子機器分野を中心に顧客網を築く
懸念点としては連結売上高の50%以上を海外売上高が占めることから為替変動リスク(米ドル、ユーロそれぞれ1円の円安で経常利益約15百万円増益)、鋼材等の原材料価格高騰リスク(2021年9月1日受注分より価格改定実施)が挙げられる。

KPI

KPIには①地域別売上高と②主力製品(コンプレッサ・スプレーガン)における業種別売上高が挙げられる
①地域別売上高(2021年3月期)
②主力製品(コンプレッサ・スプレーガン)における業種別売上高(同)

2021年3月期 決算説明会資料

2021年3月期 決算説明会資料

業績

売上高は直近期まで右肩上がりで推移していたため、2017年3月期から2020年3月期にかけて約1.3倍に増加。2021年3月期は新型コロナ流行に伴い製造業からの需要減少と影響と為替変動の影響により、コーティング事業を中心に売上高が減少して前期比▲9.0%の減収となったが、2022年3月期は製造業における需要回復が進む。経常利益は2019年3月期まで増収基調にともない増益していたが、直近二期は減益。フリーCFはプラスを推移。2021年3月期は助成金収入の増加や売上債権の増減額変動に伴い、前期から増加。自己資本比率は60%台中盤を推移する